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    2011-2012 セリエA第23節 ウディネーゼvsACミラン ~運が悪すぎたウディネーゼ、内容は今シーズン最悪のミラン~

    今シーズンのウディネーゼの内容の良さについては「2011-2012 セリエA第20節ユヴェントスvsウディネーゼ ~ソリッドかつ魅惑的な今シーズン最高のゲーム~」にて詳述したつもりである。
    そのウディネーゼに対し、魔の2月に入ったミランは本当にさらに内容が悪化している。
    この両チームの一戦を今回は解析していこう。

    まずはスタメンから。
    2011-2012 セリエA第23節 ウディネーゼvsACミラン スタメン・ベンチ


    これをフォーメーションにすると以下のようになる。
    2011-2012 セリエA第23節 ウディネーゼvsACミラン スタメンフォーメーション
    ウディネーゼ:3-5-1-1
    ACミラン:4-3-1-2


    ●1発で仕留める!グイドリンが放った単純明快な策
    フォーメーションのポイントはここ最近の試合と違ってイスラとアブディの位置が逆であること。
    この狙いは2つあったと思われる。
    1つが、イスラをより前に置くことで、カウンターの仕掛けの位置を単純に高くし、イスラとディ・ナターレのコンビネーションプレーで1発でゴールを奪うことにあったと思われる。
    ウディネーゼの鋭いカウンターにはこの2人とアルメロだけでゴールを奪ってしまう例が既に多々ある。

    ●グイドリンの単純明快な策の裏に隠れた巧妙な罠
    しかし、狙いはそれだけではなかった。
    グイドリンという策士はしっかりと裏に巧妙な罠を隠している。
    イスラが単純に前に置かれたわけではない。
    アブディとイスラはともに攻守両面での能力を備えたマルチローラーである。
    既に右サイドではイスラとバスタの連携は完成されており、イスラが先手、バスタが後手という関係が形成されている。
    そのイスラとアブディの関係にも状況に応じた臨機応変なポジションチェンジがなされていた。
    イスラが前に出たときはアブディが下がり、アブディが前に出たときはイスラがサイドに流れる。
    こうした関係において、イスラ、アブディ、バスタの3人の位置関係が場面場面で異なることによって、ミランのディフェンスはそのマークの受け渡しに苦労する。
    こうすることで攻撃時には流れを崩すことなく右サイドの攻略にあたることが可能となるのであり、こうした対応の難しさから、ミランの左サイドバック、ジャメル・メズバがほとんど攻撃に出ることは不可能となり、ミランのいつもの左からの崩しは封じられることとなる。

    ●一瞬の隙を突くウディネーゼの狡猾さ
    形成が完全にウディネーゼに傾きかけたその時であった。
    前半19分、ハーフウェーライン付近のFKからイスラがディ・ナターレに楔のパスを繋ぐと、ポストプレイからの反転で、メクセスを完全に置き去りにし、G・フェルナンデスからのリターンを受けたディ・ナターレがシュート。
    これが決まり、ウディネーゼが先制に成功する。

    ●メクセスが見せた1つの弱点
    この試合、フィリップ・メクセスはディ・ナターレのある動きに完全に対応できず、苦しむこととなった。
    それが楔のパスを受ける動きからの反転に対する対応である。
    このフランス代表CBは失点シーンだけではなく、後半17分にもディ・ナターレの楔を受ける動きで釣りだされ、素早い反転に完全に置き去りにされピンチや失点を招いている。
    今後、この弱点を突いてくるチームが出てくるだろう。
    注意が必要である。

    ●中央突破の1つの形「FWのポストからの反転を使ったワン・ツーの対応方法」
    失点シーンを例に1つの中央突破の崩しの類型である「FWのポストからの反転を使ったワン・ツーの対応方法」について一般論を進めていく。
    まず、この中央突破の崩しに対する守備側にとって最も重要となるのは「マンマーク」を外さないことであり、ディ・ナターレの動きはこのマンマークを外すということにおいて完全に成功している例であることを明記しておきたい。
    それがまず動きだした瞬間のシーンに表れている。
    ディ・ナターレの動きだし
    このシーンはディ・ナターレがチアゴ・シウヴァとメクセスの間からポストを受ける動きでマークを外しているところである。
    このマークを外してしまっている時点で、ミランは後手に回らざるを得ないのであるが、マークを外す動き自体が秀逸であったので仕方ないと言えば仕方ない。
    この問題は次のシーンである。
    ディナターレのポストからの反転
    その「後手」の状態でメクセスはディ・ナターレについていく。
    このシーンの場合、わざわざ「後手」でついていくのであれば、ディ・ナターレを放置し、バックラインに残って前を向いてきたディ・ナターレをミッドフィルダーとはさみこむ方が得策である。
    この時点で危険な場所が完全に空いていることがわかるであろう。
    欲を言えば、チアゴ・シウヴァがやや右にポジションを修正したかったところだが、そうすれば逆にアンブロジーニを振り切るかもしれないG・フェルナンデスがそのまま持って上がったかもしれない。
    そして
    メクセスの反転スピードの遅さ
    後手でも「マークに付く」ことを選択したメクセスには「完全に付ききる」という義務が発生するが、メクセスはディ・ナターレの反転に完全に振り切られ突破を許す。
    メクセスの反転スピードの遅さ
    メクセスがこの中央突破に対するディフェンスの仕方においての基本を完全に遂行できなかったのは反転スピードの欠如であって、敏捷性の不足を感じさせるプレーであったことは言うまでもない。
    これと同様の動きでメクセスは後半17分にも同様の動きでディ・ナターレに突破を許している。

    ●攻撃で良いとこなし。ミランのスタメンの組み合わせ論
    ミランのフォワードにはある1つの傾向がある。
    それはサイドに流れたり、ポストプレーに出たりすることでフリーでボールを足元で受けたがるタイプが多いことである。
    中でただただ裏を狙うフィリポ・インザーギのようなタイプは少ない。
    (ただし、アレッシャンドレ・パトはそのプレースタイルを習得しようとしている。)
    こうした場合、重要となるのはチェントロカンピスタ(MF)が2列目や3列目からバックラインのスペースに飛び出すことである。
    こうした動きで輝きを放っているのがケヴィン・プリンス・ボアテングであり、アントニオ・ノチェリーノである。
    この日、トレクァルティスタに入ったクラレンス・セードルフはあくまでもゲームを作る側の選手であり、こちらもスペースでボールを受けることを好む。
    右のインサイドハーフのウルビー・エマヌエルソンももともとはウイングのドリブラーであるため、これも同様である。
    加えて、ここ最近はノチェリーノの裏への飛び出しは完全にバレているために非常に強いマークが付いており、飛び出す隙を与えられない。
    そうしてここ最近露呈しているのが、バックラインとの駆け引きのなさである。
    そして更にセンターで人がいないという現象も見られる。
    これではボールを持っても何ら相手に脅威はなく、ただただ「ボールを保持している」だけである。
    この組み合わせは即刻やめるべきものであり、この状況が続く限り、ミランの攻撃が脅威となるのはたまに出る「個の力の総合」だけである。

    ●ちょうど良いバランスを見つけたミランのカピターノ
    こうした状況の悪さを感じ取り、センターの攻撃に厚みを加えようとしたのがミランのカピターノ、マッシモ・アンブロジーニである。
    2トップがサイドに流れて空いたセンターのスペースに飛び出す選手がいないことを感じ取ったカピターノは中盤のアンカーの仕事だけではなく、そのスペースを突く動きを試みようとし始める。
    このリスクの高い判断は前半35分のウディネーゼによるディ・ナターレ、マウリシオ・イスラ、アルメロの3人だけでカウンターしシュートまで持ち込まれることになるが、それでも広い視野と高い状況判断能力でバランスを取る動きをしながらも、必要と感じた際には果敢に続けられる。
    しかし、このカピターノは決して目立たないながらもちょうどよいバランスを見つけ始め、中盤でのパスカットや展開において絶妙のポジショニングを取り始める。
    そんな中生まれたのが前半終了間際の裏へ飛び出したエル・シャーラウィへのロングスルーパスであった。
    このボールはダニーロなんとか対応したものの、ウディネーゼがこの試合始めてひやっとしたシーンであっただろう。

    ●ウディネーゼの不運
    後半は若干ではあるが持ち直し始めたミランだったが、ウディネーゼに最大の不運が起こる。
    後半13分、マウリシオ・イスラがアンブロジーニのボールを奪取しようとした右足がアンブロジーニに絡まり、アンブロジーニが倒れた身体が右足の膝の上に。
    これでイスラがパスクアーレと交代する。
    (マウリシオ・イスラは右ひざの内側靭帯損傷、前十字じん帯も痛めたとのこと。
    長期離脱が予想されるが、イスラはセリエのクラッキの1人、一日も早い回復と復帰を願う。)
    この交代はウディネーゼにとって極めて痛手である。
    先ほども申し上げた通り、ウディネーゼのカウンターの武器はディ・ナターレとイスラのコンビネーションとアルメロの突破力である。
    このイスラの交代はその武器の力を半減させるものであり、これでウディネーゼのカウンターはディ・ナターレのテクニックとアルメロの突破力に限定され、ミランにとって対応が簡単になったのは言うまでもない。

    ●また前掛かりになるだけのアッレグリの選手交代
    対するアッレグリも動く。
    後半22分、出ずっぱりだったために疲れが見えるアントニオ・ノチェリーノに代えて、新加入のマキシ・ロペスをCF入れ、4-3-2-1にシステムを変更する。
    セードルフは左のインサイドハーフに入った。
    これはウディネーゼの右サイドの攻撃を司るイスラの交代があったために踏ん切りをつけれた交代であり、イスラがいる状況でこの交代をしたならば明らかにリスクの高い危険な交代であったことは言うまでもない。
    その証拠にその左サイドをドミッツィ、アルメロだけでカウンターで崩され、ドミッツィのシュートを受けている。

    ●度重なるウディネーゼの不運
    またもやウディネーゼに不運が起こる。
    アントニオ・ディ・ナターレの怪我である。
    (ディ・ナターレの怪我は右足の指の骨にひびが入ったとのこと。)
    後半30分、ディ・ナターレに代わってフローロ・フローレスが投入される。
    その直後だった、ウディネーゼのCKからカウンターで左サイドに流れたエル・シャーラエウィがシュートを打つ。
    ハンダノビッチが弾いた先にはマキシ・ロペスが詰めていた。
    これを決めたマキシ・ロペスの得点で、値千金の同点ゴールを奪う。

    ●まさに執念、エル・シャラーウィが見せたミランへの真摯さ
    まさに執念だったとしか言いようがなかった。
    ウディネーゼが浮足立ったことを理解したこの若きファンタジスタは裏への飛び出しを連発する。
    同点に追いついた直後の後半33分にも裏へ飛び出し、惜しいシーンを作り出す。
    守っても自陣深くまで敵を追い、積極的な守備参加を行っていたことは明記しておきたい。
    これに呼応するかのように奮闘していた選手たちが息を吹き返す。
    守ってはマルコ・アメーリアが重要なセーブを繰り返し、チアゴ・シウヴァも敵の攻撃の防波堤となりつづけた。
    中盤ではマッシモ・アンブロジーニが重要なパスを出し、カウンターを高い位置で摘み取った。
    そして、新加入のマキシ・ロペスもこれに反応する。
    後半40分、またもやカウンターから右サイドでマキシ・ロペスが裏へ飛び出し、中のエル・シャーラウィへ。
    これをきっちりニアサイドに叩きこみ、ミランは執念のみで逆転に成功する。

    ●あとは「きっちり守るだけ」はきっちり遂行できるミランの底力
    逆転されたウディネーゼはパツィエンツァに代えてトルジェを投入し、状況打開を試みるもミランはロビーニョをダニエレ・ボネーラに代え、守備ではきっちり4+4ブロックを形成して対応した。
    こうなったミランはきっちり守りきるところだけは王者としての底力が残っていたのかもしれない。


    こうしてミランはウディネーゼに内容は今季最悪なものを見せながら辛勝するわけであった。
    そんな中、何人かの選手が見せてくれた執念というべきものがミランを救ったことは言うまでもない。
    これは力ではなく、アッレグリの言うように「魂で奪った勝ち点3」であったと言うべきだろう。
    そうした執念を見せてくれた選手たちに感謝したい。
    また、チアゴ・シウヴァが今シーズン初のイエローカードをもらってしまったことは非常に残念であった。
    フローロ・フローレスとの1対1をブロックした際にもらったカードだが、カードは厳しい判定であったと思う。
    彼は「シーズンをカード0」でクリーンに守備しきることを目標としている。
    そんな彼の記録が今シーズンも「イエローカード1」となってしまったことは非常に残念であるし、本人もカードをもらった後は非常に気落ちしているかのように見受けられた。
    そんな1枚のカードを悔いる選手がミランのディフェンダーにはいる。
    これも1つの誇りであろう。
    きっと彼ならさらにパワーアップしてくれることであると信じてやまない。

    対するウディネーゼは内容ではミランに圧勝していた。
    そこでディ・ナターレ、マウリシオ・イスラといった2人のクラッキが怪我を負ってしまったこと、そして、その嫌な空気を撥ね退けることができなかったことだけが敗因である。
    後者は長期離脱になるだろう。
    こうしたときにアフリカネーションズカップを戦った選手たちが帰って来るが、攻撃の心臓を2人も奪われてしまったウディネーゼにはどうか耐えて、好成績を残してもらいたい。
    幸いにもウディネーゼには選手起用においてはセリエ随一の監督がいる。
    この監督が最良の答えを発見する可能性は極めて高い。
    2人の心臓が帰ってくるときまで耐えきることができれば、ウディネーゼは「中堅」という殻を打ち破り、順位表に見合った「強豪」という称号を手に入れているだろう。
    もちろん、2人が早期に回復し、復帰してくれることをミラニスタとしても、セリエファンとしても祈りたい。
    Forza Isla!
    Forza Natare!
    Forza Udinese!!



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    2011-2012 セリエA 冬のカルチョメルカートまとめ&採点 第2回 ~LからUまで~

    前回に引き続き、今回も2011-2012冬のカルチョメルカートを振り返る。

    (ところどころにあると思われる「ローン移籍」=「レンタル移籍」)

    ●続々と上がった獲得候補に期待も、結局小さくまとまったラツィオ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ラツィオ

    この冬ラツィオは日本を巻き込みメルカートで大きな話題のクラブとなった。
    それが、日本代表の本田圭祐選手の獲得の噂である。
    しかし、実際はその獲得に失敗した。
    挙がった名前はそれだけではない。
    ユヴェントスで冷遇されているセルビア代表サイドアタッカー、ミロシュ・クラシッチもそうだし、ビジャレアルのブラジル人FWニウマールもそうであった。
    しかし、結局は誰ひとりとして獲得できず、最後の最後になんとかアントニオ・カンドレーヴァを獲得するにとどまった。

    逆に放出は多かった。
    ジブリル・シセのクイーンズ・パーク・レンジャーズへの完全移籍本人からのトランスファーリクエストがもとであるようなので、仕方ないであろう。
    しかし、決定力に難があったとは言え、サイドハーフをもこなすジュゼッペ・スクッリのジェノアへのレンタル移籍は決めるに時期尚早だったのではないか。

    そんなラツィオの今冬のメルカートの採点は6.0
    ビッグネームの獲得に失敗したとはいえ、アントニオ・カンドレーヴァというマルチローラーを獲得したことでなんとか体裁は保っており、ここでさらにカンドレーヴァが成長すれば大きな獲得となりうる。


    ●新戦力の見どころは出戻り!?先行きの見えないレッチェ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート レッチェ

    レッチェも降格圏内に沈んでいるがあまり大金を叩けず、パルマからMFマヌエル・ブラージカターニャからMFジェンナーロ・デルヴェッキオを完全移籍で、そして出戻りでFWヴァレリ・ボジノフをレンタルで再獲得するにとどまった。
    逆に、トレクァルティスタのルベン・オリベイラや左サイドの選手ジャメル・メスバをそれぞれフィオレンティーナ、ACミランに引き抜かれた

    そんなレッチェの今冬のメルカートの採点は5.0
    この冬は経験のある実力者で安価な選手を取るという方針があったので獲得した選手はそこそこうなづけるが、獲得の必要性があった左サイドバックの獲得には至れず、右サイドバックのマッシモ・オッドをセンターバックに置いた歪な3バックシステムを敢行せざるを得ない状況となっている。
    どうにか残留を遂げたいところではあるが、厳しい状況は続く。


    ●久々に何がしたかったのか本当にわからなかったACミラン
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ACミラン

    ミランのメルカートの動きのほとんどは「[ミラニスタコラム]ミランに来るべきはカルロス・テベスか、それともマキシ・ロペスか、はたまた.....でお話したとおりである。」

    その後、ドラマがあった。
    1つ目のニュースが、結局、マキシ・ロペスがミランに入団するというものであった。

    そして、ミランはメルカート最終日サンプドリアの主将、元イタリア代表MFアンジェロ・パロンボを取りに行くというニュースが流れる。
    このニュースにミラニスタは大きく喜ぶ。
    彼なら代えが効かないと言われる中盤のアンカー、マルク・ファン・ボメルの控えとしては最適なのではないかと。
    しかし、その喜びはぬかよろこびに終わるだけでなく、落胆がともにやってくる。
    そう。
    来たのはインテルで厄介者扱いされている、ガーナ代表MFサミー・ムンタリであったのだ。
    彼ではボメルの控えは無理だし、前のポジションでも必要かどうかはわからない。

    そんなミランの今冬のメルカートの採点は4.0
    そのムンタリ獲得劇の裏には噂話がある。
    確かに攻撃的MFにフィジカルの強い選手を求めていたミランはムンタリに目を付けていたというが、その獲得にはインテルとのある「口約束」が付いたという。
    その口約束というのが、インテルがムンタリをミランにレンタルで放出する代わりに、ミランはパロンボから手を引きインテルに譲る、というものだったとされている。
    実際、ムンタリの加入決定後、ミランはパロンボから手を引いている。
    真偽は定かではないが、もし本当だとするとミランのフロントは完全に一杯食わされている。。。

    結局のところ、テベスの獲得に躍起となり、最後は判断をも誤ったフロントの責任は本当に大きい。
    近年、良い補強をしてきていたという信用も今回のメルカートで台無しになったと言っても良い。


    ●過密日程でも使わなかった良い選手を整理、取ったのはネクストラベッシ?のナポリ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ナポリ

    この冬のナポリは早くに良い選手を獲得し、後は人員の整理に動いた。
    その獲得選手がウニベルシダ・デ・チリのコパ・スダメリカーナ優勝に貢献し、一躍脚光を浴びていたFWエドゥアルド・バルガスである。
    彼は一部では「ネクスト・ラベッシ」と言われているが、タイプは違う。
    “ポチョ”・ラベッシはドリブル突破が非常に長けたアタッカーであるのに対し、エドゥアルド・バルガスはどちらかというとパスを小刻みに繋ぎながらカットインしフィニッシュに持っていくのが得意なタイプ
    それはこれまでのナポリにはいないタイプのアタッカーで、これからのナポリの攻撃スタイルに新たなオプションをもたらすことになるであろう。
    なお、ナポリには既に「ネクスト・ポチョ」がいる。
    あまり知られていない選手なのでご紹介しておくと、クリスティアン・チャベスという選手がそうだ。
    彼の成長がラベッシの行く末をも左右しうるかもしれないのでこちらも注目していただきたい。

    バルガスの獲得後、ナポリはジュゼッペ・マスカーラを完全移籍で、若手のDFレアンドロ・リナウドをレンタルでノヴァーラに放出している。
    後者は出場機会に恵まれ、成長があればナポリに帰還するのではないか
    そして、メルカート最終日、マリオ・サンターナをチェゼーナにレンタル移籍で放出した。
    こちらはもう帰還はないかもしれない。

    そんなナポリの今冬のメルカートの採点は6.5
    やはり、エドゥアルド・バルガス獲得による攻撃のオプションの増加の価値は大きいと見る。
    まずは彼がセリエに順応することが願われる。


    ●実力者の補強で攻守にレベルアップを計る昇格組唯一の降格圏内ノヴァーラ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ノヴァーラ

    昇格組唯一降格圏内に沈むノヴァーラは経験のある実力者に残留の可能性を見出した。
    ナポリからジュゼッペ・マスカーラを完全移籍で、ジェノアからCFアンドレア・カラッチョロをレンタルで獲得早くもスタメンに据えている。
    さらに若手のCBレアンドロ・リナウドをマスカーラと同じくナポリからこちらはレンタルで獲得し、こちらもスタメンに

    放出で大きいのは期待されてキエーヴォから獲得したグラノチェを決定力不足でレンタル放出したことか。

    そんなノヴァーラの今冬のメルカートの採点は6.0
    はまれば強いがはまらないと弱いノヴァーラにカラッチョロ、マスカーラが加入したことは大きい。
    2人とも前所属先では冷遇されただけに爆発したいと思っているだろう。
    期待は大きい。


    ●夏の失敗を取り戻すため、新守護神の獲得に成功したパレルモ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート パレルモ

    パレルモは毎年のことだが点は取れるが、点も取られる。
    その中、夏にシリグをパリ・サンジェルマンに放出し、GKが心もとなかったが、この冬、怪我の長期離脱から復帰したばかりのエミリアーノ・ヴィヴィアーノをインテルから獲得し、新守護神を得た。

    ただし、またもやチリ代表FWピニーリャを370万ユーロと比較的安値で放出した。

    そんなパレルモの今冬のメルカートの採点は6.0
    こちらはもともと各ポジションの選手層はそこそこ良いのが特徴。
    この選手層であとはまた監督を代えなければいいのだが。。。


    ●またもや冬にインテルからのレンタルや共同保有に過ごすパルマ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート パルマ

    今冬もパルマとインテルの関係は良好だ。
    インテルに来て半年、良いところがなかったブラジル人右サイドバックジョナタンをレンタルで獲得、さらにはレンタル先のレアル・ソシエダで良いところのなかったMFマクドナルド・マリガをレンタルで獲得した。
    また、ローマからはFWステーファノ・オカカをレンタルで獲得している。

    放出はというと、あまり大きなニュースはない。
    ブラージのレッチェ移籍くらいか。

    そんなパルマの今冬のメルカートの採点は6.0
    このチームは若手の好選手をレンタルで獲得してくるのが非常に上手い。
    上に挙げた選手でもジョナタンやマリガはパルマでは十分な働きをするのではないだろうか。
    なお、若手の逸材のブラジル人MFゼ・エドゥアルドは若手育成に定評のあるエンポリにレンタルで放出しており、こちらも成長して帰ってきてくれることに期待だ。


    ●余剰人員の整理と南米に目を向けたローマ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ASローマ

    ローマにとってこの冬最大のニュースは、レジスタとしてセリエでも有数の存在であり続けたダビド・ピサロのマンチェスターシティへの移籍だろう。
    ルイス・エンリケのローマになってからは冷遇されたり、本人が家庭の事情とかでチリに帰国していたりで放出が予想されていただけに既定路線ではあった。
    とはいえ、少しさみしくなるニュースではある。
    さらにはマルコ・ボリエッロをユヴェントスにレンタルで放出しており、余剰人員を整理した形だ。

    逆に補強の目は南米に向いていた。
    まずはフルミネンセから攻撃的MFマルキーニョを獲得している。
    さらにはウルグアイのナシオナルからFWニコ・ロペスを獲得
    こちらはまだ若く、先を見越した補強と言えるだろう。

    そんなローマの今冬のメルカートの採点は6.0
    重要なのは「ネクスト・トッティ」の1人であるジャンルカ・カプラーリをペスカーラにレンタル移籍させたこと。
    彼はずっとトップチームに帯同していたが、ペスカーラという今攻撃で最も勢いのあるセリエBのチームで経験を積ませることで成長を促そうという心づもりか。
    そのペスカーラはズデネク・ゼーマンが監督を務めており、そのゼーマンはトッティを開花させたことでも知られる名将である。
    カプラーリもトッティと同じくゼーマンによって才能が開花するかもしれない


    ●身の丈にあった効果的補強で内容は良いけど勝ちきれないを解消したいシエナ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート シエナ

    昇格組ではアタランタの影に隠れているが、アントニオ・コンテの残した4-2-4システムの流れをくみながら質の高いサッカーを披露しているのがシエナ。
    そのシエナの冬のメルカートの課題は「内容は良いけど勝ちきれない」を解消すること。
    そこで獲得したのがチェゼーナのベテランのアルバニア代表FWエルヨン・ボグダニと、ノヴァーラのMFルイジ・ジョルジであった。
    前者は完全移籍、後者はレンタルでの獲得になっている。

    そんなシエナの今冬のメルカートの採点は5.5
    昇格組であるし、そこまでの補強資金もないためこの補強にとどまったので、仕方がない。
    それにもともと内容は良い。
    ただ、1つだけ惜しいのが獲得間近までこぎつけたACミラン、いやイタリアサッカー界のレジェンド、フィリポ・インザーギの獲得に、インザーギ本人が踏みとどまったこと
    経験値が高く、「出れば何かやってくれる気がする」このベテランの加入によってカライオやデストロの成長を促したかったのであろう。
    悔しい思いはしたが目の付けどころはよかった。


    ●最後に笑うのは結局このチーム!?毎回メルカートでは1人勝ちのウディネーゼ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ウディネーゼ

    このチームはメルカートでの動きが実に巧妙である。
    冬は主力の放出は行わなず、逆に補強が必要なポジションに安価で即戦力となりうる選手を買いながら、保有している若手選手のレンタルの移動などに走る。
    今回の移動もほとんどがその若手選手の動きである。

    ただ、獲得に動いたのは、アフリカネーションズカップでクワドォー・アサモア、ティエリ・ドゥバイ、エマヌエル・アギエマン=バドゥの3選手が抜ける中盤センターのみ。
    ここには、サンテティエンヌからスイス代表でキエーヴォでのプレー経験のあるジェルソン・フェルナンデスユヴェントスで控えに甘んじていたが昨シーズンはナポリで主力だったミケーレ・パツィエンツァを獲得した。
    両者ともにレンタルでの獲得だが、前者には買い取りオプションが付いているあたり、「さすが」である。

    そんなウディネーゼの今冬のメルカートの採点は7.0



    以上でセリエA全チームのメルカートでの動きを振り返った。
    低調なメルカートを過ごしたチームの今後には心配だが、自力でなんとかするチーム、できないチームとあるだろう。
    今後の冬のメルカートで動いた選手の奮起に期待だ。


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    2011-2012 セリエA 冬のカルチョメルカートまとめ&採点 第1回 ~AからJまで~

    2011-2012のセリエAの冬のカルチョメルカートは「比較的安価な適材適所の補強」に徹したチームが多かったように思われる。
    今回はその冬のカルチョメルカートを振り返っていく。
    この号は非常に長くなるため、アルファベット順に並べて半分のAからJの頭文字までを第1回とし、残り半分のLからUを次号とする。

    (ところどころにあると思われる「ローン移籍」=「レンタル移籍」)

    ●ユーティリティープレーヤーを引き抜かれたアタランタ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート アタランタ

    アタランタのメルカート最大のニュースはシモーネ・パドインがユヴェントスに移籍金500万ユーロの完全移籍で引き抜かれたことであろう。
    この選手は、サイドハーフだけでなく、センターハーフもそつなくこなすマルチローラーで、バランサーとして機能するタイプの選手であった。
    現に、アタランタのステファノ・コラントゥオーノ監督は(それが正しいかどうかは別として)、各上のチームと対戦するときはパドインを左サイドハーフに起用して守備的に戦い、他のゲームではセンターハーフとして起用していた。
    つまり、この選手がいるのといないのとでは戦術的なオプションの数が減ったわけである。

    そして、センターバックにラツィオからグリエルモ・ステンダルドをローンで獲得している。
    これはステンダルドにとってもアタランタにとっても有益な獲得であろう。

    ということでアタランタの今冬のメルカートの採点は5.5
    アタランタはもともと若手選手の育成に定評があり、既に左サイドハーフにジャコモ・ボナヴェントゥーラという将来有望な逸材を保有しており、中盤センターにもスタメンで既に使われているルカ・チガニーリだけでなく、チリ代表で若手有望株のカルロス・カルモナ、そして、中堅からベテランの域に達しようとしているマッテオ・ブリーギがいる。
    そう考えると、マルチローラーを失ったとはいえ、戦力の厚みとしてはまだ十分余裕がある。
    逆にセンターバックは若干戦力層が前線に比べると手薄な感があるため、ステンダルドの獲得は重要なものであっただろう。
    欲を言えば、そのセンターバックを中心にもう少し選手を補強したかったところか。


    ●まさにピンポイント!有望株の共同保有権ゲットのボローニャ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ボローニャ

    ボローニャのメルカート最大のニュースは運動量豊富なインクルソーレの若手有望株サフィル・タイデルと、ユヴェントスのディフェンダーでこちらも若手有望株のフレデリック・セーレンセンの共同保有権トレードであろう。
    そして、タイデルもセーレンセンもボローニャに帯同することになったということで、非常に有意義な共同保有権トレードとなった。
    そのセーレンセンはセンターバックの選手ではあるが、右サイドバックも十分にこなす
    これでボローニャのバックラインの層に厚みができたことは言うまでもない。
    ピンポイントに効果的な補強をしたと言える。
    もともと夏のメルカートで有意義な補強をしており、そこまで大きく動く必要もなかったというのも幸いしただろう。
    あとはチームの成熟を促すことを考えるべきであろう。

    というわけでボローニャの今冬のメルカートの採点は6.0


    ●またしても夏の売り下手、買い上手発揮のカリアリに待つのは成功!?崩壊!?
    2011-2012 冬のカルチョメルカート カリアリ

    また主力がいなくなった。
    中盤で激しく動き回り、ボール奪取だけでなく、攻撃のサポートをこなし続けていたインコントリスタのダヴィデ・ビオンディーニがジェノアに引き抜かれたのが、カリアリにとっての最大のニュースである。
    2010年夏にマッシミリアーノ・アッレグリを解任してからというもの、これでメルカートでは毎回主力を引き抜かれている。
    2010-2011の冬のメルカート:アレッサンドロ・マトリ(ユヴェントスに買い取りオプション付きレンタル→カイトリオプション行使)
    2011年夏のメルカート:フェデリコ・マルケッティ(ラツィオに完全移籍、2010-2011シーズンは完全に干されていた)とアンドレア・ラッツァーリ(フィオレンティーナに共同保有)
    サルディーニャ島のチームであり、あまり財政が豊かではないクラブであるため主力であってもそれなりの額のオファーが提示されると「売らざるえない」という姿勢しか打ち出せないため、来夏にはまた引き抜きに遭うことは必至な予感である。
    おそらく今回のメルカートでは残留したが、ただいま売り出し中で僕もおすすめの選手であるラジャ・ナインゴランがその対象になるであろう。
    おそらくその市場価値は1000万ユーロを超すであろうが、1000万ユーロ近いオファーが来れば断れないはずである。

    しかし、今回のメルカートでチェッリーノはバッドニュースに対してグッドニュースを提供している。
    それがセリエBやセリエAの多くのチームを渡り歩いた苦労人のFWマウリシオ・ピニーリャのパレルモからの獲得である。
    こちらはチリ代表にもお呼びがかかることもある選手であるが、370万ユーロで仕留めたと言われている。
    今シーズン前半戦はFWの得点力不足が嘆かれていたこともあり、こちらは期待大である。

    なお、ビオンディーニ引き抜きの穴には、サンプドリアからアッレグリ監督最終年にレンタルで獲得していたダニエレ・デッセーナを再レンタルで獲得している。

    というわけでカリアリの今冬のメルカートの採点は5.5


    ●一向に減らないアルゼンチン人、余剰人員の整理と効果的な補強に成功のカターニャ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート カターニャ

    モンテッラ監督のカターニャはここまでもプロビンチャでは特筆すべきレベルの高さのポゼッションサッカーを披露しており、さほど補強の必要性がなかったため、余剰人員の整理と質の高い層に厚みを加えるということに成功している。
    その中でも最も注目したいのが人員が余り過ぎているほど余っているジェノアからチリ代表のフェリペ・セイムールをレンタルで獲得したことである。
    このMFは中盤でのフィルター能力の高さと高いパス精度を買われて昨年のメルカートでジェノアに引き抜かれたばかりだったが、武者修行の意味もあってかレンタルでカターニャに引き抜かれた。
    来年の所属チームはこれから半年で決まるであろう。
    なかなか良い選手なので注目していただきたいが、まずは控えからのスタートになる。

    逆に既に最も注目されたのが、FWマキシ・ロペスの放出である。
    こちらは前半戦もそこまで重要視されていなかったため、あまり痛手はなさそうな予感。
    そのFWにはナイジェリア人FWオサリエネン・エバグアをレンタルで獲得しているが、こちらは今までカターニャにいなかったタイプの選手、フィットするかどうか楽しみなところである。

    というわけでカターニャの今冬のメルカートの採点は6.0
    もともとあまり急を要する補強の必要性がなかったこともあり、そこまで大きな補強も放出もしていない。
    そして、上では挙げなかったがラツィオからアルゼンチン人GKファン・パブロ・カリーソもレンタルで獲得しており、効果的なレンタル補強に徹したという点において評価に値する補強が多かったことがその理由である。


    ●夏の好補強も台無し、経験豊富なベテランに行き着いたチェゼーナ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート チェゼーナ

    チェゼーナは昨夏、中堅クラスの選手の好補強を行い、非常に注目していたのだが、その夏に獲得した中堅クラスの選手のほとんどがこのメルカートでは放出となった。
    まず惜しいのが運動量豊富なマルチローラー、アントニオ・カンドレーヴァのラツィオローン移籍
    アルジェリア代表WGアデル・カデル・ゲザルのレヴァンテへのローン移籍
    ブラジル人FWエデルのサンプドリアへのローン移籍
    ベテランではアルバニア代表FWエルヨン・ボグダニはシエナに完全移籍となった
    不甲斐なかった前線(得点数はリーグ最下位)の責任は中堅クラスに負わせ、残ったのはむしろ1番物足りなかったはずのアドリアン・ムトゥであるのが皮肉である。

    そうした中、補強の方はというと経験豊富なベテランを獲得している。
    まずはユヴェントスで不遇だったFWヴィンチェンツォ・イアクインタとナポリ加入もほとんど出番がなかったWGマリオ・サンターナにシーズン後半戦の命運を託している。
    両者ともに経験豊富な実力者であるが、特に前者は怪我が多いこともあり、無事に後半戦を乗り切れるか不安は残る。

    そんなチェゼーナの今冬のメルカートの採点は5.0
    確かに全体的に不甲斐ないシーズンを過ごしているチェゼーナだが、補強の方も説得力がない。
    守備陣(失点数もリーグで6番目に多い)にほとんど変更がなく、リスク管理も微妙な感じがしてしまう。
    特に3トップはスタメンの名前を見ると誰もが知る3人が並ぶ形となったが、控えが心もとなくなったのも事実。
    今後浮上の兆しもないではないが、それが続くかも疑問が募ってしまう。


    ●お得意の堅実さで必要最小限戦力で組織的成熟を期するキエーヴォ
    2011-2011 冬のカルチョメルカート キエーヴォ

    キエーヴォはもともと寡兵で組織力を固め、固い守備で手堅く勝ち点を重ねていくタイプのチーム
    そんなキエーヴォの今回のメルカートでの動きはほとんどなく、ジェノアからベテランDFのダリオ・ダイネッリをローン移籍で獲得したのが最大のニュース。

    日本ではFW森本選手の獲得も噂され、実際にメディカルチェックの段階まで進んだが、そのメディカルチェックの結果が芳しくなく移籍は成立しなかった
    しかし、獲得はできなくても既にFWの選手層は足りており、先を見越しての獲得の動きであった可能性も高い。
    来夏のメルカートで話が再熱する可能性もあるかもしれない。

    そんなキエーヴォの今冬のメルカートの採点は5.0
    相変わらずネームバリューのある選手は少ないが、それでも良い選手が多いのは事実。
    欲を言うならばサイドバックの補強はあっても良かったかもしれない。


    ●本格的に新たなチームへ、CF入れ替えのフィオレンティーナ
    2011-2012 冬のカルチョメルカート フィオレンティーナ

    ヴィオラの冬のメルカートは放出から始まる。
    元イタリア代表FWアルベルト・ジラルディーノがジェノアに完全移籍した。
    その移籍から、ヴィオラのデリオ・ロッシ監督は3-5-2に。
    しかしFWには夏にベレス・サルスフィエルドから獲得したCFサンティアゴ・シルバが入ることなく、CFなしで戦っており、CFの獲得の予感と3-5-1-1へのシステム変更が見え隠れする。
    そんな中、サンティアゴ・シルバはボカ・ジュニアーズへ(規定によりサンティアゴ・シルバはアルゼンチンリーグ戦出場不可とか)。
    さらには、若手の逸材のCFクマ・ババカルをスペイン・リーガエスパニョーラのラシン・サンタンデールにローン移籍で武者修行に出す。
    そして、やってきたのがユヴェンティーノに最も放出を望まれたアマウリであった。
    その後こちらもアヤックスで不遇の扱いとなっているモロッコ代表ムニル・エルハムダヴィも獲得しようとしたが、これに手続きなどで失敗

    中盤でも動きがあり、ジャンニ・ムナーリを完全移籍で放出している。
    そしてその穴にアルゼンチンのラヌースからグイド・ピサロの獲得に動くがこちらはEU圏外枠の関係で登録が認められず、夏の加入が決まった
    また、ブラジル人トレクァルティスタのルベン・オリベイラを獲得強調文しており、こちらは計算できる選手でもあり期待。

    そんなフィオレンティーナの今冬のメルカートの採点は5.0
    やはりミスなイメージが拭えないCFでの動きが気になる。
    ジラルディーノは仕方ないにしろ、サンティアゴ・シルバやババカルは残してもよかった感がある。
    そんな中の獲得失敗であるから尚更である。

    しかし、この冬にも若手の逸材をヴィオラが獲得しているので御紹介しておこう。
    コペンハーゲンから獲得したCFケネト・ゾホレである。
    コペンハーゲンではデンマーク・スーペルリーガの最年少出場記録、最年少得点記録、UEFAチャンピオンズリーグの最年少出場記録2位を奪った選手であり、長身でスピードがありポストワークに長のある選手である。
    (ちなみに彼の父はディディエ・ドログバといとこという話。)
    今後の成長に期待だ。


    ●ヨーロッパ最多?大量放出・大量補強もいつも通りのジェノア
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ジェノア

    このチームが大量補強をしてもさほど驚きはない。
    今回のメルカートでは元イタリア代表FWアルベルト・ジラルディーノ完全移籍でフィオレンティーナから獲得。
    さらにはラツィオからFWジュゼッペ・スクッリをローンで獲得。
    その代わりに昨夏獲得したばかりの実力者CFアンドレア・カラッチョロをローンでノヴァーラに、若手の有望株のCFセバスティアン・リバスをスポルティング・リスボンにローンで放出。
    十分良かった選手層に変化を加えるだけでなく、選手層過多のMFにも入れ替えを行う。
    まずはカリアリからインコントリスタのダヴィデ・ビオンディーニを完全移籍で獲得した。
    そして、FCポルトからアルゼンチン人MFフェルナンド・ベルスキをローンで獲得した。
    逆に放出は、ミランから武者修行に来ていた若手の逸材、アレクサンダー・メルケルはミランの要請で返却、さらに夏に補強したばかりのチリ代表のフェリペ・セイムールをレンタルでカターニャに放出した。

    さらにこちらは補強が必要なはずのDFではベテランDFのダリオ・ダイネッリをローン移籍で放出した。

    そんなジェノアの今冬のメルカートの採点は5.0
    相変わらず出入りが激しいためいつまでたっても戦術的に成熟することがないのが悩ましい。
    そして、肝心のディフェンスライン(失点数はレッチェと並んで2番目に多い)で補強がないのが不可解である。
    こちらの補強に走れば評価できたのであるが、むしろベテランの放出をしている。


    ●謎の冷遇によって中盤センターの入れ替えの必要に迫られたインテル
    2011-2012 冬のカルチョメルカート インテル

    インテルの今回のメルカートは結局はチアゴ・モッタの放出とその穴埋めが主となった。
    チアゴ・モッタに関しては3センターの底を任されていた際には「よくなかった」と申し上げてきたが、2センターの1人としての彼は平均的な能力の高さが表れていて非常に良かった」と思う。
    そして、ラニエリ就任後、4-4-2のフォーメーションで戦うことが最も理に適ったものとなった昨今では欠かせない存在となっていたが、このモッタがパリ・サンジェルマンへと行ってしまう。
    この経緯はいろいろ言われているが結局のところフロント側が「契約延長交渉のタイミングを間違えた」のであり、この間違いによって大きな痛手を伴うことになるだろう。
    そして、誰よりもその影響を受けるのが快進撃を作り出したラニエリ監督であることは言うまでもない。
    ラツィオ戦後のラニエリのコメント「チアゴ・モッタはこのチームで唯一、中盤で基準点に慣れる選手だ。彼を欠くと組み立てから幾何学が失われる。」というのもこのことを如実に表しているだろう。

    結局、その穴埋めに走ることになったメルカート終盤ではユヴェントスが獲得間近と言われていたFCポルトのインクルソーレタイプのコロンビア代表MFフレディ・グアリンを強奪し、ミランにサミー・ムンタリを押し付けながらサンプドリアから元イタリア代表MFアンジェロ・パロンボの獲得に成功
    層だけは確保する形で、この2人の新加入の奮起を待つ形だ。

    そんなインテルの今冬のメルカートの採点は5.0
    夏のメルカートに「引き続き」、「監督の意に沿わない」メルカートの過ごしたと断言しても過言ではない。
    そろそろTDのマルコ・ブランカ手動の補強はやめた方が良いのではないだろうか。
    彼がいるうちに監督の満足がいくメルカートを過ごすことは難しい

    それだけではなく、元イタリア代表GKで期待の中堅エミリアーノ・ヴィヴィアーノを放出した件や若手の逸材のトレクァルティスタ、コウチーニョのエスパニョールへのレンタル放出など謎も多い。
    しかし、そんな中、昨年のU-20ワールドカップで評価を上げたブラジル人CBファン・ヘススの獲得に成功していることは評価に値する。
    昨シーズンのカンピオナート・ブラジレイロでは後半戦に評価を落としたとはいえ、人気銘柄の1人であったことは事実である。
    しかし、このセンターバックにおいても疑問が募る。
    ワルテル・サムエルルシオといったベテランセンターバックは非常に良い選手であるのは事実であるが、怪我が多いのも事実。
    そのセンターバックにおいて期待のイタリアU-23代表ルカ・カルディローラをブレシアにあっさりレンタルで放出しており、もしも怪我人が続出した場合には引退間近のイヴァン・コルドバでしのぎ切れるのか
    そうならないのがインテリスタの願いであることは間違いない。


    ●「良いものは変えるな」に則り、控えをマルチローラーで増強し、念願の余剰人員の整理に成功したユヴェントス
    2011-2012 冬のカルチョメルカート ユヴェントス

    この冬のメルカートにおいてユヴェンティーノの方々が最も喜んだのが念願のアマウリの放出に成功したことかもしれない。
    チーム最高給だった彼の存在はユヴェントスの財政を圧迫しかねない存在だっただけに是が非でも放出したかったところ。
    そのアマウリはフィオレンティーナにレンタルで放出された。
    それ以外にもルカ・トニを中東へ完全移籍で、ヴィンチェンツォ・イアクインタをチェゼーナにレンタルで放出に成功して身軽になったところに、ローマからマルコ・ボリエッロをレンタルで補強している。

    そして、もう1つのニュースが、守備固めなどでしか使いどころがなかったイタリア人インコントリスタのミケーレ・パツィエンツァをウディネーゼにレンタルで放出し、サイドハーフと中盤をこなすバランサーのシモーネ・パドインをアタランタから獲得した。
    なお、中盤にはFCポルトのインクルソーレタイプのコロンビア代表MFフレディ・グアリンを補強しようとしていたがこちらはインテルに強奪された

    やや人員不足な感も否めなかったバックラインにはサイドバックとセンターバックをこなすマルティン・カセレスをレンタルで買い戻し、準備は整ったようである。

    あとは、若手の選手で運動量豊富なインクルソーレの若手有望株サフィル・タイデルの共同保有権を買い取りアヤックスの若手の注目株、オウアシム・ブーイを完全移籍で獲得している。

    そんなユヴェントスの今冬のメルカートの採点は6.5



    次号では本田選手の獲得に失敗したラツィオやムンタリ獲得に揺れたミランなどが登場。
    とあるチームをぶった切ります!。



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    2011-2012 セリエA第21節 カリアリvsASローマ ~まさに「鬼門」!?サンテーリアでも完全に露呈した新生ローマの弱点~

    ローマは本当にこれで良いのか。
    これがセリエファンの僕の勝手な今シーズンのASローマに対する印象である。
    本当にこれで良いのか。
    こんなものは誰にもわからないかもしれない。
    でも、「ローマならもっと!!!」と思ってしまうのである。
    これが新シーズン開始時から、ずっと抜けきらない。

    僕にとってのローマは好守両面に「うまい!!」と感じさせるテクニカルで個の立った素晴らしいチームである。
    しかし、忘れてはいけないのはその下地にはしっかりとした戦術があった。
    特にスパレッティ監督(現ゼニト・サンクトペテルブルク)時代はそれが顕著に見られ、セリエに大旋風を巻き起こしたことからも御存知の方は多いだろう。

    では、今シーズンのルイス・エンリケのローマはどうか。
    もちろんコレクティブなサッカーが志向され、戦術は大きく様変わりした。
    緩慢な場面はほとんど見られなくなった。
    攻撃的だし、ポゼッションも高く、テクニックの高さは数多くの場面で見てとれる。

    でも、物足りない。
    これがロマニスタではないが、セリエをこよなく愛する僕の印象である。

    今回はその「物足りなさ」を記事にさせていただくことにした。
    これまではどうしても「ロマニスタさんに申し訳ない」という思いからどうしても記事にすることができなかった。
    そして、その「申し訳なさ」は未だに拭い去れない。
    しかし、きっと古くからASローマを愛するロマニスタさんであればわずかでも「共感」を覚えて下さることと思う。
    なぜならここからの文面は、本来ローマで輝くべき選手が輝けることを祈った文章であるから。



    今回、扱う試合は大寒波が押し寄せるイタリアにありながら、本島ではなくサルディーニャ島という地中海に浮かぶ島を舞台にしたASローマにとって苦すぎる試合である。
    この試合ではルイス・エンリケ戦術の弱点が余すことなく披露されたと同時に、「本来輝くべき選手が今シーズンで最もはっきりとした試合」となった。
    ここからはセリエファンとしての僕のASローマへの思いを長くはなりますが、お読みいただきたいと思います。

    まず、この試合のスタメンを。
    ホームのカリアリはASローマとの試合を現有戦力のベストメンバーで迎えている。
    2011-2012 セリエA第21節 カリアリvsASローマ カリアリスタメンフォーメーション

    対するASローマはダニエレ・デ・ロッシが怪我で欠場し、中盤のアンカーにフェルナンド・ガゴが入っている。
    2011-2012 セリエA第21節 カリアリvsASローマ ASローマスタメンフォーメーション

    ●ルイス・エンリケ直伝のフォアチェック
    ルイス・エンリケがASローマに植えつけた戦術の基本は、攻撃時は速く精確なショートパス交換、守備は前線からのフォアチェックであろう。
    どちらもルイス・エンリケの本国スペイン、前にBチームの監督を務めたバルセロナでおなじみの戦術である。
    そしてそのうち、問題点となっているのは後者、通称「前プレ」である。
    これとASローマの選手層がすこぶる相性が悪いのである。
    ASローマのCBの守備層を御覧頂こう。
    フアン、ガブリエル・エインセ、ニコラス・ブルディッソ、シモン・ケア、カッセッティ
    ニコラス・ブルディッソ以外はどちらかと言えば対人守備に長があるタイプで、カヴァーリングやライン統率に長はない
    そのディフェンスの守備陣の層において交わされると一気にスペースが開いた状態になる前からのプレッシングは危険である。
    そんなローマの弱点を突くかのような先制点であった。
    前半6分、前からのプレッシングを交わされ、中央にブロックが固まったところにサイドのリベイロに振られ、そのリベイロがミドルシュートを突き刺し、カリアリは先制に成功する。

    ここから露呈したある隠された弱点がある。
    それが、「斜めのパス」である。
    得点シーン直前を例に見ていこうと思う。
    斜めのパスが弱点となる理由①
    ASローマの選手はフォアチェックを掻い潜られ、急いでリトリートしている。
    その際、フォアチェックのため、左サイドのゾーンを埋めていた。
    そうして空く逆サイド。
    ぽっかりと空いた右サイドにはカリアリのチアゴ・リベイロだけがいて、ローマの選手は完全に見ていない

    斜めのパスが弱点となる理由②
    そして、ケアがそのリベイロの存在に気付いたときには時既に遅しであった。
    フアンはピニーリャのポストの動きに引っ張られていた。
    (ただし、中盤の選手がフォアチェックのため対応できる位置にいないため、これは正しい対応である。)

    ここの問題は右サイドバックのロージの対応の遅さである。
    斜めのパスが弱点となる理由③
    彼が動き始めたときには既にリベイロへのパスが出された後だった。

    この例はこのシーンだけではない。
    前半41分、同様にセンターバックの視野の狭さ、サイドバックの対応の遅れから同様に「斜めのパス」で抜けたピニーリャに決められ失点。
    後半3分から4分にかけて、前に出たガゴがあっさりと奪われたカウンターからサイドバックの戻りが遅れ、同様の形で抜け出たチアゴ・リベイロに決められ失点。

    逆のパターンも然りである。
    前半14分、左サイドのチアゴ・リベイロから中のピニーリャへのスルーパスで完全に抜け出されたのも「斜めのパス」である。
    (ちなみにリプレイを見るとオンサイドであった。)

    ●カリアリが見せた対ローマに効果的な守備戦術
    カリアリが対ローマに使った守備戦術は「攻撃を遅らせ、精度を落とすための前線からのプレッシング」である。
    ローマと同じ前線からのプレスでも、目標が「前線でボールを奪う」ことにあるローマのものとはやり方が違う。
    前線でボールを奪うためのフォアチェックは基本的には「数的優位によってパスコースを限定する」ことで効果的にボールを奪うケースが多い。
    しかし、ここで中途半端にプレッシングをし、掻い潜られてしまうと前線での「数的優位」の分、後方に「数的不利」ができやすい。
    ここを上手く突かれ失点するのがローマの失点シーンの王道である。
    逆に、「攻撃を遅らせ、精度を落とす」ことを目標にした場合、基本的に前線からの守備には「数的同数」しか必要としない。
    そのため必要以上の無理はする必要がなく、交わされたとしても後方でも「数的同数」が保たれているはずである。
    そして、ローマと違う点はこれだけではない。
    CBの構成である。
    ミケーレ・カニーニと怪我明けのダヴィデ・アストーリの2人組は、両者ともに1対1での対人守備はそこまで長はないが、競り合いとカヴァーリングに長があり、ライン統率も上手い。
    統率力の高さを生かしてバックラインの上げ下げが非常にスムーズであることから、組織的な守備のうまさではプロビンチャ屈指と言っても過言ではない。
    ローマはこの試合、このバックラインのラインの上げ下げと前線からの効果的なディフェンスに苦しむこととなる。

    ●固いディフェンスを前にすると出てしまう、新生ローマの悪い癖
    このようにカリアリのバックラインと中盤は非常にタクティカルなディフェンスを武器にプロビンチャの中でも堅守を誇るチームである。
    そうした相手に対すると、ローマは相手のディフェンスが固いとボールを保持し、じっくりと穴を探そうとする。
    ここまでは良いと思う。
    しかし、その様子見が長くなり、裏への飛び出しなどの「仕掛け」が悉く減る。
    そうなったときの典型的シーンがあるので御覧いただきたいと思う。
    ASローマの横並び
    このようにASローマの選手が横並びとなり、パスが最も通り易いトライアングルの数が減り、仕掛けるパスコースもなくなるのである。
    こうなるとボールポゼッションは何の意味もなさない。
    そのボールポゼッションは「ボールを保持している」のではなく、ただただ「持たされている」だけである。
    これがボールポゼッションを最大の戦術であるとしているルイス・エンリケにとっての盲点であることは間違いない。

    ●まさにリベロ!ダニエレ・デ・ロッシとフェルナンド・ガゴの歴然たる差
    持たされたローマはだんだんと前掛かりになり始めるが、それでも崩せない。
    そして、カウンターを受けることはしばしばである。
    そのビルドアップの際、悪循環が生じた。
    それが、このシーン。
    ガゴの前向き
    ローマのGKステケレンブルフがボールを持っているシーンだが、ローマのCBの2人にはマークが付いている。
    このシーンでガゴは前を向いている。
    これこそ、ダニエレ・デ・ロッシとフェルナンド・ガゴの差であろう。
    ここは、ガゴはセンターバックのラインの高さに近いところまで下がり、パスを受ける準備をしなければならない。
    そうしなければ、ローマは逆に両サイドバックがサポートに戻らないとショートパスでのビルドアップを開始できない。
    しかし、ガゴはそれを理解せず、あたかも「ステケレンブルフがパントキックで大きく蹴りだす」と「決め込み」前に向かっている。
    これによってローマは先ほどの弊害やロングキックでのビルドアップを余儀なくされた。
    ガゴの前向きの弊害

    こうしたことからもフランチェスコ・トッティ、ミラレム・ピアニッチが絡んだ攻撃にしか可能性を感じなかった。
    もちろん、戦術をも凌駕しうるトッティがボールを持つといつでも可能性を感じるものだが。
    結局ローマの得点は前半13分にコーナーキックからフアンのヘディング、前半34分、ピアニッチの無回転フリーキックのこぼれ球をファビオ・ボリーニが押し込んだものであった。

    そして、前半のうちに同点に追い付かれたのである。

    ●劣勢から息を吹き返すローマ
    後半すぐにも失点したローマは再び劣勢となる。
    勝ち点が欲しいローマはチーム全体が前掛かりになりがちに押し上がり、前線の人数が増えたことで押しこみに成功し、仕掛けが増える。
    その中でファビオ・シンプリシオがトッティとのつなぎから抜けだしたこぼれ球に反応し、ペナルティエリア内で倒される。
    これはPKでもよかったが残念ながら取ってもらえなかったが、その後もローマは押しだすもカリアリの最後の鉄壁を崩しきれず、数少ないチャンスも決めきれない。

    ●若いだけで選手の価値は上がらない証明
    こうなると前半の劣勢から機嫌を損ねていたローマの若い選手たちがいら立ち始め、攻め急ぐシーンが相次ぐようになる。
    それがローマの最後の弱点であった。

    サッカーファンの方の中には「若い選手」=良い、「ベテランの選手」=老害と見なしてしまう、短絡的な方がたまに見受けられるが、こうしたメンタル面や戦術知識といった観点から見ると、そんなことはなくなる。
    特にイタリアの「Calcio(カルチョ)」の世界においては戦術知識、戦術理解度、メンタル面の重要性は高い。
    ゆえにカルチョファンにベテラン選手やベテラン選手の多いチームに対する「歳を理由にした揶揄」は何ら意味を持たない。
    いや、論外であると言っても良い。

    ●守りに入るバッラルディーニの消極的采配
    カリアリのバッラルディーニ監督は、リードしているときはオーソドックスに消極的采配を迷わず行う昨今では珍しいタイプの監督である。
    そのバッラルディーニはこの試合も
    後半26分、この試合ドッピエッタのチアゴ・リベイロに代えてアルビン・エクダルを投入し、4-4-1-1にシステムを変更し、
    後半35分、アンドレア・コッスに代えて今シーズン、アストーリ離脱中に順当にスタメンに抜擢され成長著しいロレンツォ・アリアウドを投入し5-4-1にし、守備を熱くした。
    そして、最後、後半40分、マウリシオ・ピニーラに代えてスピードのあるFWの新加入ヴィクトル・イバルボを投入し、カウンターを狙う。
    この守備を熱くしたことでローマは完全に攻め手を欠き、仕掛けにおいては普段は禁じられているようにさえ見えるトッティの飛び出しまで見られる結果となった。

    そして、最後はアディショナルタイムにイバルボのドリブル突破からエクダルに決められ試合は終了した。


    このように、この試合でのルイス・エンリケのローマは完全に弱点を全てさらけ出すかのような内容が披露されてしまった。
    そして、これを書いている僕自身が悲しくなるまでのことを書くことになってしまった。
    非常に残念である。
    ロマニスタの方は途中で読むのをやめたくなってしまった人が多いことかと思う。
    最後まで読んで下さった方々に感謝したい。

    その感謝の印として、ここで僕が望むローマの在り方を、その理想のフォーメーションや布陣を思考実験として提示させていただくことで、僕自身の思いが伝わるようにしたい。

    ●本当に輝けるのは?
    結局のところ、今のローマにおいて欠かせない選手は誰なのか。
    個として輝きを放っているのは誰なのか。
    答えは2人しかいない。フランチェスコ・トッティとダニエレ・デ・ロッシである。
    その2人を欠くローマは物足りない。
    そして、僕が今のルイス・エンリケのローマに物足りなさを感じる理由がここにあるだろう。
    そう。
    ルイス・エンリケはフランチェスコ・トッティというクラッキの輝きを封じていると感じるからである。
    つまり、采配に納得がいかないのは「戦術に選手を当てはめている」ようにしか感じられないからだろう。
    僕ははっきりと「選手に戦術を対応させる」タイプの志向なので、考え方が逆である。

    ●トッティが輝ける場所は展開時だけではない
    ルイス・エンリケ監督のローマになってからというものトッティは前線へのビルドアップの際のポストワークにそのほとんどのプレーを限定されている。
    それはルイス・エンリケの戦術から言うと、「トッティがスペースを空け、高性能のビルドアップを織りなし、トッティが作ったスペースを他の選手が突くことを意図している」ということなのであろう。
    しかし、トッティの役割をそれだけに限定することに何の意味があろうか。
    それは彼の良さを最大限生かしていることにはならないはずである。
    彼の良さは他にもあるからだ。
    パワーシュートを打ってもよし、柔らかいシュートを打ってもよし、浮いたボールもしっかりと捉える精確性もある。
    こうした良さはルイス・エンリケのローマになってかなり披露の回数が減った。

    ●理想のフォーメーション、理想の布陣。
    ロッソネリ推薦のASローマ
    フォーメーション:3-4-2-1
    実線:主に意識してほしい動き

    ここで考えたのはトッティがビルドアップにもフィニッシュにも絡める形である。
    こうしたときに最もその形が出やすいのは自陣まで敵を引きこんだ後のカウンターである。
    特に彼ならポストワークからサイドに振り、全力ダッシュを使わずとも的確にファーサイドにブラインドで入りこむだろう。(特にこのブラインドでファーサイドにスルスルっと入っていく動きが素晴らしい。)

    守備においてはサイドバックに攻撃的な選手しかいないため、そのカヴァーリングのためにも3バックを採用する方が良いと考えた。
    もちろん、デ・ロッシが気が効くため、バックラインにわざと入り、3CBとともに4バックを形成する形もおもしろいだろう。


    賛同いただけるところはあるだろうか。
    特にロマニスタの方々のご意見をお聞かせ願えれば幸いです。
    ぜひ、コメントやロッソネリのtwitterにリプライなどを頂きたいと思います。


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    2011-2012 セリエA第21節ラツィオvsACミラン~システム変更も実らない完璧志向による個の埋没~

    ACミランがマッシミリアーノ・アッレグリ監督を招聘してからというものの、一向に埋めることができない弱点がある。
    それは「2011-2012 セリエA第18節ACミランvsインテルミラノ(ミラノデルビー)レビュー ~1年経っても埋めれないアッレグリの1つの弱点~」にも書いたことの通りである。
    ここでそれを簡略化してまとめると「攻守に渡り基本戦術は成熟していくものの、戦術に没頭するあまり個の力が埋没する」というものであった。
    その弱点が昨日のラツィオvsACミランでも「また」露呈したので、振り返ってみたいと思う。

    さて、その振り返りの前に前提として、この日のスタメンを確認していこう。
    2011-2012 セリエA第20節 ラツィオvsACミラン スタメン・選手交代

    フォーメーションは以下の通り。
    2011-2012 セリエA第20節 ラツィオvsACミラン スタメン・フォーメーション
    ラツィオ:4-2-3-1(→4-4-1-1)
    ACミラン:4-3-2-1

    ●引いてきっちりスペースを消すラツィオ、持ってるはずが持たされていくミラン
    さて、ゲームは試合開始早々から1つの色を持ち始める。
    「いつも通りゲームを支配しにいくミランと、きっちりと守備を固めるラツィオ」という構図である。
    アッレグリ監督がこの日は新たな戦術オプションである4-3-2-1を最初から使ったのは、ラツィオディフェンスの中央が固いことを見越してサイドで数的優位をフォーメーションの段階で作り上げたいという意図があったものと思われる。
    これに対し、レヤ監督は両サイドハーフをきっちり守備ブロック形成に参加させることでサイドのスペースを消すことを試み、これに成功する。
    こうなることでラツィオは4-2-3-1というフォーメーションで表現するよりも4-4-1-1と表現するに相応しい形になり、守備ブロックは固いが攻撃は手薄という印象を持ったかもしれないが、ローマデルビーの際と同様「割り切っていた」ように感じられる。
    そうすることで、ミランはボールは持てるが崩せない。
    そして、結局はボールを持たされているという様相がはっきりしていった。

    ●ポゼッションしているはずが、持たされ、前掛かりになり、それでも崩せないメカニズム
    アッレグリ就任以降のミランはポゼッションしながらも崩せないと前掛かりになる。
    しかもただただ全体のポジションが押しあがるだけで、前線の選手はバックラインとの駆け引きに明け暮れる。
    こうなると守る方は守り易い。
    ただただ攻撃側の圧力を受けて全体的にラインをさげ、2ラインの間隔を狭めながらスペースを消せばよい。
    サイドのブロックまできっちり作られた場合、攻撃側がやるべきことは数少ないが、前線の選手が下がる動きなどをしてディフェンスラインの選手を引き出し、スペースを作る動きなどをしなければならない。
    つまりそこで「前後のギャップを作り出す」わけである。
    しかし、それがないと本格的に組織的に崩すことは不可能に近づく。
    そして、この弊害はもう1つの部分に影響を及ぼす。

    ●チーム全体で崩すことを考えすぎるあまりに埋没した個の力
    チーム全体がしっかりと低い位置で守備ブロックを形成した相手を前にするとスペースは少ないことは説明したが、アッレグリはさらにそこに追い打ちをかける。
    崩せていない状況を打開するための「システム変更」である。
    この試合、アッレグリは得点できないと見ると選手交代に打って出る。
    エル・シャーラウィに代えてセードルフを、アンブロジーニに代えてエマヌエルソンを投入する。
    ここで同時に4-3-1-2にフォーメーションが変わるわけだが、これが全く機能しない。
    完全に引いてブロックを形成した相手のセンターにそもそも死角などないのにもかかわらず、センターに基準点がある4-3-1-2をぶつけたところで特に効果はない。
    そして、両チームの選手が入り乱れるセンターで個の力は発揮されにくくなってしまう。
    さらに、相手はより「中を固めれば良い」だけとなり、相手のサイドハーフに攻撃の余地を作ることになるからである。

    ●高い集中力の御褒美の当然の結果
    その結果がエルナネスの先制点となる。
    そして皮肉なことに個の力をマジマジと見せつけられるゴールであった。
    先制された時点で万事休すであったが、アッレグリはファン・ボメルに代えてマキシ・ロペスを投入する。
    「また中を固めただけ」な上、クラレンス・セードルフを底に置いた時点でカウンターに脆いことは目に見えていた。
    ロッキの追加点である。
    ラツィオの高い集中力と忍耐力に御褒美が与えられた。

    ●アッレグリの往生際の悪さとラツィオの忍耐力
    アッレグリはどうしても「組織で守り、組織で崩したい」らしい。
    それは選手交代に表れている。
    0-0の状況だったあの局面は「組織では互角」の勝負なわけである。
    となると、試みられるべきはシステム変更で組織的な攻め方を変更するのではなく、この試合を通じて低調なパフォーマンスに終始したロビーニョに代えて、エマヌエルソンを投入し個の力を修正することではなかっただろうか。
    エマヌエルソンがサイドでこそ生きることはアッレグリ自身も先日の会見で認めている。
    しかし、そうした個の修正ではなく、戦術に修正を施した彼の完璧を求めすぎる往生際の悪さこそ、今後の最大の課題なのかもしれない。
    そうした意味では今回のラツィオの戦い振りは称賛に値するし、それよりも良い教科書なのかもしれない。
    彼らはゲームの支配までも捨て、「割り切って」きっちりと守ることを主眼とし、それを高い集中力を持続させる忍耐力を見せながら最後は個の力をも生かし、最大の結果を得たのだから。
    今後もラツィオはビッグゲームにおいてこの姿勢を貫き、自らも上位争いを繰り広げながら今後のスクデット争いを盛り上げてくれるだろう。

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