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    2011-2012 セリエA第24節 フィオレンティーナvsナポリ ~久々の「らしい」勝利で大事な1戦を迎えるナポリ~

    昨シーズン、圧倒的なカウンターを見せUEFAチャンピオンズリーグに出場を決定させたナポリ。
    今シーズンはそのナポリのカウンターを封じるべく、引いてくる相手に勝ちきれないという試合が多く積み重なっている。
    問題はポゼッション時の武器の少なさ。
    セリエのディフェンスはいまだに世界一の組織的なディフェンス能力を誇っており、多くの仕掛けのパターンがないと崩しきれないことが多い。
    そんなディフェンスの強さの一例としてあげられるのが今年のフィオレンティーナである。
    特に新監督デリオ・ロッシを招聘してからというもの、その守備力に磨きがかかっている。
    試合は1点を争う緊張感あふれる試合になるであろうと私は予想していた。

    まずはこの試合のスタメンを御覧頂こう。
    2011-2012 セリエA第24節 フィオレンティーナvsナポリ スタメン・ベンチ

    フォーメーションは以下の通り。
    2011-2012 セリエA第24節 フィオレンティーナvsナポリ スタメンフォーメーション
    フィオレンティーナ:3-5-1-1
    ナポリ:3-4-2-1

    ●過渡期に入った3-4-2-1
    昨シーズンのナポリはカバーニを頂点としたラベッシとハムシクとの「トリデンテ」が中心となってサイドへ中へ目まぐるしくダイアゴナルランなどの飛び出しを使ったポジションチェンジで相手ディフェンスのマーキングのズレを誘いチャンスを作っていたが、今シーズンはそれができない。
    これはナポリが悪いのではなく、ナポリと戦う相手(特にプロビンチャ)はそうさせないために裏のスペースを消すためにラインを下げているからである。
    こうなるとラストパスやドリブルに高い精度が求められるようになるのだが、これを担うのがハムシク、ラベッシであり、2人はオフ・ザ・ボールではなくボールを持ってから仕掛けなければいけなくなる。
    本来は、ハムシグがその役割を担うのではなく、センターハーフのインレルやジェマイリがその役割を担当すべきなのだが、今のところそこまでのパスを出せるとこまでには至っていない。
    こうしてナポリは最大の武器が限定されてしまっているのである。
    そのせいか、ポチョ・ラベッシはもはやFWと化し、ハムシクがセンターハーフと化す場面が散見され、「トリデンテ」が分化してしまっていると言ってもよい試合は多々あった。

    ●タイプの似通った選手の多いフィオレンティーナ
    ヴィオラというチームは下部組織からトップチームまで豊富な選手層を持ち合わせているのだが、どうもその選手層に似通った部分が多い。
    中盤にはパサータイプか攻守両面で働くクルソーレタイプの選手、ウィングの選手も多い。
    対して、CFはミスもあり選手層が少なくトップチームレベルなのはアマウリ1人になってしまった。
    こうした難しい選手層を上手くやりくりしようというのがデリオ・ロッシ監督だが、ここまでは及第点以上の働きをしていると言っても良いのではないだろうか。
    それが3バックシステムの登用である。
    ヨヴェティッチが輝けるよう3-5-1-1とした点も評価に値する。

    ●予定が崩れたヴィオラ、予期せぬ怪我人が出たナポリ
    この試合ではヴィオラの予定が前半3分に早くも崩れる。
    バイタルエリアでポストプレーをしたハムシクがヴィオラディフェンスを引きつけ、裏に抜けたカバーニが先制点をあっさり決める。
    これによって前に出ないといけなくなったヴィオラ、戦い方を変更せざるを得なくなる。
    そして、その後、今度はナポリに不運が起こる。
    それがカンパニャーロの怪我である。
    カンパニャーロは攻撃力の高いCBであり、得点が欲しい時には攻撃のアクセントとして攻め上がりも担当する選手である。
    (チェルシー戦での出場が危ぶまれましたカンパニャーロは出場可能とのこと。)

    ●リスクを犯す必要がなくなったナポリ、ある程度攻撃が必要になったヴィオラ
    まさに逆の立場となることをデリオ・ロッシ監督は狙っていたはずだが、残念ながら狙いとは逆になってしまった。
    これによって戦術にいつもと違う流れが出たのはナポリの方であった。
    フィオレンティーナの3センターハーフがビルドアップ能力が高いことから、前からのプレッシャーをやや諦め、リトリートしてしっかりとブロックを作ったのである。
    これはいつもと大きな違いで、これによってヴィオラは持てるが崩せないという状況に置かれてしまった。
    また、ここで問題だったのはポゼッションすることを主眼とするあまり中盤の選手の飛び出しが少なくなってしまったこと。
    これによってナポリディフェンスは余裕を持ってアマウリ、ヨヴェティッチのスペースを消すことに集中できてしまう。
    こうなるとヴィオラのチャンスシーンは時間がたつにつれ、どんどんと減少していった。
    そして、ヴィオラのポゼッションが高くなればなるほどバックラインは高くなったことも見逃せない。
    攻撃のサポートが厚くなることは厚くなるのではあるが、ナポリのカウンターでの裏へのスペースを許すことになったのも事実であった。
    それでも、どちらも攻撃にするが、どちらも守り抜く。
    お互いの持ち味を消しあう前半は実に面白いカルチョらしいゲームと言ってもよいものであっただろう。

    ●急ぎ始めたフィオレンティーナ
    後半に入ると状況に変化が表れる。
    まずは中盤で運動量激しく動いたいたが精度を欠いたベーラミに代えて、サリフが投入されアンカーに。
    そして、フィオレンティーナが攻め急ぎ始めるも、ナポリのマンマークに近いディフェンスがパスコースを消し、どうしても前に繋げない状況が生まれ始めたのである。
    それによって、バックラインからのボールはアマウリなどへのロングボールが増え、そのボールをキープしきれずボール奪取されてしまう。
    そして、ネガティブトランディションが悪くなっていった。
    そんな中の後半10分、ハムシクからの裏へのボールに反応したカバーニがきっちりと決め、ナポリが追加点に成功する。
    こうなってからというもの、モントリーヴォの守備への意識がほとんど見られなくなってしまったことは非常に残念であった。

    ●久々に余裕を感じた選手交代と焼け石に水となった選手交代
    采配の方に目を移すと、余裕の感が出てきたナポリはマレク・ハムシクに代えてガルガノを、エディソン・カバーニに代えてゴラン・パンデフを投入し、主力の温存と守備固めに成功した。
    ジェマイリの置き場所がまだ定まらないため、前でも試す機会になったことは大きいだろう。
    逆に、フィオレンティーナの方を見ると、ルベン・オリベラとマルキオンニ、バルガスに代えてチェルチと代えたが、後半42分にチェルチが絶好機を外した以外、特に目立った効果をなすことなく終わってしまった。
    そして、最後には後半ロスタイム2分、コーナーキックのカウンターからラベッシの独走を許し、ダメ押しゴールを決められて試合は終了した。

    久々にナポリの完勝を見た気がする。
    これも前半のとても早い段階で先制点を奪ったことは大きいが、難敵フィオレンティーナを倒し、良い雰囲気でチェルシー戦に挑めることは間違いない。
    チェルシー戦で重要となるのは、どちらが主導権を握るのかという問題である。
    早い段階でナポリが点を取れれば言うことはないだろう。
    もし、そうでないならば、じっくりとリトリートし、強固なディフェンスを敷きながらチェルシーに主導権を渡した方が良い気がする。
    そうすればチェルシーには後の記事で見るが、サイドを中心に攻めるためのスペースが広大に空くこともあるだろう。
    これこそナポリの選手にとっては格好の狙いどころとなるに違いない。
    21年ぶりに出場しているチャンピオンズリーグでは既にクラブ最高記録の成績に到達した。
    クラブの英雄ディエゴ・マラドーナとともに到達したことのない領域で、これからどこまで勝ち進めるのか、南部イタリアを代表するチームの選手たちの挑戦からは目が離せない。



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    エマヌエルソンの成長

    私は一部では「ミランの選手に厳しい」と言われるが全くその通りである。
    先のブログでも申し上げた通り「ミランに真摯であってほしい」と願うからで、そうであればあるほど「活躍する」と信じているからだ。
    だから、要求も高く、厳しいことを書いたり言うことも多い。

    そんな選手の中に、ウルビー・エマヌエルソンもいた。
    その彼が、ついにミランの選手として「良い」プレーに終始した。
    良くなったところを挙げだすときりがない。
    1つ1つのパスの選択、その精度、ドリブル、守備(特にタックル)が良くなったというのは先月くらいから感じており、口にしたことはあったはずだ。
    しかし、それでも直らなかったのが「シュート」。
    シュート精度が低く、ゴールが決まらなかったのである。
    が、ついに今日のチェゼーナ戦で決めてくれた。
    しかも、ゴール右隅に。

    非常にうれしい。
    厳しいことは言ってもミランの選手なのである。
    愛着はある。

    そして、彼の才能を開花させたアッレグリにも、「なぜ起用するのか」と言ったことは多かった。
    しかし、才能を開花させたのだ。
    それは1つの業績である。

    今後もエマヌエルソンの更なる成長を祈ろう。
    そして応援する。
    それが厳しいことを言い続けた私の彼にできる唯一のことなのであるから。

    ウルビー・エマヌエルソンは、真に「ミラン」の選手となった。



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    2011-2012 セリエA第24節インテルミラノvsボローニャ ~夜のサン・シーロで叫ばれたのは「モウリーニョ」だった~

    インテルが非常にまずい状況に陥っていることは間違いない。
    2011-2012 セリエA第23節 インテルミラノvsノヴァーラ ~積み上げたものを崩されたラニエリの苦難~」でも既に述べたように、チアゴ・モッタの抜けた穴をいかに埋めるのか。
    この点においてはビルドアップ面においての影響が大きく、さらにはウェズレイ・スナイデルを使いながらバランスを保つ戦術や布陣をいまだに見つけることができていない。
    ここ最近はスナイデルの使い方が見えてきたような気がするが、フィニッシュワークをこなす選手や、守備でのバランスといった課題が合わさると、問題解決はまだと言ってもいいだろう。
    今回はそんな中での、ボローニャ戦を振り返りつつ、ここ最近復調を見せているボローニャの戦術などにも触れていきたい。
    そして、最後はもちろんインテルの次の試合、UEFAチャンピオンズリーグのマルセイユ戦を占うことにしよう。

    まずはこの試合のスタメンから。
    2011-2012 セリエA第24節インテルミラノvsボローニャ スタメン・ベンチ

    次にフォーメーションを御覧頂こう。
    2011-2012 セリエA第24節インテルミラノvsボローニャ スタメンフォーメーション
    インテルミラノ:4-2-3-1
    ボローニャ:3-4-2-1


    ●最後の一手の感が否めない4-2-3-1
    チアゴ・モッタがいない今、スナイデルを優先的に使う選択肢しか残されていないラニエリは、その置き場をセンターであると判断したように考えられる。
    即ち、4-4-2ではだめで、4-3-1-2、4-3-2-1、4-2-3-1しか残されていないのである。
    その3つのフォーメーションで揺れ動く理由はいろいろあるので、インテルでそれぞれのフォーメーションを使う際のメリット、デメリットを考えていこう。

    ・4-3-1-2
    インテルの多くの選手が慣れ親しんだように感じられるフォーメーションの1つであるが、ここで難となるのはマイコンの存在である。
    インテルである以上、マイコンを使わない手はないが、マイコンを使うことによって、中盤の選手の守備での負担が増える。
    圧倒的に戻りが遅いので、カヴァーをしつづけようとなると、中盤の選手は守備に専念しなくてはいけなくなり、厚いはずの中盤の攻撃に迫力がなくなる。

    ・4-3-2-1
    これが最もバランスが良いように思われるが、こちらも4-3-1-2と同様に右サイドバックのマイコンのケアが重要になるが、それをすると決定的にフィニッシャー不足に陥る。

    ・4-2-3-1
    このフォーメーションが今のインテルには最も合っているのかもしれないが、左サイドハーフに入るのがアルバレスかフォルランと、どちらも足元でボールを貰いたがるタイプであることが難。
    そして、フォルランであればフィニッシュにも期待があるが、コンディションは良くない。

    この数少ない選択肢の中で悪戦苦闘を続けるラニエリの1つの答えが4-2-3-1であったのがこの試合の時点である。

    ●バランスを取るために「守備的」にならざるを得ないバランサー
    インテルというチームはある特定の個の力でゲームを決めてしまえる選手を使わないと許されない。
    その選手のコンディションが悪くてもだ。
    それがウェズレイ・スナイデルとマイコンであることはおわかりいただけるだろう。
    その2選手が気持ちよく、つまり自由にプレーするためにバランサーを起用しているのがラニエリ監督だが、そのバランサーたちはどうしてもバランスを考えて守備的にならざるを得ない。
    それがインテルの攻守分業である。
    だからこそ、相手チームの選手たちは守り易い。
    ポジションチェンジや後ろからの飛び出しがないために余裕を持ってバックラインを下げる。
    そしてさらに困ったことはインテルのバックラインは現在のコンディションでは裏の飛び出しにすこぶる弱い。
    (ルシオが試合中何度か足を引きずりながらプレーしていたことにお気づきの方もいたのではないだろうか。)
    そうした影響で、インテルのバックラインは高く押し上げることもできず、守備の局面では端的にバックラインを下げる。
    こうして前後分断が起こり攻守分業は明らかな形で完成する。
    こうした状況下で攻守両面に貢献できているのはファラオーネと長友の2選手だけであった。

    ●決めきれない個の力、守り切れない個の力
    そんな中でもインテルのは惜しいチャンスが何度かあった。
    1回目が前半18分、スナイデルの右のコーナーキックからマイコンがフリーでヘッド。
    これはジレの真正面で好セーブにあう。
    2回目は前半30分、同じく右のコーナーキックの流れからスナイデルのクロスにまたもやマイコンが合わせるも今度は枠の右。
    そして、引き続き、裏に抜けたフォルランがジレとの1対1を防がれ、先制できなかった。
    そんなインテルに救いはなかった。
    前半37分、左サイドのモルレオのスローインからガストン・ラミレス→ガリクス→ディエゴ・ペレスと繋がれ、最後は右でドフリーのディ・バイオへ。
    この局面の切り返しでアフターでの対応に入った長友をいとも簡単にかわし、ゴール左隅へ。
    そして、直後の前半38分、自陣右サイドのガストン・ラミレスから中のモルレオにフリーで渡り、モルレオは前線のディ・バイオへフィード。
    このボールの対応でラノッキアがミス、ボールをディ・バイオに奪われすぐさま追加点を許した。

    ●混乱の中での4-3-2-1
    一気に2失点したインテルは、ラニエリ監督は4-3-2-1に布陣を変更する。
    中盤は右からファラオーネ、カンビアッソ、サネッティで、2列目にフォルランとスナイデル。
    結論から言うと、こうしたところで混乱は収まることはなく、むしろさらに攻守分断が進んだと言っても良い。
    それくらいインテルの選手たちは混乱していた。
    きっと、「こんなはずじゃないのに・・・・・」と。

    ●後がなくなり、前に出るしかなくなったインテル
    後がなくなり、攻めるために前に出るしかなくなったインテル。
    スナイデルがサイドに流れたりしながら、中盤の選手やサイドバックの攻め上がりが出てきたため、人数は十分になった。
    これによって流れが良くなる。
    しかしこれはもちろんカウンターの危険性が増すことになり、どんどんとカウンターを受けるようになってしまった。
    これを何とかしのぎながらの時間帯になっていた後半14分、インテルにも大チャンス。
    左サイドから長友がドリブルでカットイン。
    中のフォルランに合わせるも、フォルランはドフリーで決めきれず、反撃を得点に結びつけることができなかった。
    これによってラニエリはフォルランに見切りをつけ、ポーリと交代。
    立て続けにファラオーニをルカ・カスタイニョスと交代し、4-3-2-1を保ち、攻勢に出続けたが結局1点は遠かった。
    逆に後半30分、ボローニャの交代で入ったアクアフレスカに右サイドからスルスルとドリブルで突破され、駄目押しの3点目を献上した。


    というわけで、この試合でも、ミリートを風邪で欠いたとはいえ、ラニエリの求める「バランス」を見つけることはできず、おしいところまでいきながら浮上することはできなかった。
    この最悪の流れで、監督から選手まで曲者揃いのフランスの強豪、オリンピック・マルセイユと戦うことになる。
    おそらくマルセイユとは打ちあいを演じることになるのかもしれない。
    アウェーであるから、大差で負けなければ大量得点を奪えればいいという余裕を持って、攻めることとなるだろう。
    そこで勝利を勝ち取ることができれば、浮上の波がやってくるかもしれない。
    まずは「自信を取り戻す」ことが必要となる。
    しかし、今後のカンピオナートではそれだけでは済まない。


    ●「ジョゼ・モウリーニョ」を懇願するインテリスタの悲痛な叫び
    いつもこのチームはそうなのではあるが、今シーズン2度目の泥沼状態にインテリスタは耐えきることはできない。
    そして、今回は明確に「ジョゼ・モウリーニョ」の名前がジュゼッペ・メッツァにこだました。
    それは「勝利の味をしめてしまった」インテリスタの飽くなき勝利への欲求が悲痛な叫びとなったものであることには違いない。
    もう爆発寸前のボルテージは大ブーイングとその叫びに表れている。
    自信を喪失した選手たちを見るのもこれで今シーズン2回目。
    この状況を乗り切るために必要なのは、インテルフロント内部の確固たる忍耐力とインテリスタの忍耐力にかかっている。
    このままではラニエリが危ないことはわかっているはずなのだから。



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    2011-2012 UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦 1st leg ACミランvsアーセナル ~帰ってきたダイナミズム!帰ってきたミラン!~

    ここ1カ月のミランは動きが少なく、ダイナミズムに欠けるサッカーをしているとしきりに指摘してきたことは前の記事からもおわかりいただけると思う。
    そのミランに怪我人が何人か帰ってきた。
    今回の主役はその1人、ケヴィン・プリンス・ボアテングである。
    このムーンウォーカー、いや、この王子が帰ってきたことで、ミランのサッカーにダイナミズムが戻ってきたのである。

    さて、この試合のスタメンを御覧頂こう。
    2011-2012 UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦 1st leg ACミランvsアーセナル スタメン・ベンチ

    次にフォーメーションを御覧頂く。
    2011-2012 UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦 1st leg ACミランvsアーセナル スタメンフォーメーション
    ACミラン:4-3-1-2
    アーセナル:4-2-3-1
    実線は主に重要となる動き。(赤はミラン、黄色はアーセナル)
    訂正:ヴェルメーレンが右CB,コシェルニーが左CB

    ●良いものを変えてしまったヴェンゲルの選択
    2月に入ってからのアーセナルは「[CL直前試合分析] 2011-2012 プレミアリーグ第25節 サンダーランドvsアーセナル ~アーセナルの新たなサイクルは始まっている~」で示した布陣を敷き、バランスを取り戻したように見えていた。
    しかし、このバランスをアーセン・ヴェンゲル監督は崩し、やや守備のケアを意識した布陣を敷いた。
    この理由として最も大きいのがメルテザッカーの離脱であろう。
    これにより、ヴェンゲル監督は、トーマス・ヴェルメーレンかジュアン・ジュルーをCBに起用するという選択肢を強いられていた。
    そして、ここで選択したのが前者であって、それによって左サイドバックにキーラン・ギブスを配置することとなる。
    その左サイドのディフェンスにリスクを感じたヴェンゲル監督は、左サイドハーフにトーマス・ロシツキーを回し、センターにアーロン・ラムジーを置くこととなったのであろう。
    しかし、この起用に答えれなかったのが、キーラン・ギブスであった。
    詳細については後述するとしよう。

    ●お互いの最も弱い部分は左サイド
    さて、もう1度フォーメーション図を御覧頂こう。
    今度は実線が加えられているが、この実線は私が事前に重要となるであろうと見た動きである。
    また重要となるポイントには色つきの円を加えておいた。
    2011-2012 UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦 1st leg ACミランvsアーセナル スタメンフォーメーション 動き付き.JPG

    ミランにとって最も怖いのは左サイドを攻略され、チアゴ・シウヴァを左サイドに引っ張り出されること。
    中にチアゴ・シウヴァがいる限りはファン・ペルシーのスーパーゴール以外はないと見てもよかった。
    (もちろん、ファン・ペルシーのスーパーゴールが生まれる可能性は十分高いし、2度ほどその機会があった。)
    次に怖いのはアバテとメクセスの中間のスペースの裏を完全に突かれること。
    ここもファン・ペルシーの得意な場所であり、非常に怖い部分であった。

    逆に、アーセナルにとって最も怖いのは、もちろん左のサイドバックとセンターバックの間のギャップやスペースを突かれること。
    こちらについては「[CL直前試合分析] 2011-2012 プレミアリーグ第25節 サンダーランドvsアーセナル ~アーセナルの新たなサイクルは始まっている~」で詳述したつもりだが、サイドバックがサイドや前に釣りだされたスペースを別の選手に突かれるシーンは数多く、アッレグリがノチェリーノを右に配したのもそういった狙いがあったと見れる。

    ●弱点を突き合う立ち上がり、そしてハプニング
    前半立ち上がりは両者ともにその弱点を突き合う格好となる。
    キックオフ直後からミランは右サイドを攻めた。
    対するアーセナルも右サイドからの攻撃を繰り出す。
    その中で見えてきたのは、この試合のミランはリトリートして自陣にしっかり戻り守ることを選択したことであった。

    そんな中、ハプニングが起こる。
    前半4分、左サイドでのプリンスとのパス交換から、クラレンス・セードルフがミドルシュート。
    このシュートは外れるとともに、セードルフが右足を痛める。
    この後も12分までプレーを続けたが、これは様子見と交代選手のアップ時間を待ったためであろう。
    この9分の間はミランにとって非常に危ない時間であったが、他の選手が攻撃などで時間を稼いだため、何事にも至らなかった。
    前半12分、そのセードルフに代わってエマヌエルソンが投入される。
    そのエマヌエルソンは直後の前半13分、スローインの流れからカットインし、イブラヒモビッチの落としを受けてシュートを打つもこれはジャストミートしないが、しっかりと準備ができたことを示す。
    なお、先ほどの動き付きのフォーメーション図に書き換えを行うとすると、セードルフがバイタルエリア付近で攻撃のアクセントを付ける役割であったのに対し、エマヌエルソンに期待されたのはロングパス精度を生かしたビルドアップと、左サイドの攻撃参加であることをここに明記しておく。

    ●ミランのダイナミズムの象徴は「王子様」
    この日は右へ左へどんどんと流れ、さらにスペースに飛び込むミランの選手たちの姿があった。
    その象徴が、復帰したばかりのケヴィン・プリンス・ボアテングである。
    前半15分、そのプリンスが跳躍する。
    右サイドでシュチェスニのロングボールを拾ったノチェリーノが、フリーのまま裏に飛び出すプリンスへ浮き球のパス。
    これを胸トラップで受けたプリンスは迷わず右足を振りぬいた。
    これがゴール上隅を叩きながらゴールに突き刺さり、ミランが嬉しい先制点を奪う。
    このシーンで御覧頂きたいのはこの図である。
    2011-2012 UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦 1st leg ACミランvsアーセナル 先制点ポイント
    ここではマークの受け渡しがまたもや問題となった。
    イブラヒモビッチに付いているのが、ギブスなのか、コシェルニーなのかという問題である。
    ここではどちらもイブラヒモビッチについており、アルテタも詰めることができていない。
    常時怪我人が出てバックラインが固定しきれていないこともあり、こうした意思疎通がまだ十分でないことは今後の課題と言えよう。

    ●想定外の展開、狙いが外れた采配
    ヴェンゲル監督にとってこれほどまでに早く先制点を奪われることは想定外であったに違いない。
    ロシツキーを左に配したことから予測できるヴェンゲル監督の狙いは以下のような感じであったのではないか。
    「前半は点を取れなくても、取らさなければいい。後半、点を取れなくて焦ったミランが前掛かりになったタイミングでチェンバレンとアンリを投入し、カウンターで仕留めれば良い。」
    しかし、この狙いは頓挫した。
    この結果、アーセナルは是が非でもアウェイゴールを奪いたい状況が早く訪れてしまったのだ。
    となると、帰結する結論は以下のようになる。
    「もともと攻撃の形が全く掴めていないわけではない。攻勢を仕掛け、早いうちに同点に追いつく。」
    こうしてアーセナルは全体としてラインが押し上がり、またもや攻撃時にはバックラインがミラン陣内の高さにまで高くなる。

    ●攻める時は攻める、守る時は守るが久々にできたミラン
    しかし、この日のミランはいつもと違った。
    中途半端な攻撃、中途半端な守備に終始することの多かった1カ月の戦いを「チャンピオンズリーグ」というだけでこんなにも変えれるのかと思うくらいメリハリを付けて、しっかり自陣に戻ってディフェンスし、大人数でカウンターを仕掛けるようになっていたのである。
    もちろん、危ないシーンはあった。
    上図に示したアバテとメクセスの間の裏を前半18分にファン・ペルシーにいとも簡単に突かれることもあった。
    しかし、それよりも目立ったのはカウンターである。
    前半17分のカウンターは惜しくも外れたが、この時点で「しっかり守り、カウンターで突くミラン/ポゼッションし攻めるアーセナル」の構図は既に出来上がっていた。
    前半36分のロビーニョのカウンターも惜しいものであった。
    おおよそヴェンゲル監督の狙いと真逆の展開であっただろう。

    ●攻め急ぐあまりに横の選択肢が減少、ワイドな攻撃がなくなったアーセナル
    私が「[CL直前試合分析] 2011-2012 プレミアリーグ第25節 サンダーランドvsアーセナル ~アーセナルの新たなサイクルは始まっている~」で指摘した通り、ロシツキーには縦、横の攻撃のバランスを付ける能力、攻撃のバランス間隔が優れている。
    ラムジーは逆に縦のダイナミズムに優れるが、攻めるしかなくなったアーセナルにおいて、ロシツキーがセンターにいないことは大きく影響したのではないか。
    センターで攻撃にゆとりを持たせる選手がいないため、どんどんと攻撃サイドが偏り、単発に終わる攻撃によって、アーセナルが攻勢を仕掛けながらも思い通りの攻撃を繰り出すことは少なくなってしまった。
    4+3で守るチームにとって、サイドチェンジほど嫌な攻撃の選択肢はないのだから。

    ●試合を決めにかかると決めてしまったミラン
    前半のうちにこの試合の勝敗は決まることとなる。
    前半38分、左サイドで抜けだしたイブラヒモビッチに、アーセナルサイドはオフサイドを主張もそのままフリーで左サイドを抉ったイブラヒモビッチが中のロビーニョへ。
    これをロビーニョがヘディングで押しこみ、ミランは追加点奪取に成功する。
    この日のロビーニョはいつものように外すことはなかった。

    ●立て続けの不運にさらされたアーセナル
    この日のアーセナルはハーフタイムを挟んで3つの不運に襲われる。
    1つがコシェルニーの負傷であり、ハーフタイムを待たずしてジュルーと交代を強いられた。
    そしてもう1つの不運が後半4分だった。
    左サイドのイブラヒモビッチが近くの中にいるロビーニョにパスを出すと、ジュルーが逆を取られ振り切られる。
    そのカヴァーに動いたヴェルメーレンが今度は滑ってしまい、ソングがカヴァーに入るも間に合わず、ロビーニョはフリーでシュート。
    なんとこれが素晴らしいコースに飛び。
    ゴール左隅へ。
    ミランが思いもしない追加点を決め、勝敗は決まった。

    ここでコシェルニーのケースに最も当てはまる言葉を引用させていただくことにする。
    それはこの試合の会場となったサン・シーロをミランと同じくホームとするインテルミラノのカピターノ、ハビエル・サネッティの言葉である。
    「―(略)―。ここのピッチは、天候が普通の時だって最低のコンディションだからね。」
    (インテルミラノ日本語公式HP サネッティ:「僕たちは全力を尽くしたけど、奇妙な試合だった」より)

    ●切り札投入の選択肢はウォルコットでよかったのか
    その3点目が入る前、ハーフタイムにヴェンゲル監督はティエリ・アンリを投入した。
    代えたのはウォルコットだったが、それでよかったのかどうかは疑問がある。
    ミラニスタの立場からすると、ほとんど勝敗は決まったがチャンピオンズリーグ決勝トーナメントにおいては勝敗以外にもアウェーゴールが明暗を大きく分けることも多い。
    そうした状況下で、孤立していたとしてもウォルコットを代えるのではなく、ラムジーに代えてアンリを入れ、ロシツキーをセンターに戻される方が怖かった。
    ワイドな攻撃を取り戻せば、ウォルコットの孤立は解消できた気もしなくはない。
    なぜならば、前半も右サイドにいながらロシツキーがパス交換を最も行っていたのだから。
    以下の図を御覧頂こう。
    2011-2012 UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦 1st leg ACミランvsアーセナル アーセナル前半スタッツ.JPG
    この図は前半のアーセナルの選手の平均ポジションとパス交換を線の太さで表しているものである。
    ロシツキーはギブスがほとんど参加してこない左サイドの攻撃を司りながら、センターにも顔を出し、パスワークの中心となっていたことがわかる。
    このロシツキーがセンターに回っていれば、おそらくもっとワイドに攻撃し、右のウォルコットも左の選手も効果的に攻撃にいどめたのではないかというのが私の主張である。

    しかし、どちらにせよ、余裕を持って対応されているファン・ペルシーの傍に、アーセナル復帰後はポジショニングの良さがかなり際立つティエリ・アンリが入るのはミランディフェンスにとって大きな脅威であったのは間違いない。
    そして、その起用はズバリあたっていた。
    後半11分、サニャの折り返しにアンリがうまく合わせて、ファン・ペルシーに浮き球を出す。
    これにファン・ペルシーがダイレクトでボレー。
    素晴らしいコースに蹴りこむも、アッビアーティが好セーブ。
    さすがアンリとファン・ペルシー、というところを見せ付ける。

    ●動くヴェンゲル、対応するアッレグリ
    ギブスに代えてのアレックス・オスクレイド・チェンバレンの投入である。
    ソングをセンターバックに下げ、ヴェルメーレンを左SBにおいて、完全に攻めの姿勢を作り上げる。
    中盤は、右からチェンバレン、アルテタ、ラムジー、ロシツキーで4-4-2という布陣に切り替える。
    対するアッレグリもすかさずこれに対応し、怪我明けのプリンス・ボアテングがここで交代。
    カピターノ、マッシモ・アンブロジーニを投入する。
    これにより、4-4-2に。
    この4-4-2はダブルアンカーの4-4-2のようなもので、ここ最近守備固めのときによく使っている。
    中盤の枚数をきっちり同数にすることで対応する。

    ●カテナチオの4-4-2
    ミランがヨーロッパの舞台で「守る」ことを主眼とした場合、相手チームが組織的に崩すことはほとんど難しいと言っても過言ではないかもしれない。
    あのバルサでさえ、「メッシ」という武器なしには不可能であると自負する。
    しっかりと危険な2ライン間の距離を狭くしながら、裏のスペース、バイタルエリアをケアすることで、その後、アーセナルにはチャンスは1度しかなかった。
    そのチャンスシーンではアッビアーティが再び好セーブを見せ、無失点で切り抜けたミラン。
    セリエの守備組織が「守る」と決めたらヨーロッパの舞台では異質なほど「守りきれる」ことを証明したのではないか。
    それどころかカウンターからイブラヒモビッチがPKを奪い、自ら決めてしまった。
    狡猾すぎるほど狡猾に勝ちきったミランですが、これが「セリエ」であり、「カルチョ」です。
    突破に向け、2nd legには4点のリードを保った状態で進むこととなる。

    2011-2012+UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦+1st+leg+ACミランvsアーセナル+スコアボード_convert_20120216213222.jpg




    この試合においてはやはり「UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント」という舞台が、ミランの選手たちを奮起させたのではないだろうか。
    明らかにここ1カ月の選手の動きが何だったのかと思わせるほどのハイパフォーマンスを見せたことが、アーセナル撃破への1戦目を納得の形で終えさせたことは言うまでもない。
    久々のベスト8へ、そして、後に続くセリエ勢のヨーロッパでの戦いを牽引すべく、ミランの戦いはまだ始まったばかりだ。

    対するアーセナルは予想以上のミランのハイパフォーマンスに驚きはあったに違いない。
    ここ最近のアーセナルは良いバランスを見つけていたと言える。
    しかし、それでも怪我人続出の状況の影響を拭い去ることができなかった。
    もちろん、「たら、れば」はある。
    ヴェンゲル監督に与えられた選択肢は数少ないものであっただろうが、もう少し攻撃的に勝負を挑んでも良かったのかもしれない。
    ただ、随所に見られたのは、それでもやはり驚異的な選手を常に保持しているという点。
    ファン・ペルシーはオフ・ザ・ボールの動きでも、シュートのテクニック、精度でも一級品であったし、ティエリ・アンリはベテランの味を絶妙のポジショニングという点で見せてくれた。
    若き戦士アレックス・チェンバレンもドリブルを果敢に仕掛け、勝つシーンも多かった。
    ロシツキ^に至っては攻撃のオーガナイズの点で優れたバランス感覚を見せていた。
    それだけに、その組み合わせが噛み合わなかった采配が悔やまれる。

    2nd legは2012年3月6日(火曜日)、舞台をロンドン・エミレーツ・スタジアムに移して行われる。
    この舞台でもきっとアーセナルはミランを脅かし続けるだろう。
    若い選手にとっては逆境が奮起への起爆剤となるはずだ。
    ミランはその逆転を期するアーセナルをうまく往なさねばならない。
    ヨーロッパの舞台において、油断は禁物である。
    「スーペルデポルの奇跡」「イスタンブールの悲劇」を繰り返さぬためにも、次節は再び試されるときなのである。



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    2011-2012 セリエA第23節 インテルミラノvsノヴァーラ ~積み上げたものを崩されたラニエリの苦難~

    インテルの冬の補強がまたもや現場の監督を窮地に追いやるかもしれないことは「2011-2012 セリエA 冬のカルチョメルカートまとめ&採点 第1回 ~AからJまで~」で実は既に示唆してある。
    そのメルカート後(もっと詳しく言うと、メルカート直前のレッチェ戦もモッタはサスペンションであったのでその試合から)、ラニエリ監督は4-4-2を諦め、またもや4-3-1-2に挑戦することとなる。
    これは攻守両面における十分な活躍が望めるのはカンビアッソとチアゴ・モッタだけだと判断したためかもしれない。
    しかし、この4-3-1-2への再転換後、再びインテルには負の流れが押し寄せる。
    1月29日(日曜日)レッチェ戦(アウェイ):0-1 敗戦
    2月1日(水曜日)パレルモ戦(ホーム):4-4 ドロー ※ピッチが雪で真っ白だったこともあり、あまり参考にならない
    2月5日(日曜日)ローマ戦(アウェイ):4-0 敗戦
    4-4-2への転換で積み上げてきた連勝街道が完全に封鎖され、その積み上げた4-4-2という積み木までもがチアゴ・モッタの放出で崩れてしまった。
    そう、再びラニエリは積み木を積み直さないといけないのである。

    では、このノヴァーラ戦のスタメンを見ていただこう。
    2011-2012 セリエA第23節 インテルミラノvsノヴァーラ スタメン・ベンチ

    フォーメーションを見てみよう。
    2011-2012 セリエA第23節 インテルミラノvsノヴァーラ スタメンフォーメーション
    インテルミラノ:4-3-2-1
    ノヴァーラ:5-3-2

    ●新感覚、テクニカルな選手で埋め尽くされた4-3-2-1
    ラニエリはこの試合ほとんど初めてと言っても良いスタメンを組んでいる。
    それがこの起用できるテクニカルな選手を全員起用するという4-3-2-1であった。
    ここで多くのファンの方が不思議に思った長友ではなくキヴを起用した理由はここにあろう。
    キヴはパスの精度が高く、ビルドアップ能力が高い。
    そうしたテクニカルな面ではキヴには未だ及ばない。
    しかし、こうしたスタメンの配置はラニエリの望むところではない。
    基本的にラニエリは好守両面においてバランスの取れた能力の選手を望む傾向が強い。
    この試合においてはその条件を外し、完全に「ファン好みの」4-3-2-1のスタメン配置であったに違いない。
    (マイコンは累積警告による出場停止、サムエルは怪我で出場不可であったので、この2人がいないのは仕方がない。)

    ●完全にひきこもりサッカーが板に付いたノヴァーラ
    ここ最近のノヴァーラは格上相手には5-3-2を敷き、5+3(+1)でしっかり守ることを先決とする。
    このひきこもった状態のノヴァーラに対し、インテルは圧倒的なポゼッション(69.7%)を誇りながらじわじわと圧力をかける。
    しかし、これにもノヴァーラはその圧力を受け続けるだけで、カウンターには4人から5人の選手しかかけない。
    このノヴァーラに対し、インテルはミドルシュートを浴びせ続けるも、得点を得ることはできない。
    もちろんチャンスシーンはあったにはあったが、結局は決めきることができずに前半をスコアレスで終える。

    ●試合を決めた新加入選手
    そんな試合が動いたのは後半11分のことだった。
    インテルのCKのカウンターから、ジェダがフリーで持ち上がり左サイドのカラッチョロへ。
    これを受けたカラッチョロが切り返しでキヴをかわし、左足は素晴らしいコントロールでゴール左隅へ。
    値千金の先制ゴールを挙げた。

    ●裏を取られたくないインテル
    今のインテルのディフェンスにとって最も怖いのは裏を取られることである。
    それは怪我がちのCB陣にとって最も弱いフィジカル面を問われるからである。
    だからこそ、カウンターで持ち上がったジェダにはプレスがあまく、カラッチョロに対しても甘くなってしまったのである。

    ●FWを投入しても時すでに遅し
    HT明けからアルバレスに代えてパッツィーニを投入していたラニエリは、失点後、ポーリに代えてディエゴ・フォルランを投入する。
    単純に引いてくる相手により得点力の高い選手を入れて圧力を、そして中の人数を多くしたかったと考えられる。
    しかし前線に張りきった選手たちがいる中に残されたカンビアッソやスタンコビッチの飛び込むスペースは限定され、ただただ前線の人数だけが多い状況となってしまった。

    ●キヴのテクニックを諦めて長友を投入した理由
    これは単純に前掛かりになったインテルが攻勢を緩めることなくカウンターに対策するには長友のスピードを必要だと判断したからであろう。
    この際、左サイドに流れることの多いスナイデルとの連携も良いということも幸いしたと考えられる。

    結局、この試合は終始押していたにも関わらず崩しのメカニズムやギャップを作れなかったことにより、あっさりと負けた感の強いインテル。
    この試合においては個の力で力押しするインテルという旧来のイメージに逆戻りした感が強い。
    この試合によってラニエリがどう感じたかはわからないが、慎重なポゼッションタイプのチームという域を出ないこの構成のチームは再び日の目を見るのかはわからない。
    しかし、今、ラニエリが非常に困難な選択を迫られている。
    フロントはおそらくこんな構成のチームが完成度を高くすれば大喜びするのは間違いない。
    しかし、それがうまくいかなければ、現在批判にさらされているフロントは責任逃れの監督解任を選ぶ、というシナリオも見えなくはない。。。。。



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    [CL直前試合分析] 2011-2012 プレミアリーグ第25節 サンダーランドvsアーセナル ~アーセナルの新たなサイクルは始まっている~

    ACミランはアーセナルとのUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦 1st legを明日に迎えている。
    今回のブログではその対戦相手となるアーセナルの直前の試合を分析することにしたい。
    この記事では特にアーセナルの戦術分析を主眼においていることをお断りしておこう。

    まずはこの試合のスタメンから。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 サンダーランドvsアーセナル スタメン・ベンチ・選手交代


    では次に、フォーメーションを見る。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 サンダーランドvsアーセナル スタメンフォーメーション
    サンダーランド:4-2-3-1(0トップ)
    アーセナル:4-2-1-3
    実線は特に意識されていた動き


    ●アーセナルは「戦術=ファン・ペルシー」ではない
    今のアーセナルで最も目立つ存在がファン・ペルシーであり、「アーセナルは戦術=ファン・ペルシー」と言われることも多い。
    しかし、これは決してそうではなく、チームとして崩そうとしており、その際に最も良いポジションに入るのがファン・ペルシーである、ということであると反論をしたい。
    もちろん、ファン・ペルシーや後ほど見るティエリ・アンリの個の力といったものによるゴールがあることも否定はしない。
    現にアーセナルの崩しの局面は非常にシステマチックなものが多い。
    そのシステマチックなものを以下では見ていきたいのである。

    ●アーセナルのスタメンに抜擢された新たな若き戦力
    ここ最近の試合ではアーセナルに変化が起きた。
    それがアレックス・チェンバレンのスタメン起用である。
    この18歳のウィングはアーセナルのカウンターという1つの武器に非常に上手く化合したと考えられる。
    その点が上に書いたフォーメーション図における実線(=特に意識されていた動き)に表れている。
    アーセナルの右ウイング、テオ・ウォルコットの最大の良さはカウンター時の裏への飛び出しのタイミング、そしてスピードにある。
    しかし、このウォルコットのカウンターでの突破は完全にDFを振り切らない限りは、中へのカットインではなく縦の突破に限定される。
    このとき、中の厚みを持たせるのがチェンバレンである。
    若く十分なスピードを持つこのチェンバレンはウォルコットの縦の突破の速さに付いていくことが可能で、左サイドに置かれるとカットインの動きを非常に重視する。
    この動きがあるため、アーセナルのカウンターは非常に速く、厚みのあるものとなるのである。

    ●アーロン・ラムジーではなく、トーマス・ロシツキーの理由
    このチェンバレンのスタメン抜擢によって、2月からスタメンを獲得したのがトーマス・ロシツキーである。
    ラムジーの良さはセンターでのラストパスや詰めの飛び出しの能力であるが、逆にロシツキーは前後のバランスやサイドへのサポートの動きに長がある。
    後者を選んだ理由は、チェンバレンとの兼ね合いにある。
    すなわち、ロシツキーが前後左右のバランスを見たポジショニングをすることで、チェンバレンの動きに自由度が増すことにその理由があるのだ。

    ●3人のセンターハーフのバランス感覚
    私は上にアーセナルのフォーメーションを4-2-1-3と表記したが、これには含みがある。
    「攻撃スタート時のものを基準にすると」という条件付きになるのがそれだ。
    このアーセナルのフォーメーションには臨機応変に如何様にも見えるときがある。
    しっかりとブロックを付けて守っているときは4-1-4-1、ビルドアップが完了すれば4-3-3というように。
    この如何様にも見えるシステムの中心を司るのが、ミケル・アルテタ、アレックス・ソングの2人である。
    この2センターハーフのコンビネーションはかなり熟していると見てよく、ビルドアップ時には片方がバックラインの近くまでサポートに戻るともう片方が前に出たり、守備時には片方がファーストプレスをかけるともう片方がリトリートする、といったように、前後のバランスをしっかりと付けている。
    そこに前でバランスを取るロシツキーが加わるといった形で、バランス感覚を保とうという形である。
    以前はガナーズの代名詞とも言えた「パス&ゴー」の形は減ってしまったが、その代わりに中盤でのバランスは以前より増した印象がある。
    今後はそのバランスを保ちながらも「パス&ゴー」をまた増やすことができれば、さらに驚異的な攻撃を織りなすことになろう。

    ●きっちりと守備ブロックを作るサンダーランドを崩しきれないアーセナル
    試合は終始アーセナルが主導権を握り、サンダーランドがきっちり守るという展開であった。
    しかし、アーセナルはなかなかチャンスに結び付けることができない。
    ここでのポイントは「サンダーランドが2ライン間のスペースをかなり狭くし、アーセナルが攻撃のスイッチを入れる機会を与えなかったことであろう。
    アーセナルのカウンター以外の攻撃において重要になるのはこの相手の2ライン間でのスペースに入る選手と、その動きで空いたスペースに入る選手の連携プレーである。
    しかし、サンダーランドはこの2ライン間を狭め、しかもバックラインを低く設定しながらラインの上げ下げを行っていた。
    これによりアーセナルはボールポゼッションが続くが仕掛けることが非常に困難であった。

    ●膠着した時にも効果を発揮するテオ・ウォルコットの飛び出し
    この試合のサンダーランドは守備時にフィールドプレーヤー10人全員が自陣でのディフェンスに戻り、スペースを消していたが、バックラインの上げ下げも2ラインの間隔を意識して頻繁に行われていた。
    ここで効果を発揮したのがテオ・ウォルコットである。
    まずは前半23分、サンダーランドのFKのカウンターからファン・ペルシーがフリーで持って上がると、ウォルコットがバックラインを見ながら飛び出し、そこへスルーパスが出る。
    これをシュートするもボールはゴール左へ。
    この試合最初のチャンスを逃す。
    さらに前半31分も膠着した状態から上手くラインを破って飛び出すウォルコットの姿があった。
    こちらのソングの浮き球のパスをダイレクトで打ったシュートも枠を外れるが、効果的な飛び出しを見せたウォルコット。
    この動きは相手ディフェンスラインの上げ下げを難しくするという効果を発揮することになる。

    ●ガナーズの守備における不安定感
    上記のように少なくとも2月に入ってからのアーセナルは好守のバランス面においては大きな成長を見せているが、それでも拭えないのが守備における不安定感である。
    この不安定感は決して以前のガナーズのように攻撃的すぎるだとかといったものに起因するものではない。
    ここでの課題は「マークの受け渡し」における欠陥が大きく起因する。
    本来はボールホルダーへのプレッシング意識とマーカーを見るという行為は同時になされなければならないのだが、「できるだけ早くボールを奪取する」ことを主眼とするディフェンスがなされるパターンが多く、これによってボールウォッチャーになる選手が前線には何人かいる。
    マークの受け渡し
    前半最後のサンダーランドのチャンスはロシツキーがこの例に当てはまる形となり、コールバックにフリーでの攻め上がりを許したことが大きなピンチを招いた。
    マークの受け渡し②

    こうしたシーンはほぼ毎試合において散見されることからも、素早いポジションチェンジやバックラインが崩れるなどのミスが起こるとほぼ確実にピンチを招いており、リスクマネージメントの面に課題があると言えよう。

    ●アーセナルディフェンスの1つの弱点
    この試合、先制点が奪えないことから後半のアーセナルは全体的にラインを押し上げ、サンダーランドディフェンスに対する圧力を強める。
    後半に入ってからというものアーセナルのバックラインは攻撃時には敵陣内の高さまで推し上がり、ほとんど試合を制圧する形となったが、ここで生じるのはカウンターの危険性である。
    アーセナルの弱点がこのカウンターを受けたときの対応に表れる。
    ここに1例があるので御覧頂こう。
    サイドバックとセンターバックの間①
    まずは左サイドバックのヴェルメーレンがマンマークの規則通りF・キャンベルに釣りだされる。
    サイドバックとセンターバックの間②
    それによって空いたスペースを埋めることがないため、セバスティアン・ラーションが突く。
    サイドバックとセンターバックの間③
    これをアーセナルの中盤の選手がカヴァーリングすべきなのであるが、そのカヴァーリングによって空くことが予想されるバイタルのスペースを埋めるべき選手の戻りが遅く、アレックス・ソングの判断が非常に難しくなっていることが十分にわかっていただけるであろう。

    このシーンの直後、アーセナルはセットプレーから再三こぼれ球をミドルシュートであわやのシーンを作り出されるが、こちらに関してはシュートコースを限定することはできていたため、あまり問題とは感じない。
    この流れで既にメルテザッカーの動きがおかしく見えたのだが、これがサンダーランドの先制点につながった。

    ●アンリの投入と緊急投入となったアーロン・ラムジーがもたらした4-2-4
    チェンバレンとアンリの交代があった直後にメルテザッカーが負傷し、ソングをCBに下げてアーロン・ラムジーを入れることとなったアーセナル。
    アンリはセンターでのポストワークが必要と判断し、中に張ることも多かったため、ロシツキーがサイドに流れるケースが生じ始める。
    半ば付け焼刃的に生じた4-2-4のような形が、アーセナル起死回生の同点ゴールを生み出す。
    サンダーランドはこの3トップとロシツキーによるアーセナルの前線の圧力を耐えきれず、ズルズルとラインを後退させた瞬間だった。
    後半30分、アルテタのミドルシュートがブロックされたこぼれ球がバイタルエリアでフリーのラムジーの足元へ。
    これを逃さず蹴りこんだラムジーが投入直後に結果を出し、アーセナルがすかさず同点においついたのであった。

    既にウォルコットの飛び出しが必要のないところまでサンダーランドのバックラインが下がりきったことを見たアーセン・ヴェンゲル監督はすかさず動く。
    そのテオ・ウォルコットに代え、アンドレイ・アルシャービンを投入し、本格的に4-2-4へ。
    これが最後の最後に形を成した。
    後半46分、左サイドのアルシャービンが2人のプレスの間を抜くクロスを上げると、中ではアンリがマーカーを瞬間の動き出しで外し、足で合わせたのであった。



    この試合は1つのアーセナルの形を見る上で、非常に重要なものであったと見る。
    引いた相手に対してのアーセナルの攻撃がどういったメカニズムを主体とし攻略にあたっているかというのがそれだ。
    中に厚みを持たせる選手、攻撃に幅やゆとりを持たせる選手、そして、縦の飛び出しでバックラインを揺さぶる選手、こういった選手たちの組み合わせに関してはプレミアリーグ随一の幅広さをいまだ誇っていると言っても良いだろう。
    最後は試合を完全に制圧し、その圧力を完全に生かしきった勝利であり、「まぐれ」も「奇跡」もない。
    十分に布石の多い、重要なゲームであったと言えるだろう。

    さて、このアーセナルに対するミランは、上記に見たアーセナルディフェンスの弱点を突けるのだろうか。
    そして、こうしたバリエーション豊かなアーセナルの攻撃を止めることができるのか。
    ミラニスタの立場であるので、どうしてもこうした観点から見ることが多かったが結局答えはわからない。
    2月15日(水曜日)、きっと好ゲームになるに違いない両チームの命運を握る重要な一戦が待ち遠しい。



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    2011-2012 セリエA第23節 ウディネーゼvsACミラン ~運が悪すぎたウディネーゼ、内容は今シーズン最悪のミラン~

    今シーズンのウディネーゼの内容の良さについては「2011-2012 セリエA第20節ユヴェントスvsウディネーゼ ~ソリッドかつ魅惑的な今シーズン最高のゲーム~」にて詳述したつもりである。
    そのウディネーゼに対し、魔の2月に入ったミランは本当にさらに内容が悪化している。
    この両チームの一戦を今回は解析していこう。

    まずはスタメンから。
    2011-2012 セリエA第23節 ウディネーゼvsACミラン スタメン・ベンチ


    これをフォーメーションにすると以下のようになる。
    2011-2012 セリエA第23節 ウディネーゼvsACミラン スタメンフォーメーション
    ウディネーゼ:3-5-1-1
    ACミラン:4-3-1-2


    ●1発で仕留める!グイドリンが放った単純明快な策
    フォーメーションのポイントはここ最近の試合と違ってイスラとアブディの位置が逆であること。
    この狙いは2つあったと思われる。
    1つが、イスラをより前に置くことで、カウンターの仕掛けの位置を単純に高くし、イスラとディ・ナターレのコンビネーションプレーで1発でゴールを奪うことにあったと思われる。
    ウディネーゼの鋭いカウンターにはこの2人とアルメロだけでゴールを奪ってしまう例が既に多々ある。

    ●グイドリンの単純明快な策の裏に隠れた巧妙な罠
    しかし、狙いはそれだけではなかった。
    グイドリンという策士はしっかりと裏に巧妙な罠を隠している。
    イスラが単純に前に置かれたわけではない。
    アブディとイスラはともに攻守両面での能力を備えたマルチローラーである。
    既に右サイドではイスラとバスタの連携は完成されており、イスラが先手、バスタが後手という関係が形成されている。
    そのイスラとアブディの関係にも状況に応じた臨機応変なポジションチェンジがなされていた。
    イスラが前に出たときはアブディが下がり、アブディが前に出たときはイスラがサイドに流れる。
    こうした関係において、イスラ、アブディ、バスタの3人の位置関係が場面場面で異なることによって、ミランのディフェンスはそのマークの受け渡しに苦労する。
    こうすることで攻撃時には流れを崩すことなく右サイドの攻略にあたることが可能となるのであり、こうした対応の難しさから、ミランの左サイドバック、ジャメル・メズバがほとんど攻撃に出ることは不可能となり、ミランのいつもの左からの崩しは封じられることとなる。

    ●一瞬の隙を突くウディネーゼの狡猾さ
    形成が完全にウディネーゼに傾きかけたその時であった。
    前半19分、ハーフウェーライン付近のFKからイスラがディ・ナターレに楔のパスを繋ぐと、ポストプレイからの反転で、メクセスを完全に置き去りにし、G・フェルナンデスからのリターンを受けたディ・ナターレがシュート。
    これが決まり、ウディネーゼが先制に成功する。

    ●メクセスが見せた1つの弱点
    この試合、フィリップ・メクセスはディ・ナターレのある動きに完全に対応できず、苦しむこととなった。
    それが楔のパスを受ける動きからの反転に対する対応である。
    このフランス代表CBは失点シーンだけではなく、後半17分にもディ・ナターレの楔を受ける動きで釣りだされ、素早い反転に完全に置き去りにされピンチや失点を招いている。
    今後、この弱点を突いてくるチームが出てくるだろう。
    注意が必要である。

    ●中央突破の1つの形「FWのポストからの反転を使ったワン・ツーの対応方法」
    失点シーンを例に1つの中央突破の崩しの類型である「FWのポストからの反転を使ったワン・ツーの対応方法」について一般論を進めていく。
    まず、この中央突破の崩しに対する守備側にとって最も重要となるのは「マンマーク」を外さないことであり、ディ・ナターレの動きはこのマンマークを外すということにおいて完全に成功している例であることを明記しておきたい。
    それがまず動きだした瞬間のシーンに表れている。
    ディ・ナターレの動きだし
    このシーンはディ・ナターレがチアゴ・シウヴァとメクセスの間からポストを受ける動きでマークを外しているところである。
    このマークを外してしまっている時点で、ミランは後手に回らざるを得ないのであるが、マークを外す動き自体が秀逸であったので仕方ないと言えば仕方ない。
    この問題は次のシーンである。
    ディナターレのポストからの反転
    その「後手」の状態でメクセスはディ・ナターレについていく。
    このシーンの場合、わざわざ「後手」でついていくのであれば、ディ・ナターレを放置し、バックラインに残って前を向いてきたディ・ナターレをミッドフィルダーとはさみこむ方が得策である。
    この時点で危険な場所が完全に空いていることがわかるであろう。
    欲を言えば、チアゴ・シウヴァがやや右にポジションを修正したかったところだが、そうすれば逆にアンブロジーニを振り切るかもしれないG・フェルナンデスがそのまま持って上がったかもしれない。
    そして
    メクセスの反転スピードの遅さ
    後手でも「マークに付く」ことを選択したメクセスには「完全に付ききる」という義務が発生するが、メクセスはディ・ナターレの反転に完全に振り切られ突破を許す。
    メクセスの反転スピードの遅さ
    メクセスがこの中央突破に対するディフェンスの仕方においての基本を完全に遂行できなかったのは反転スピードの欠如であって、敏捷性の不足を感じさせるプレーであったことは言うまでもない。
    これと同様の動きでメクセスは後半17分にも同様の動きでディ・ナターレに突破を許している。

    ●攻撃で良いとこなし。ミランのスタメンの組み合わせ論
    ミランのフォワードにはある1つの傾向がある。
    それはサイドに流れたり、ポストプレーに出たりすることでフリーでボールを足元で受けたがるタイプが多いことである。
    中でただただ裏を狙うフィリポ・インザーギのようなタイプは少ない。
    (ただし、アレッシャンドレ・パトはそのプレースタイルを習得しようとしている。)
    こうした場合、重要となるのはチェントロカンピスタ(MF)が2列目や3列目からバックラインのスペースに飛び出すことである。
    こうした動きで輝きを放っているのがケヴィン・プリンス・ボアテングであり、アントニオ・ノチェリーノである。
    この日、トレクァルティスタに入ったクラレンス・セードルフはあくまでもゲームを作る側の選手であり、こちらもスペースでボールを受けることを好む。
    右のインサイドハーフのウルビー・エマヌエルソンももともとはウイングのドリブラーであるため、これも同様である。
    加えて、ここ最近はノチェリーノの裏への飛び出しは完全にバレているために非常に強いマークが付いており、飛び出す隙を与えられない。
    そうしてここ最近露呈しているのが、バックラインとの駆け引きのなさである。
    そして更にセンターで人がいないという現象も見られる。
    これではボールを持っても何ら相手に脅威はなく、ただただ「ボールを保持している」だけである。
    この組み合わせは即刻やめるべきものであり、この状況が続く限り、ミランの攻撃が脅威となるのはたまに出る「個の力の総合」だけである。

    ●ちょうど良いバランスを見つけたミランのカピターノ
    こうした状況の悪さを感じ取り、センターの攻撃に厚みを加えようとしたのがミランのカピターノ、マッシモ・アンブロジーニである。
    2トップがサイドに流れて空いたセンターのスペースに飛び出す選手がいないことを感じ取ったカピターノは中盤のアンカーの仕事だけではなく、そのスペースを突く動きを試みようとし始める。
    このリスクの高い判断は前半35分のウディネーゼによるディ・ナターレ、マウリシオ・イスラ、アルメロの3人だけでカウンターしシュートまで持ち込まれることになるが、それでも広い視野と高い状況判断能力でバランスを取る動きをしながらも、必要と感じた際には果敢に続けられる。
    しかし、このカピターノは決して目立たないながらもちょうどよいバランスを見つけ始め、中盤でのパスカットや展開において絶妙のポジショニングを取り始める。
    そんな中生まれたのが前半終了間際の裏へ飛び出したエル・シャーラウィへのロングスルーパスであった。
    このボールはダニーロなんとか対応したものの、ウディネーゼがこの試合始めてひやっとしたシーンであっただろう。

    ●ウディネーゼの不運
    後半は若干ではあるが持ち直し始めたミランだったが、ウディネーゼに最大の不運が起こる。
    後半13分、マウリシオ・イスラがアンブロジーニのボールを奪取しようとした右足がアンブロジーニに絡まり、アンブロジーニが倒れた身体が右足の膝の上に。
    これでイスラがパスクアーレと交代する。
    (マウリシオ・イスラは右ひざの内側靭帯損傷、前十字じん帯も痛めたとのこと。
    長期離脱が予想されるが、イスラはセリエのクラッキの1人、一日も早い回復と復帰を願う。)
    この交代はウディネーゼにとって極めて痛手である。
    先ほども申し上げた通り、ウディネーゼのカウンターの武器はディ・ナターレとイスラのコンビネーションとアルメロの突破力である。
    このイスラの交代はその武器の力を半減させるものであり、これでウディネーゼのカウンターはディ・ナターレのテクニックとアルメロの突破力に限定され、ミランにとって対応が簡単になったのは言うまでもない。

    ●また前掛かりになるだけのアッレグリの選手交代
    対するアッレグリも動く。
    後半22分、出ずっぱりだったために疲れが見えるアントニオ・ノチェリーノに代えて、新加入のマキシ・ロペスをCF入れ、4-3-2-1にシステムを変更する。
    セードルフは左のインサイドハーフに入った。
    これはウディネーゼの右サイドの攻撃を司るイスラの交代があったために踏ん切りをつけれた交代であり、イスラがいる状況でこの交代をしたならば明らかにリスクの高い危険な交代であったことは言うまでもない。
    その証拠にその左サイドをドミッツィ、アルメロだけでカウンターで崩され、ドミッツィのシュートを受けている。

    ●度重なるウディネーゼの不運
    またもやウディネーゼに不運が起こる。
    アントニオ・ディ・ナターレの怪我である。
    (ディ・ナターレの怪我は右足の指の骨にひびが入ったとのこと。)
    後半30分、ディ・ナターレに代わってフローロ・フローレスが投入される。
    その直後だった、ウディネーゼのCKからカウンターで左サイドに流れたエル・シャーラエウィがシュートを打つ。
    ハンダノビッチが弾いた先にはマキシ・ロペスが詰めていた。
    これを決めたマキシ・ロペスの得点で、値千金の同点ゴールを奪う。

    ●まさに執念、エル・シャラーウィが見せたミランへの真摯さ
    まさに執念だったとしか言いようがなかった。
    ウディネーゼが浮足立ったことを理解したこの若きファンタジスタは裏への飛び出しを連発する。
    同点に追いついた直後の後半33分にも裏へ飛び出し、惜しいシーンを作り出す。
    守っても自陣深くまで敵を追い、積極的な守備参加を行っていたことは明記しておきたい。
    これに呼応するかのように奮闘していた選手たちが息を吹き返す。
    守ってはマルコ・アメーリアが重要なセーブを繰り返し、チアゴ・シウヴァも敵の攻撃の防波堤となりつづけた。
    中盤ではマッシモ・アンブロジーニが重要なパスを出し、カウンターを高い位置で摘み取った。
    そして、新加入のマキシ・ロペスもこれに反応する。
    後半40分、またもやカウンターから右サイドでマキシ・ロペスが裏へ飛び出し、中のエル・シャーラウィへ。
    これをきっちりニアサイドに叩きこみ、ミランは執念のみで逆転に成功する。

    ●あとは「きっちり守るだけ」はきっちり遂行できるミランの底力
    逆転されたウディネーゼはパツィエンツァに代えてトルジェを投入し、状況打開を試みるもミランはロビーニョをダニエレ・ボネーラに代え、守備ではきっちり4+4ブロックを形成して対応した。
    こうなったミランはきっちり守りきるところだけは王者としての底力が残っていたのかもしれない。


    こうしてミランはウディネーゼに内容は今季最悪なものを見せながら辛勝するわけであった。
    そんな中、何人かの選手が見せてくれた執念というべきものがミランを救ったことは言うまでもない。
    これは力ではなく、アッレグリの言うように「魂で奪った勝ち点3」であったと言うべきだろう。
    そうした執念を見せてくれた選手たちに感謝したい。
    また、チアゴ・シウヴァが今シーズン初のイエローカードをもらってしまったことは非常に残念であった。
    フローロ・フローレスとの1対1をブロックした際にもらったカードだが、カードは厳しい判定であったと思う。
    彼は「シーズンをカード0」でクリーンに守備しきることを目標としている。
    そんな彼の記録が今シーズンも「イエローカード1」となってしまったことは非常に残念であるし、本人もカードをもらった後は非常に気落ちしているかのように見受けられた。
    そんな1枚のカードを悔いる選手がミランのディフェンダーにはいる。
    これも1つの誇りであろう。
    きっと彼ならさらにパワーアップしてくれることであると信じてやまない。

    対するウディネーゼは内容ではミランに圧勝していた。
    そこでディ・ナターレ、マウリシオ・イスラといった2人のクラッキが怪我を負ってしまったこと、そして、その嫌な空気を撥ね退けることができなかったことだけが敗因である。
    後者は長期離脱になるだろう。
    こうしたときにアフリカネーションズカップを戦った選手たちが帰って来るが、攻撃の心臓を2人も奪われてしまったウディネーゼにはどうか耐えて、好成績を残してもらいたい。
    幸いにもウディネーゼには選手起用においてはセリエ随一の監督がいる。
    この監督が最良の答えを発見する可能性は極めて高い。
    2人の心臓が帰ってくるときまで耐えきることができれば、ウディネーゼは「中堅」という殻を打ち破り、順位表に見合った「強豪」という称号を手に入れているだろう。
    もちろん、2人が早期に回復し、復帰してくれることをミラニスタとしても、セリエファンとしても祈りたい。
    Forza Isla!
    Forza Natare!
    Forza Udinese!!



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    ミランのあるべき道はどこにあるのか。

    ミラニスタをやってきて20年がたとうとしている。
    最初はおぼろげながらであったが、はっきりとミラニスタだと思ってからも10年以上は経つ。
    そんなミラニスタの戯言として読んでいただければ幸いだ。

    ミランはこのままでいいのだろうか。
    見た目の豪快さや華麗なゴールは失っていない。
    こうしたスペクタクル性は失われてないと仮定しても、何かが付き纏う。

    その付き纏うものは何なのだろうか。

    かつての選手と比べるとどうしても心許ないサイドバックにあるのか。
    彼らは守備でのミスが多く、攻撃でも大事なときに適当なクロスに終始する。
    でも、彼らは頑張っていると言える。

    それではピルロがいなくなってからというもの「パス1本で試合を決める」ことができない中盤の選手か。
    しかし、それはアッレグリの戦術を考えると仕方ないものと言える。

    では、ズラタン以外にはそれぞれ欠点のあるフォワードか。
    特にロビーニョの決定機の外しっぷりにはここ最近、ネタも感じなくなりいじる気にもなれないくらいの怒りを覚えるが、シュート以外の働きには一定以上の評価ができる。
    オフ・ザ・ボールの動きは悪くないのだ。

    ならばどうして・・・・・。



    結局は、その付き纏うものはゲームの内容ではないところにある。
    「ミランたるべき真摯さや、紳士な姿勢に欠ける。」
    苛々が募るとすぐに手が出るイブラヒモビッチはその象徴的なシーンである。
    先日のナポリ戦でもロビーニョが決定的な1対1を外した後くらいからその苛々は既に隠しきれなくなっていた。
    同様の苛々を我慢できない選手にはケヴィン・プリンス・ボアテングも挙げられる。

    それだけではない。
    プロフェッショナルファールとはいえ、ミランに来てからも荒々しく削ることを辞めないファン・ボメルもそうだ。
    今は自分が長期離脱することになったが、フラミニも昨年のスパーズ戦でチョルルカに長期離脱の怪我を負わせる両足タックルを見舞っている。

    ミランの選手に汚い選手はいなかったかといえばそうとは言えない。
    もちろんサッカーだからファールをしない選手はいない。
    しかし、何かが違う。

    前に挙げたズラタンとプリンスのような例は論外として、ファールの質も以前よりも悪質化している。
    さらに言うと、上に挙げた選手たちはわかっていないことがある。
    自分で自分を「大事な試合で退場させ」たり、自分で自分を「大事な試合で出れなく」している。
    かつてミランではそんなことはほとんどなかったと記憶している。
    が、今の選手にはそれを平気でしてしまう選手がいる。
    これはそのファールを受けた選手やそのチームに申し訳ないだけでなく、ミランをも苦しめている。
    その自覚はあるのだろうか。

    ミランの選手にはまずミランに真摯であってほしいのだ。
    ミランには脈々と続いてきた伝統があって、その伝統の中で名を残した選手は「少なくともロッソネロのユニフォームを着てプレーしているときは」ミランに真摯に貢献してきた選手だ。
    それが紳士と取られた選手も数多い。
    そんな選手が減ってきている。
    これは悲しいことである。
    どうか、ミランに真摯であってほしい。
    それができない選手はミランには必要がない。
    トロフィーの重みは違うはずだ。

    そう、ベルルスコーニ会長の言う「世界で最も手にしたトロフィーの多いチーム」はそのトロフィーの重みも大きかった。
    大事なのは、その数だけではなく、その重みさえも失われてはならないということではないだろうか。


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    2011-2012 セリエA 冬のカルチョメルカートまとめ&採点 第2回 ~LからUまで~

    前回に引き続き、今回も2011-2012冬のカルチョメルカートを振り返る。

    (ところどころにあると思われる「ローン移籍」=「レンタル移籍」)

    ●続々と上がった獲得候補に期待も、結局小さくまとまったラツィオ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ラツィオ

    この冬ラツィオは日本を巻き込みメルカートで大きな話題のクラブとなった。
    それが、日本代表の本田圭祐選手の獲得の噂である。
    しかし、実際はその獲得に失敗した。
    挙がった名前はそれだけではない。
    ユヴェントスで冷遇されているセルビア代表サイドアタッカー、ミロシュ・クラシッチもそうだし、ビジャレアルのブラジル人FWニウマールもそうであった。
    しかし、結局は誰ひとりとして獲得できず、最後の最後になんとかアントニオ・カンドレーヴァを獲得するにとどまった。

    逆に放出は多かった。
    ジブリル・シセのクイーンズ・パーク・レンジャーズへの完全移籍本人からのトランスファーリクエストがもとであるようなので、仕方ないであろう。
    しかし、決定力に難があったとは言え、サイドハーフをもこなすジュゼッペ・スクッリのジェノアへのレンタル移籍は決めるに時期尚早だったのではないか。

    そんなラツィオの今冬のメルカートの採点は6.0
    ビッグネームの獲得に失敗したとはいえ、アントニオ・カンドレーヴァというマルチローラーを獲得したことでなんとか体裁は保っており、ここでさらにカンドレーヴァが成長すれば大きな獲得となりうる。


    ●新戦力の見どころは出戻り!?先行きの見えないレッチェ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート レッチェ

    レッチェも降格圏内に沈んでいるがあまり大金を叩けず、パルマからMFマヌエル・ブラージカターニャからMFジェンナーロ・デルヴェッキオを完全移籍で、そして出戻りでFWヴァレリ・ボジノフをレンタルで再獲得するにとどまった。
    逆に、トレクァルティスタのルベン・オリベイラや左サイドの選手ジャメル・メスバをそれぞれフィオレンティーナ、ACミランに引き抜かれた

    そんなレッチェの今冬のメルカートの採点は5.0
    この冬は経験のある実力者で安価な選手を取るという方針があったので獲得した選手はそこそこうなづけるが、獲得の必要性があった左サイドバックの獲得には至れず、右サイドバックのマッシモ・オッドをセンターバックに置いた歪な3バックシステムを敢行せざるを得ない状況となっている。
    どうにか残留を遂げたいところではあるが、厳しい状況は続く。


    ●久々に何がしたかったのか本当にわからなかったACミラン
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ACミラン

    ミランのメルカートの動きのほとんどは「[ミラニスタコラム]ミランに来るべきはカルロス・テベスか、それともマキシ・ロペスか、はたまた.....でお話したとおりである。」

    その後、ドラマがあった。
    1つ目のニュースが、結局、マキシ・ロペスがミランに入団するというものであった。

    そして、ミランはメルカート最終日サンプドリアの主将、元イタリア代表MFアンジェロ・パロンボを取りに行くというニュースが流れる。
    このニュースにミラニスタは大きく喜ぶ。
    彼なら代えが効かないと言われる中盤のアンカー、マルク・ファン・ボメルの控えとしては最適なのではないかと。
    しかし、その喜びはぬかよろこびに終わるだけでなく、落胆がともにやってくる。
    そう。
    来たのはインテルで厄介者扱いされている、ガーナ代表MFサミー・ムンタリであったのだ。
    彼ではボメルの控えは無理だし、前のポジションでも必要かどうかはわからない。

    そんなミランの今冬のメルカートの採点は4.0
    そのムンタリ獲得劇の裏には噂話がある。
    確かに攻撃的MFにフィジカルの強い選手を求めていたミランはムンタリに目を付けていたというが、その獲得にはインテルとのある「口約束」が付いたという。
    その口約束というのが、インテルがムンタリをミランにレンタルで放出する代わりに、ミランはパロンボから手を引きインテルに譲る、というものだったとされている。
    実際、ムンタリの加入決定後、ミランはパロンボから手を引いている。
    真偽は定かではないが、もし本当だとするとミランのフロントは完全に一杯食わされている。。。

    結局のところ、テベスの獲得に躍起となり、最後は判断をも誤ったフロントの責任は本当に大きい。
    近年、良い補強をしてきていたという信用も今回のメルカートで台無しになったと言っても良い。


    ●過密日程でも使わなかった良い選手を整理、取ったのはネクストラベッシ?のナポリ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ナポリ

    この冬のナポリは早くに良い選手を獲得し、後は人員の整理に動いた。
    その獲得選手がウニベルシダ・デ・チリのコパ・スダメリカーナ優勝に貢献し、一躍脚光を浴びていたFWエドゥアルド・バルガスである。
    彼は一部では「ネクスト・ラベッシ」と言われているが、タイプは違う。
    “ポチョ”・ラベッシはドリブル突破が非常に長けたアタッカーであるのに対し、エドゥアルド・バルガスはどちらかというとパスを小刻みに繋ぎながらカットインしフィニッシュに持っていくのが得意なタイプ
    それはこれまでのナポリにはいないタイプのアタッカーで、これからのナポリの攻撃スタイルに新たなオプションをもたらすことになるであろう。
    なお、ナポリには既に「ネクスト・ポチョ」がいる。
    あまり知られていない選手なのでご紹介しておくと、クリスティアン・チャベスという選手がそうだ。
    彼の成長がラベッシの行く末をも左右しうるかもしれないのでこちらも注目していただきたい。

    バルガスの獲得後、ナポリはジュゼッペ・マスカーラを完全移籍で、若手のDFレアンドロ・リナウドをレンタルでノヴァーラに放出している。
    後者は出場機会に恵まれ、成長があればナポリに帰還するのではないか
    そして、メルカート最終日、マリオ・サンターナをチェゼーナにレンタル移籍で放出した。
    こちらはもう帰還はないかもしれない。

    そんなナポリの今冬のメルカートの採点は6.5
    やはり、エドゥアルド・バルガス獲得による攻撃のオプションの増加の価値は大きいと見る。
    まずは彼がセリエに順応することが願われる。


    ●実力者の補強で攻守にレベルアップを計る昇格組唯一の降格圏内ノヴァーラ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ノヴァーラ

    昇格組唯一降格圏内に沈むノヴァーラは経験のある実力者に残留の可能性を見出した。
    ナポリからジュゼッペ・マスカーラを完全移籍で、ジェノアからCFアンドレア・カラッチョロをレンタルで獲得早くもスタメンに据えている。
    さらに若手のCBレアンドロ・リナウドをマスカーラと同じくナポリからこちらはレンタルで獲得し、こちらもスタメンに

    放出で大きいのは期待されてキエーヴォから獲得したグラノチェを決定力不足でレンタル放出したことか。

    そんなノヴァーラの今冬のメルカートの採点は6.0
    はまれば強いがはまらないと弱いノヴァーラにカラッチョロ、マスカーラが加入したことは大きい。
    2人とも前所属先では冷遇されただけに爆発したいと思っているだろう。
    期待は大きい。


    ●夏の失敗を取り戻すため、新守護神の獲得に成功したパレルモ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート パレルモ

    パレルモは毎年のことだが点は取れるが、点も取られる。
    その中、夏にシリグをパリ・サンジェルマンに放出し、GKが心もとなかったが、この冬、怪我の長期離脱から復帰したばかりのエミリアーノ・ヴィヴィアーノをインテルから獲得し、新守護神を得た。

    ただし、またもやチリ代表FWピニーリャを370万ユーロと比較的安値で放出した。

    そんなパレルモの今冬のメルカートの採点は6.0
    こちらはもともと各ポジションの選手層はそこそこ良いのが特徴。
    この選手層であとはまた監督を代えなければいいのだが。。。


    ●またもや冬にインテルからのレンタルや共同保有に過ごすパルマ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート パルマ

    今冬もパルマとインテルの関係は良好だ。
    インテルに来て半年、良いところがなかったブラジル人右サイドバックジョナタンをレンタルで獲得、さらにはレンタル先のレアル・ソシエダで良いところのなかったMFマクドナルド・マリガをレンタルで獲得した。
    また、ローマからはFWステーファノ・オカカをレンタルで獲得している。

    放出はというと、あまり大きなニュースはない。
    ブラージのレッチェ移籍くらいか。

    そんなパルマの今冬のメルカートの採点は6.0
    このチームは若手の好選手をレンタルで獲得してくるのが非常に上手い。
    上に挙げた選手でもジョナタンやマリガはパルマでは十分な働きをするのではないだろうか。
    なお、若手の逸材のブラジル人MFゼ・エドゥアルドは若手育成に定評のあるエンポリにレンタルで放出しており、こちらも成長して帰ってきてくれることに期待だ。


    ●余剰人員の整理と南米に目を向けたローマ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ASローマ

    ローマにとってこの冬最大のニュースは、レジスタとしてセリエでも有数の存在であり続けたダビド・ピサロのマンチェスターシティへの移籍だろう。
    ルイス・エンリケのローマになってからは冷遇されたり、本人が家庭の事情とかでチリに帰国していたりで放出が予想されていただけに既定路線ではあった。
    とはいえ、少しさみしくなるニュースではある。
    さらにはマルコ・ボリエッロをユヴェントスにレンタルで放出しており、余剰人員を整理した形だ。

    逆に補強の目は南米に向いていた。
    まずはフルミネンセから攻撃的MFマルキーニョを獲得している。
    さらにはウルグアイのナシオナルからFWニコ・ロペスを獲得
    こちらはまだ若く、先を見越した補強と言えるだろう。

    そんなローマの今冬のメルカートの採点は6.0
    重要なのは「ネクスト・トッティ」の1人であるジャンルカ・カプラーリをペスカーラにレンタル移籍させたこと。
    彼はずっとトップチームに帯同していたが、ペスカーラという今攻撃で最も勢いのあるセリエBのチームで経験を積ませることで成長を促そうという心づもりか。
    そのペスカーラはズデネク・ゼーマンが監督を務めており、そのゼーマンはトッティを開花させたことでも知られる名将である。
    カプラーリもトッティと同じくゼーマンによって才能が開花するかもしれない


    ●身の丈にあった効果的補強で内容は良いけど勝ちきれないを解消したいシエナ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート シエナ

    昇格組ではアタランタの影に隠れているが、アントニオ・コンテの残した4-2-4システムの流れをくみながら質の高いサッカーを披露しているのがシエナ。
    そのシエナの冬のメルカートの課題は「内容は良いけど勝ちきれない」を解消すること。
    そこで獲得したのがチェゼーナのベテランのアルバニア代表FWエルヨン・ボグダニと、ノヴァーラのMFルイジ・ジョルジであった。
    前者は完全移籍、後者はレンタルでの獲得になっている。

    そんなシエナの今冬のメルカートの採点は5.5
    昇格組であるし、そこまでの補強資金もないためこの補強にとどまったので、仕方がない。
    それにもともと内容は良い。
    ただ、1つだけ惜しいのが獲得間近までこぎつけたACミラン、いやイタリアサッカー界のレジェンド、フィリポ・インザーギの獲得に、インザーギ本人が踏みとどまったこと
    経験値が高く、「出れば何かやってくれる気がする」このベテランの加入によってカライオやデストロの成長を促したかったのであろう。
    悔しい思いはしたが目の付けどころはよかった。


    ●最後に笑うのは結局このチーム!?毎回メルカートでは1人勝ちのウディネーゼ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ウディネーゼ

    このチームはメルカートでの動きが実に巧妙である。
    冬は主力の放出は行わなず、逆に補強が必要なポジションに安価で即戦力となりうる選手を買いながら、保有している若手選手のレンタルの移動などに走る。
    今回の移動もほとんどがその若手選手の動きである。

    ただ、獲得に動いたのは、アフリカネーションズカップでクワドォー・アサモア、ティエリ・ドゥバイ、エマヌエル・アギエマン=バドゥの3選手が抜ける中盤センターのみ。
    ここには、サンテティエンヌからスイス代表でキエーヴォでのプレー経験のあるジェルソン・フェルナンデスユヴェントスで控えに甘んじていたが昨シーズンはナポリで主力だったミケーレ・パツィエンツァを獲得した。
    両者ともにレンタルでの獲得だが、前者には買い取りオプションが付いているあたり、「さすが」である。

    そんなウディネーゼの今冬のメルカートの採点は7.0



    以上でセリエA全チームのメルカートでの動きを振り返った。
    低調なメルカートを過ごしたチームの今後には心配だが、自力でなんとかするチーム、できないチームとあるだろう。
    今後の冬のメルカートで動いた選手の奮起に期待だ。


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    2011-2012 セリエA 冬のカルチョメルカートまとめ&採点 第1回 ~AからJまで~

    2011-2012のセリエAの冬のカルチョメルカートは「比較的安価な適材適所の補強」に徹したチームが多かったように思われる。
    今回はその冬のカルチョメルカートを振り返っていく。
    この号は非常に長くなるため、アルファベット順に並べて半分のAからJの頭文字までを第1回とし、残り半分のLからUを次号とする。

    (ところどころにあると思われる「ローン移籍」=「レンタル移籍」)

    ●ユーティリティープレーヤーを引き抜かれたアタランタ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート アタランタ

    アタランタのメルカート最大のニュースはシモーネ・パドインがユヴェントスに移籍金500万ユーロの完全移籍で引き抜かれたことであろう。
    この選手は、サイドハーフだけでなく、センターハーフもそつなくこなすマルチローラーで、バランサーとして機能するタイプの選手であった。
    現に、アタランタのステファノ・コラントゥオーノ監督は(それが正しいかどうかは別として)、各上のチームと対戦するときはパドインを左サイドハーフに起用して守備的に戦い、他のゲームではセンターハーフとして起用していた。
    つまり、この選手がいるのといないのとでは戦術的なオプションの数が減ったわけである。

    そして、センターバックにラツィオからグリエルモ・ステンダルドをローンで獲得している。
    これはステンダルドにとってもアタランタにとっても有益な獲得であろう。

    ということでアタランタの今冬のメルカートの採点は5.5
    アタランタはもともと若手選手の育成に定評があり、既に左サイドハーフにジャコモ・ボナヴェントゥーラという将来有望な逸材を保有しており、中盤センターにもスタメンで既に使われているルカ・チガニーリだけでなく、チリ代表で若手有望株のカルロス・カルモナ、そして、中堅からベテランの域に達しようとしているマッテオ・ブリーギがいる。
    そう考えると、マルチローラーを失ったとはいえ、戦力の厚みとしてはまだ十分余裕がある。
    逆にセンターバックは若干戦力層が前線に比べると手薄な感があるため、ステンダルドの獲得は重要なものであっただろう。
    欲を言えば、そのセンターバックを中心にもう少し選手を補強したかったところか。


    ●まさにピンポイント!有望株の共同保有権ゲットのボローニャ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ボローニャ

    ボローニャのメルカート最大のニュースは運動量豊富なインクルソーレの若手有望株サフィル・タイデルと、ユヴェントスのディフェンダーでこちらも若手有望株のフレデリック・セーレンセンの共同保有権トレードであろう。
    そして、タイデルもセーレンセンもボローニャに帯同することになったということで、非常に有意義な共同保有権トレードとなった。
    そのセーレンセンはセンターバックの選手ではあるが、右サイドバックも十分にこなす
    これでボローニャのバックラインの層に厚みができたことは言うまでもない。
    ピンポイントに効果的な補強をしたと言える。
    もともと夏のメルカートで有意義な補強をしており、そこまで大きく動く必要もなかったというのも幸いしただろう。
    あとはチームの成熟を促すことを考えるべきであろう。

    というわけでボローニャの今冬のメルカートの採点は6.0


    ●またしても夏の売り下手、買い上手発揮のカリアリに待つのは成功!?崩壊!?
    2011-2012 冬のカルチョメルカート カリアリ

    また主力がいなくなった。
    中盤で激しく動き回り、ボール奪取だけでなく、攻撃のサポートをこなし続けていたインコントリスタのダヴィデ・ビオンディーニがジェノアに引き抜かれたのが、カリアリにとっての最大のニュースである。
    2010年夏にマッシミリアーノ・アッレグリを解任してからというもの、これでメルカートでは毎回主力を引き抜かれている。
    2010-2011の冬のメルカート:アレッサンドロ・マトリ(ユヴェントスに買い取りオプション付きレンタル→カイトリオプション行使)
    2011年夏のメルカート:フェデリコ・マルケッティ(ラツィオに完全移籍、2010-2011シーズンは完全に干されていた)とアンドレア・ラッツァーリ(フィオレンティーナに共同保有)
    サルディーニャ島のチームであり、あまり財政が豊かではないクラブであるため主力であってもそれなりの額のオファーが提示されると「売らざるえない」という姿勢しか打ち出せないため、来夏にはまた引き抜きに遭うことは必至な予感である。
    おそらく今回のメルカートでは残留したが、ただいま売り出し中で僕もおすすめの選手であるラジャ・ナインゴランがその対象になるであろう。
    おそらくその市場価値は1000万ユーロを超すであろうが、1000万ユーロ近いオファーが来れば断れないはずである。

    しかし、今回のメルカートでチェッリーノはバッドニュースに対してグッドニュースを提供している。
    それがセリエBやセリエAの多くのチームを渡り歩いた苦労人のFWマウリシオ・ピニーリャのパレルモからの獲得である。
    こちらはチリ代表にもお呼びがかかることもある選手であるが、370万ユーロで仕留めたと言われている。
    今シーズン前半戦はFWの得点力不足が嘆かれていたこともあり、こちらは期待大である。

    なお、ビオンディーニ引き抜きの穴には、サンプドリアからアッレグリ監督最終年にレンタルで獲得していたダニエレ・デッセーナを再レンタルで獲得している。

    というわけでカリアリの今冬のメルカートの採点は5.5


    ●一向に減らないアルゼンチン人、余剰人員の整理と効果的な補強に成功のカターニャ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート カターニャ

    モンテッラ監督のカターニャはここまでもプロビンチャでは特筆すべきレベルの高さのポゼッションサッカーを披露しており、さほど補強の必要性がなかったため、余剰人員の整理と質の高い層に厚みを加えるということに成功している。
    その中でも最も注目したいのが人員が余り過ぎているほど余っているジェノアからチリ代表のフェリペ・セイムールをレンタルで獲得したことである。
    このMFは中盤でのフィルター能力の高さと高いパス精度を買われて昨年のメルカートでジェノアに引き抜かれたばかりだったが、武者修行の意味もあってかレンタルでカターニャに引き抜かれた。
    来年の所属チームはこれから半年で決まるであろう。
    なかなか良い選手なので注目していただきたいが、まずは控えからのスタートになる。

    逆に既に最も注目されたのが、FWマキシ・ロペスの放出である。
    こちらは前半戦もそこまで重要視されていなかったため、あまり痛手はなさそうな予感。
    そのFWにはナイジェリア人FWオサリエネン・エバグアをレンタルで獲得しているが、こちらは今までカターニャにいなかったタイプの選手、フィットするかどうか楽しみなところである。

    というわけでカターニャの今冬のメルカートの採点は6.0
    もともとあまり急を要する補強の必要性がなかったこともあり、そこまで大きな補強も放出もしていない。
    そして、上では挙げなかったがラツィオからアルゼンチン人GKファン・パブロ・カリーソもレンタルで獲得しており、効果的なレンタル補強に徹したという点において評価に値する補強が多かったことがその理由である。


    ●夏の好補強も台無し、経験豊富なベテランに行き着いたチェゼーナ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート チェゼーナ

    チェゼーナは昨夏、中堅クラスの選手の好補強を行い、非常に注目していたのだが、その夏に獲得した中堅クラスの選手のほとんどがこのメルカートでは放出となった。
    まず惜しいのが運動量豊富なマルチローラー、アントニオ・カンドレーヴァのラツィオローン移籍
    アルジェリア代表WGアデル・カデル・ゲザルのレヴァンテへのローン移籍
    ブラジル人FWエデルのサンプドリアへのローン移籍
    ベテランではアルバニア代表FWエルヨン・ボグダニはシエナに完全移籍となった
    不甲斐なかった前線(得点数はリーグ最下位)の責任は中堅クラスに負わせ、残ったのはむしろ1番物足りなかったはずのアドリアン・ムトゥであるのが皮肉である。

    そうした中、補強の方はというと経験豊富なベテランを獲得している。
    まずはユヴェントスで不遇だったFWヴィンチェンツォ・イアクインタとナポリ加入もほとんど出番がなかったWGマリオ・サンターナにシーズン後半戦の命運を託している。
    両者ともに経験豊富な実力者であるが、特に前者は怪我が多いこともあり、無事に後半戦を乗り切れるか不安は残る。

    そんなチェゼーナの今冬のメルカートの採点は5.0
    確かに全体的に不甲斐ないシーズンを過ごしているチェゼーナだが、補強の方も説得力がない。
    守備陣(失点数もリーグで6番目に多い)にほとんど変更がなく、リスク管理も微妙な感じがしてしまう。
    特に3トップはスタメンの名前を見ると誰もが知る3人が並ぶ形となったが、控えが心もとなくなったのも事実。
    今後浮上の兆しもないではないが、それが続くかも疑問が募ってしまう。


    ●お得意の堅実さで必要最小限戦力で組織的成熟を期するキエーヴォ
    2011-2011 冬のカルチョメルカート キエーヴォ

    キエーヴォはもともと寡兵で組織力を固め、固い守備で手堅く勝ち点を重ねていくタイプのチーム
    そんなキエーヴォの今回のメルカートでの動きはほとんどなく、ジェノアからベテランDFのダリオ・ダイネッリをローン移籍で獲得したのが最大のニュース。

    日本ではFW森本選手の獲得も噂され、実際にメディカルチェックの段階まで進んだが、そのメディカルチェックの結果が芳しくなく移籍は成立しなかった
    しかし、獲得はできなくても既にFWの選手層は足りており、先を見越しての獲得の動きであった可能性も高い。
    来夏のメルカートで話が再熱する可能性もあるかもしれない。

    そんなキエーヴォの今冬のメルカートの採点は5.0
    相変わらずネームバリューのある選手は少ないが、それでも良い選手が多いのは事実。
    欲を言うならばサイドバックの補強はあっても良かったかもしれない。


    ●本格的に新たなチームへ、CF入れ替えのフィオレンティーナ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート フィオレンティーナ

    ヴィオラの冬のメルカートは放出から始まる。
    元イタリア代表FWアルベルト・ジラルディーノがジェノアに完全移籍した。
    その移籍から、ヴィオラのデリオ・ロッシ監督は3-5-2に。
    しかしFWには夏にベレス・サルスフィエルドから獲得したCFサンティアゴ・シルバが入ることなく、CFなしで戦っており、CFの獲得の予感と3-5-1-1へのシステム変更が見え隠れする。
    そんな中、サンティアゴ・シルバはボカ・ジュニアーズへ(規定によりサンティアゴ・シルバはアルゼンチンリーグ戦出場不可とか)。
    さらには、若手の逸材のCFクマ・ババカルをスペイン・リーガエスパニョーラのラシン・サンタンデールにローン移籍で武者修行に出す。
    そして、やってきたのがユヴェンティーノに最も放出を望まれたアマウリであった。
    その後こちらもアヤックスで不遇の扱いとなっているモロッコ代表ムニル・エルハムダヴィも獲得しようとしたが、これに手続きなどで失敗

    中盤でも動きがあり、ジャンニ・ムナーリを完全移籍で放出している。
    そしてその穴にアルゼンチンのラヌースからグイド・ピサロの獲得に動くがこちらはEU圏外枠の関係で登録が認められず、夏の加入が決まった
    また、ブラジル人トレクァルティスタのルベン・オリベイラを獲得強調文しており、こちらは計算できる選手でもあり期待。

    そんなフィオレンティーナの今冬のメルカートの採点は5.0
    やはりミスなイメージが拭えないCFでの動きが気になる。
    ジラルディーノは仕方ないにしろ、サンティアゴ・シルバやババカルは残してもよかった感がある。
    そんな中の獲得失敗であるから尚更である。

    しかし、この冬にも若手の逸材をヴィオラが獲得しているので御紹介しておこう。
    コペンハーゲンから獲得したCFケネト・ゾホレである。
    コペンハーゲンではデンマーク・スーペルリーガの最年少出場記録、最年少得点記録、UEFAチャンピオンズリーグの最年少出場記録2位を奪った選手であり、長身でスピードがありポストワークに長のある選手である。
    (ちなみに彼の父はディディエ・ドログバといとこという話。)
    今後の成長に期待だ。


    ●ヨーロッパ最多?大量放出・大量補強もいつも通りのジェノア
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ジェノア

    このチームが大量補強をしてもさほど驚きはない。
    今回のメルカートでは元イタリア代表FWアルベルト・ジラルディーノ完全移籍でフィオレンティーナから獲得。
    さらにはラツィオからFWジュゼッペ・スクッリをローンで獲得。
    その代わりに昨夏獲得したばかりの実力者CFアンドレア・カラッチョロをローンでノヴァーラに、若手の有望株のCFセバスティアン・リバスをスポルティング・リスボンにローンで放出。
    十分良かった選手層に変化を加えるだけでなく、選手層過多のMFにも入れ替えを行う。
    まずはカリアリからインコントリスタのダヴィデ・ビオンディーニを完全移籍で獲得した。
    そして、FCポルトからアルゼンチン人MFフェルナンド・ベルスキをローンで獲得した。
    逆に放出は、ミランから武者修行に来ていた若手の逸材、アレクサンダー・メルケルはミランの要請で返却、さらに夏に補強したばかりのチリ代表のフェリペ・セイムールをレンタルでカターニャに放出した。

    さらにこちらは補強が必要なはずのDFではベテランDFのダリオ・ダイネッリをローン移籍で放出した。

    そんなジェノアの今冬のメルカートの採点は5.0
    相変わらず出入りが激しいためいつまでたっても戦術的に成熟することがないのが悩ましい。
    そして、肝心のディフェンスライン(失点数はレッチェと並んで2番目に多い)で補強がないのが不可解である。
    こちらの補強に走れば評価できたのであるが、むしろベテランの放出をしている。


    ●謎の冷遇によって中盤センターの入れ替えの必要に迫られたインテル
    2011-2012 冬のカルチョメルカート インテル

    インテルの今回のメルカートは結局はチアゴ・モッタの放出とその穴埋めが主となった。
    チアゴ・モッタに関しては3センターの底を任されていた際には「よくなかった」と申し上げてきたが、2センターの1人としての彼は平均的な能力の高さが表れていて非常に良かった」と思う。
    そして、ラニエリ就任後、4-4-2のフォーメーションで戦うことが最も理に適ったものとなった昨今では欠かせない存在となっていたが、このモッタがパリ・サンジェルマンへと行ってしまう。
    この経緯はいろいろ言われているが結局のところフロント側が「契約延長交渉のタイミングを間違えた」のであり、この間違いによって大きな痛手を伴うことになるだろう。
    そして、誰よりもその影響を受けるのが快進撃を作り出したラニエリ監督であることは言うまでもない。
    ラツィオ戦後のラニエリのコメント「チアゴ・モッタはこのチームで唯一、中盤で基準点に慣れる選手だ。彼を欠くと組み立てから幾何学が失われる。」というのもこのことを如実に表しているだろう。

    結局、その穴埋めに走ることになったメルカート終盤ではユヴェントスが獲得間近と言われていたFCポルトのインクルソーレタイプのコロンビア代表MFフレディ・グアリンを強奪し、ミランにサミー・ムンタリを押し付けながらサンプドリアから元イタリア代表MFアンジェロ・パロンボの獲得に成功
    層だけは確保する形で、この2人の新加入の奮起を待つ形だ。

    そんなインテルの今冬のメルカートの採点は5.0
    夏のメルカートに「引き続き」、「監督の意に沿わない」メルカートの過ごしたと断言しても過言ではない。
    そろそろTDのマルコ・ブランカ手動の補強はやめた方が良いのではないだろうか。
    彼がいるうちに監督の満足がいくメルカートを過ごすことは難しい

    それだけではなく、元イタリア代表GKで期待の中堅エミリアーノ・ヴィヴィアーノを放出した件や若手の逸材のトレクァルティスタ、コウチーニョのエスパニョールへのレンタル放出など謎も多い。
    しかし、そんな中、昨年のU-20ワールドカップで評価を上げたブラジル人CBファン・ヘススの獲得に成功していることは評価に値する。
    昨シーズンのカンピオナート・ブラジレイロでは後半戦に評価を落としたとはいえ、人気銘柄の1人であったことは事実である。
    しかし、このセンターバックにおいても疑問が募る。
    ワルテル・サムエルルシオといったベテランセンターバックは非常に良い選手であるのは事実であるが、怪我が多いのも事実。
    そのセンターバックにおいて期待のイタリアU-23代表ルカ・カルディローラをブレシアにあっさりレンタルで放出しており、もしも怪我人が続出した場合には引退間近のイヴァン・コルドバでしのぎ切れるのか
    そうならないのがインテリスタの願いであることは間違いない。


    ●「良いものは変えるな」に則り、控えをマルチローラーで増強し、念願の余剰人員の整理に成功したユヴェントス
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ユヴェントス

    この冬のメルカートにおいてユヴェンティーノの方々が最も喜んだのが念願のアマウリの放出に成功したことかもしれない。
    チーム最高給だった彼の存在はユヴェントスの財政を圧迫しかねない存在だっただけに是が非でも放出したかったところ。
    そのアマウリはフィオレンティーナにレンタルで放出された。
    それ以外にもルカ・トニを中東へ完全移籍で、ヴィンチェンツォ・イアクインタをチェゼーナにレンタルで放出に成功して身軽になったところに、ローマからマルコ・ボリエッロをレンタルで補強している。

    そして、もう1つのニュースが、守備固めなどでしか使いどころがなかったイタリア人インコントリスタのミケーレ・パツィエンツァをウディネーゼにレンタルで放出し、サイドハーフと中盤をこなすバランサーのシモーネ・パドインをアタランタから獲得した。
    なお、中盤にはFCポルトのインクルソーレタイプのコロンビア代表MFフレディ・グアリンを補強しようとしていたがこちらはインテルに強奪された

    やや人員不足な感も否めなかったバックラインにはサイドバックとセンターバックをこなすマルティン・カセレスをレンタルで買い戻し、準備は整ったようである。

    あとは、若手の選手で運動量豊富なインクルソーレの若手有望株サフィル・タイデルの共同保有権を買い取りアヤックスの若手の注目株、オウアシム・ブーイを完全移籍で獲得している。

    そんなユヴェントスの今冬のメルカートの採点は6.5



    次号では本田選手の獲得に失敗したラツィオやムンタリ獲得に揺れたミランなどが登場。
    とあるチームをぶった切ります!。



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