スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    [CL直前試合分析] チェルシー徹底解剖 ~PL エヴァートン戦,FA バーミンガム戦を中心に~

    前記事「2011-2012 セリエA第24節 フィオレンティーナvsナポリ ~久々の「らしい」勝利で大事な1戦を迎えるナポリ~」ではナポリの戦術について見てきたわけであるが、ナポリにとって相性がやはり良いと思われるのは、積極的にポゼッションを確保し、カウンターの余地となるスペースを広大に空けるチームであり、ネガティブトランジションの能率が低いチームである。
    今回の記事ではそのナポリの目線寄りの目線からではあるが、UEFAチャンピオンズリーグ(以下、CL)で戦うチェルシーの戦術面を中心に分析していく。
    さて、そのチェルシーのCL直前の試合はFAカップ5回戦であったが、その対戦相手がイングランド2部相当のチャンピオンシップのバーミンガム・シティであったため、若干メンバーを落として戦った面も見受けられる。
    そのため、今回の分析では、バーミンガム・シティに合わせて、その1試合前のプレミアリーグ第25節エヴァートン戦も分析対象に加えることとした。
    そのため、普段のレビューとはまた違い、より戦術部分に焦点が当たっており具体的シーンの登場は少ないかもしれないが、その点は御了承願いたい。

    さて、それではまずエヴァートン戦のスタメンから御覧頂くことにしよう。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 エヴァートンvsチェルシー チェルシースタメン

    次にベンチ。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 エヴァートンvsチェルシー チェルシーベンチ

    そして交代。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 エヴァートンvsチェルシー チェルシー選手交代

    最後にスタメンの状態でのチェルシーのフォーメーションは以下の通り。
    (エヴァートンのスタメンはここで確認していただければと思う。)
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 エヴァートンvsチェルシー スタメンフォーメーション
    エヴァートン:4-2-3-1
    チェルシー:4-3-3

    次に、FAカップ5回戦、対バーミンガム・シティ戦のスタメンを御覧頂こう。(4-3-3)
    2011-2012 FAカップ5回戦 チェルシーvsバーミンガム・シティ チェルシースタメン

    次にベンチ。
    2011-2012 FAカップ5回戦 チェルシーvsバーミンガム・シティ チェルシーベンチ

    そして選手交代。
    2011-2012 FAカップ5回戦 チェルシーvsバーミンガム・シティ チェルシー選手交代


    ●アンドレ・ヴィラス=ボアスとは誰か
    アンドレ・ヴィラス=ボアスはイングランドの名将、サー・ロバート・ウィリアム・ロブソン(「ボビー・ロブソン」)がFCポルトを率いている時代に見出され、スカウトとして採用されたところから彼のキャリアは始まっている。
    その後、留学やフェロー諸島の監督を務めたが、本格的なキャリアアップはボビー・ロブソンのチーフ・アシスタントも務めたジョゼ・モウリーニョによってチームスタッフに招聘されてからであろう。
    ボビー・ロブソン、ジョゼ・モウリーニョの下で彼は対戦相手チームの戦術分析スカウトを担当し、その分析は非常に細部に渡って完成度の高いものであったということは各方面の記事からわかっている。
    そういった戦術面の分析力は小さな時からの興味が端緒であることは間違いないだろうが、そのヴィラス=ボアスを懇意にしていたジョゼ・モウリーニョと同様に、彼がスコットランドで指導者講習を受けている。
    この点については、西部謙司さんの「サッカー戦術クロニクル」の"Chapter 8"や"Chapter 10"に書かれているので、そちらをお読みいただくと良いだろう。

    サッカー戦術クロニクルサッカー戦術クロニクル
    (2008/07/19)
    西部 謙司

    商品詳細を見る
    さて、このように「ボビー・ロブソン」という1人の名将の下から生まれた2人の新時代の名将の戦術を比較すると類似点と相違点が見受けられる。
    この記事ではその「ジョゼ・モウリーニョ」を比較対象にしながら、アンドレ・ヴィラス=ボアスという監督の戦術面の特徴などを見ていくことにしたいと思う。

    ●決め手は「対戦相手に合わせるか、自らを貫くか」
    では、上記のフォーメーション図を御覧いただいた上での話に移ろう。
    ヴィラス=ボアスはポルトでもチェルシーでも一貫して4-3-3のフォーメーションを用いている。
    そして、戦い方はパスサッカーに前からのプレッシングが中心。
    彼は「ジョゼ・モウリーニョ」と何かと比較されるが、根本戦術が違う。
    それはむしろ、ペップ・グァルディオラのバルセロナに近い。
    もちろんこちらとも細部は違うが。
    ここで問題となるのは、「一貫して」の部分である。
    彼の戦術には基本的には「4-3-3」で圧倒的なポゼッションを行うことしかなかったのである。
    これは先に率いていたのがポルトというチームであったことも大きい。
    この点がジョゼ・モウリーニョとの大きな差である。
    彼はあくまでも「相手の攻撃のタクトを振るう選手を潰す」ことから試合での戦術が決まるのだから。
    そして、彼には確固たる守備戦術がある。
    「相手の攻撃に対するスペースを消す」という。

    ●スーペルリーガとプレミアリーグの違い
    そんな彼がリーガ・ゾン・サグレス、スーペルリーガでポルトを率い優勝できたのにはポルトガルリーグの特徴が幸いしたとも言ってもよい。
    スーペルリーガはかなり攻撃的なリーグであるが、実にそれは組織戦術においての攻撃性に顕著に表れている。
    どうしてもリーグランキング上の点において、全てにオールマイティーな選手は表れにくい。
    特にフォワードやオフェンシブハーフ、サイドアタッカーには、1つの能力が飛びぬけた選手はいるが、その全てにおいて高次元な選手はほとんどいない。
    (例外はポルトのフッキくらいではないだろうか。)
    それゆえ、ポルトは数的同数を保ちさえすれば選手の能力で相手チームの攻撃を押えこむことはほとんど可能であった。
    (例外は昨シーズンではベンフィカのみ。
    今シーズンのスーペルリーガは昨シーズンと比べレベルが向上し、より面白くなっていることを追記しておきたい。)
    しかし、プレミアリーグは違う。
    特にオフ・ザ・ボールの動きの質が高く、連動性も非常に高い。
    力づくで守ることはより難しい。
    そして、彼の守備戦術もまたバルセロナと同様、前からのプレッシングを掻い潜られた時点から劣勢となるものである。
    この点は、昨シーズンのカルロ・アンチェロッティのチェルシーとの失点数比較にも表れているだろう。
    昨シーズンのチェルシーがプレミアリーグ38試合で33失点(1試合平均0.87)であったのに対し、今シーズンのチェルシーは25試合で31失点(1試合平均1.24)と、高騰していることがおわかりいただける。
    カルロ・アンロッティも「ポゼッション」を重要視する監督であるのにも関わらず、だ。

    ●4-3システムの戦術的根幹
    ヨーロッパを見渡しても4-3システムを用いているチームは数多い。
    現在はバルセロナ、ミラン、ユヴェントス、ローマがその代表格であろうが、この4チームが共通して4-3システムを高次元で繰り広げている要因は何だろうか。
    それはアンカーに誰がいるかを見ていただけるとおわかりいただけるだろう。
    セルヒオ・ブスケッツ、マルク・ファン・ボメル、アンドレア・ピルロ、ダニエレ・デ・ロッシ。
    ピルロだけはレジスタで少し違うが、それ以外の選手はインテルディトーレタイプの選手としては一級品の選手ばかりである。
    この点において、チェルシーに対抗しうる選手はいるが、それはマイケル・エッシェンのみ。
    しかし、このエッシェンにしても先月まで大怪我で長期離脱していたことは考慮に入れるべき問題である。
    このエッシェンの離脱によってアンカーポジションのやりくりに苦心していることはおわかりいただけるだろう。
    このポジションでは既に、ジョン・ミケル・オビ、オリオル・ロメウ、ラウル・メイレレス、マイケル・エッシェンがとっかえひっかえ起用されており、固定できていない。

    ●4-3システムのアンカーポジションの選手に求められるもの。
    4-3システムにおいて、重要となるのはサイドバックの攻め上がりである。
    カルロ・アンチェロッティはサイドバックの攻め上がりにバランスを求めるため、相手チームによっては右サイドバックを守備的にしたり、攻撃的にしたりとやりくりしていたが、これに倣っているのはアントニオ・コンテのみ。
    それ以外のペップ・グアルディオラ、マッシミリアーノ・アッレグリ、ルイス・エンリケとアンドレ・ヴィラス=ボアスは両サイドバックともに攻め上がることを要求する。
    この狙いはサイドでの数的優位。
    このサイドバックの攻め上がりを担保する役割がインテルディトーレにはまず求められる。
    後者に共通するのは、アンカーの選手が第3のセンターバックとして機能することを求めることである。
    その上で、アンカーの選手としてビルドアップ時に高い展開力がなければならないのである。
    しかし、その両面を担える選手は今のチェルシーには1人もいない。
    ジョン・ミケル・オビにはその動きを理解しているのかどうかも怪しいシーンが多々見受けられた。
    エッシェンのコンディションが上がるのを待つしかないのである。
    下図は4-3システムのビルドアップ時のアンカーの役割を端的に表した場面である。
    4-3システムのビルドアップ


    ●諸刃の剣となるサイドバックの攻め上がり
    このアンカーが第3のセンターバックとして機能するかどうかで、カウンターの守備は大きく変わる。
    アンカーが防波堤となることもあるし、アンカーがしっかり戻ることでセンターバックがサイドのスペースをケアすることもできるようになるが、チェルシーの場合、それがない。
    さらにはプレミアリーグには多くの優秀なサイドアタッカーが多く、悠々とサイドを突破されるケースも少なくない。
    そうなると、サイドバックはリスクを恐れてオーバーラップを仕掛けることができなくなる。
    こうして起こった悪循環はチーム戦術全体に影響してしまうのである。


    根幹となっている戦術についての紹介はここくらいにし、ここからは個々の詳細な戦術部分について述べていくことにする。


    ●前からのディフェンスとブロック形成のタイミングのズレ
    「より前でボールを奪うために」前からのプレッシングを採用するチームは、基本的に前からのプレッシングをマンマークで行うこととなる。
    しかし、それを掻い潜られた時にはゾーンで守ることとなるのだが、このチェルシーにおいてはバルセロナと同様、その切り替え時にどうしても無理が生じる。
    エヴァートン戦での先制点の失点シーンはここにある。
    前半5分、自陣右サイドでのスローインをいとも簡単に奪われたチェルシーには様々な弱点が指摘できるので詳細に見ていこう。
    まずはメイレレスへのスローインをピーナールに攫われた時点。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 エヴァートンvsチェルシー 先制点①
    次にそのボールをティム・ケーヒルが受けたシーン。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 エヴァートンvsチェルシー 先制点②
    この時点ではまだ防げた段階である。

    そして、次の瞬間。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 エヴァートンvsチェルシー 先制点③
    このポイントで注目すべきは、3つの点にある。
    1つ目はほぼ同じ地点からダッシュを開始したフェライニにメイレレスが完全に置き去りにされていること。
    2点目はマイケル・エッシェンがボールウォッチャーになっており、スティーブン・ピーナールがブラインドでダッシュしていること。
    3点目は左サイドのアシュリー・コールに戻るためのダッシュが見られないことである。

    そして不運にもランパードがブロックしたリバウンドがちょうどゴール前へ。
    2011-2012 プレミアリーグ第25節 エヴァートンvsチェルシー 先制点④
    この失点をフェライニ、ピーナールの両者の突破に取り残されたメイレレス、エッシェンだけの問題ではないのである。
    なぜならば、もし、バックラインまでアシュリー・コールが戻っていれば、ダビド・ルイスが右にポジションを修正することで、フェライニ、ピーナールの両方にイヴァノビッチが1人で対応せねばならない状況は生まれなかったかもしれないからである。
    この多重のミスが表しているのは、どこまでマンマークで守り、どこからはゾーンで守るのかという問題である。
    この切り替え、そして、カヴァーリングの意識が今のチェルシーには完全に欠けているのである。

    ●トーレスかドログバか
    チェルシーの攻撃陣は非常に豊かな選手層を誇る。
    そのチェルシーにあってスタメンをほぼ確約されているのは2人の選手である。
    ダニエル・スターリッジとファン・マタ。
    前者はセンターへカットインしたり、ミドルシュートを打ったりと得点能力を発揮している。
    後者は主にパスワークの中心となることでチェルシーの攻撃をオーガナイズする役割を果たしている。
    そしてCFには2人の選手がスタメンを争う。
    それがフェルナンド・トーレスであり、ディディエ・ドログバである。
    しかし、両者はタイプのことなる選手である。
    フェルナンド・トーレスの長所は、バックラインの裏のスペースへの飛び出しであることはよく知られている。
    そして、今シーズンはそれに加えて、サンターからサイドへ流れ、スペースメイキングやチャンスメイキングで十分に能力を発揮する。
    確かに得点力は依然として回復していないものの、明らかに動きの質は向上している。
    それに対し、ディディエ・ドログバは前線でのキ―プ力に圧倒的な力があり、裏に抜けての飛び出しもうまい。
    そしておまけに得点能力が高いことも重要な点である。
    この2人のどちらが良いかというのは対戦相手やまわりの選手との兼ね合いの部分も大きく、一慨に決めつけることができない。

    ●裏を消され、中盤を消されたときのチェルシー
    この2試合で散見されたのは、相手がしっかりと守ることを考え、バックラインを下げながら、中盤のスペースを消されると、チェルシーはパスワークさえもままならなくというシーンである。
    3トップの3人がそれぞれ行き場をなくし、前で張った状態になり、中盤に数的優位が失われてしまうことでパスがいつかはカットされてしまうのである。
    こうなるとバックラインの選手はパスワークでの組み立てを諦め、ロングボールに頼らざるを得ないが、こうしたハイボールの競り合いとポストワークにはトーレスは向いておらず、こういったシーンが散見されるのであればドログバと交代させた方が良いだろう。

    ●鍵を握るのはポストプレイ
    どちらにせよ大事なことがある。
    それはチェルシーには多くのスペースに入る動きに優れた選手がいるということである。
    フランク・ランパード、ラウル・メイレレス、ラミレス、フロラン・マルダがそうである。
    こうした選手の良さを生かすために求められるのは3トップの選手の効果的なポジションチェンジであるが、チェルシーの3トップはその点でまだ発展途上といえるだろう。
    もちろん、全くないわけではなく、それに成功していることもある。
    その時には必ずと言って良いほど中盤の選手が敵のペナルティエリア内にまで侵入している。

    さて、フェルナンド・トーレスをCFに用いた時のポイントはファン・マタのポストプレイがその流れを作っているとも言って良いかもしれない。
    チェルシーがポゼッションに成功し、押しこんだ際にはスターリッジやフェルナンド・トーレスが前に張る形になることが多いが、その時に中盤の数的優位を担保するのがファン・マタのポストの動きであり、彼がパスワークに絡むことでそこにアクセントが加わる。
    そして、マタが引くことで空いたスペースに中盤の選手が飛び込むことが可能となるのである。
    この動きを最も引き出すことがないのがスターリッジで、この点は非常に残念なのであるが、ポルトのフッキと被るところがあるので、もしかすると、ヴィラス=ボアスの指示なのかもしれない。
    中盤の選手がフォワードの選手を追い抜く連動性を引き出した際のチェルシーの攻撃は非常に驚異的なものとなる。
    さらにもう1つの解決策がバーミンガム・シティ戦でもあった4-2-3-1へのシステムチェンジもその1つ。
    このシステムチェンジにはカウンターをもろに食らうというリスクが付き纏うのであるが。
    現にバーミンガム戦ではこのシステムチェンジ以降、フィールドプレーヤー6人のみで守っているシーンもあった。

    ●ナポリ戦のポイント
    以上のようにヴィラス=ボアスのチェルシーの戦術はいまだ完成を見ていない。
    では、ナポリvsチェルシーを見る上で重要となるのは、チェルシーがどのような意識でこの戦いに挑むかである。
    カウンターのリスクの高い現行チェルシー戦術では、やはり守備の意識がどこまで高められるかがポイントとなる。
    しっかり引いて守る意識がカウンターのリスクを減らすのである。
    その代わり、チェルシーは主導権を握ることはできない。
    それでも良いとヴィラス=ボアスが割り切るのか否か、割り切れるか否かである。
    そうしてしっかりと引き、ナポリの選手を前に引き出すことができれば、裏のスペースが広げられれば、カウンターのチャンスは広がるのだから。
    しかし、あくまでもパスサッカーを貫こうとし、前からのプレッシングで早くボールを奪うことをで高いポゼッションを保ち、ヴィラス=ボアスの思うサッカーで勝ちにくれば、ナポリには多いにチャンスはあるだろう。
    ナポリのトリデンテにとってセリエのチームの守備を崩すことと比べれば、チェルシーのディフェンスを崩すことは困難ではないのだから。



    いつもお読みいただきありがとうございます。
    もしよければ「1日1クリック」にご協力下さい。
    にほんブログ村 サッカーブログ 海外サッカーへ
    にほんブログ村


    スポンサーサイト

    この記事へのコメント

    管理人のみ通知 :

    トラックバック


    プロフィール

    Author:ロッソネリ
    FC2ブログへようこそ!

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    おすそ分けのお願い
    スポンサードリンク
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    FC2カウンター
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。