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    2011-2012 セリエA第20節ユヴェントスvsウディネーゼ ~ソリッドかつ魅惑的な今シーズン最高のゲーム~

    ユヴェントスとウディネーゼ。
    同じ白と黒の縦じま(前者を「ビアンコネロ」、後者を「ゼブラッテ」と言う)を身にまとうチームは間違いなく、今シーズンのセリエAを代表する2チームであり、その強さは2強と言っても過言ではない。
    ミランは確かに2位でユヴェントスを追走しているが、ビッグゲームでは悉く相手の軍門に下り、勝ちの数とその内容の不安定さはあまり合致していない。

    今年のユヴェントスのポイントは「フォーメーションの段階で数的同数を作り、選手の個の力で勝つ」であることは「2011-2012 セリエA第10節インテルミラノvsユヴェントス(イタリアデルビー)レビュー ~セオリーに徹したインテル・ユーヴェの明暗~」にて既に書いておきました。
    この概念に変更はありません。

    逆にウディネーゼは常に一見「メンバーを落とした」とも見られかねない選手起用をしながらも、試合中の選手交代で相手の穴を突くというフランチェスコ・グイドリン監督の素晴らしい采配が際立っている。
    戦術面でも非常に重要な部分が多いため、この後、詳細に論じていきたいと思う。

    まずは両チームのスタメンを御覧いただこう。
    2011-2012 セリエA第20節 ユヴェントスvsウディネーゼ スタメン・選手交代

    これをフォーメーションにすると以下のようになる。
    2011-2012 セリエA第20節 ユヴェントスvsウディネーゼ スタメンフォーメーション
    ユヴェントス:3-5-2
    ウディネーゼ:3-5-1-1
    実線は主に意識されていた選手の動き

    お互い、痛い欠場などがあったのでそこをご紹介しておこう。
    まずはユヴェントスが軽傷でマルキージオ、ペペがベンチスタートとなり、ウディネーゼはベナティア、クワンド・アサモア、バドゥをアフリカネーションズカップで、ピンツィを怪我で書いた。
    これによる修正に試行錯誤を凝らしたのはウディネーゼのグイドリン監督であろう。
    それが、アルメロのインサイドハーフ起用であり、発想は右サイドのイスラとバスタの関係である。

    ●イスラとバスタの関係
    ピンツィ、クワンド・アサモア、そして、今はナポリで大活躍のインレルの3人で構成されていた昨シーズンのウディネーゼの中盤センターはセリエ屈指の安定性を誇っていた。
    しかし、昨夏インレルがナポリに移籍し、このセンターにマルチローラーのイスラが入ることで安定性を保ち、バスタを右ウイングバックで起用するのがウディネーゼのベスト布陣となっている。
    この右サイドの仕組みは非常に面白いので御紹介しておこう。
    まず、攻撃時も守備時も右のインサイドハーフのイスラが右サイドの突破、プレスをまずは仕掛け、そこに全てカバーリングでバスタが後詰めのような役割を果たすのである。
    この右サイドのはっきりとした決まり事により、攻撃、守備ともに安定感を保っていると言える。

    ●両チーム守護神の素晴らしいセーブによる試合の引き締め
    さて、このゲームは試合を通じて非常にソリッドでありながら、魅惑的なコンビネーションがふんだんに盛り込まれた内容となった。
    その幕開けは非常に豊富な運動量からお互いが自らのペースに持ち込むために奔走するという展開であり、この中から生まれた最初のビッグチャンスが前半2分、ピルロのディフェンスライン裏へのスルーパスに抜け出したエスティガリビアとハンダノビッチの1対1のシーン。
    ここでまず目立つのはハンダノビッチの飛び出しの判断力の良さであった。
    負けじとユヴェントスはブッフォンがアルメロの素晴らしいコースへのミドルシュートを弾く。
    そして、圧巻だったのは前半23分。
    ユヴェントスはコーナーキックのディフェンスからカウンター。
    マトリが飛び出し、ギリギリでループシュートを放つも、ハンダノビッチがはじき返すのであった。
    ここで決めなかったマトリに非難があったがこれは明らかな誤りである。
    マトリのドリブルをきっちり注視し続け、防ぐタイミングをきっちりと判断したハンダノビッチが褒められるべきシーンであろう。

    ●ウディネーゼのディフェンスのメカニズム(「失点が少ない理由解説」のリクエストへの返答)
    ウディネーゼのディフェンスは一見非常に散漫なものに見えるかもしれない。
    バイタルエリアががら空き」ということに気づく方も多いであろう。
    しかし、それは本来ならば「あり得ない」ものなのであるが、実は明確な理論に基づいた効率的なディフェンスなのである。
    基本的な守備の守り方は前線へのボールホルダーへのプレッシングは1人、ないし2人で行いながら相手の攻撃を送らせつつ、その他の選手はリトリートを行い、バックラインと中盤のブロックを形成するリトリート型のディフェンスである。
    この際、両ウイングバックはバックラインの高さまで戻り、5+3(+1)のブロックを形成するのが守備のスタートラインとなる。
    これは前半26分のシーン。
    ウディネーゼはアルメロが攻撃後やや疲れが出たのか戻りきれていない。
    ここでは5+2のブロックとなったところのシーンである。
    ここの最初のポイントはアルメロの戻りが遅れていることを見て、アブディがピルロへのマークにしっかりと付いていることである。
    ウディネーゼのディフェンス①
    このシーン、黄色の楕円でわかるように「バイタルエリアががら空き」であることがわかる。
    そして、そのバイタルエリアのスペースにきっちりビダルが走りこんでいく。
    非常に危ないシーンであることは一目瞭然である。
    しかし

    ウディネーゼのディフェンス②

    マトリにマークで付いていたドミッツィにダニーロが近づくと、ドミッツィがマークを受け渡しながらビダルにプレッシングで急襲。

    ウディネーゼのディフェンス③

    この際、ポイントはこのマークの受け渡し+プレッシングを1秒で行っていること。
    さらにダニーロがスペースを埋めたことによって連鎖的に空くスペースをフェッロネッティがこれも1秒で埋めていること。
    この卓越したディフェンスの連動性こそがウディネーゼのディフェンスメカニズムの根幹であり、ウディネーゼの攻撃の強みであるラッシュカウンターにも効果を発揮している。

    ●ウディネーゼのポジティブトランジション~カウンターだけで仕留めるウディネーゼの強さ~
    以上のディフェンスのメカニズムの根幹にあるのは、「常に相手ゴール方向を向いてディフェンスする」という戦術的約束事である。
    ということは、前を向いてディフェンスし、ボールを奪うことで、そのボールを奪いに行った勢いでそのまま攻撃に向かうことになる。
    つまり、こうも言える。
    「ウディネーゼはわざとバイタルエリアを開けてでも裏のスペースを消すため適度にバックラインを低めにし、前向きにディフェンスを行い、その前向きのディフェンスの勢いに乗って、カウンターで突っ込む。」

    これこそウディネーゼのグイドリン監督がどの選手にも前提として徹底させている戦術であり、細かい戦術は選手起用、相手との相性を見て調節しているだけである(もちろんこの選手起用にも長がある)。

    これに対抗する場合の崩し方のオーソドックスな戦術的パターンは、ウディネーゼのディフェンスがブロックを作る前に素早く裏を取ってしまうか、ワンタッチでの素早いパス交換による中盤の選手の多重の飛び出ししか解決策はないと考えられる。

    ●ウディネーゼの戦術を凌駕するユヴェントスの個の力
    試合が動いたのは前半42分のことであった。
    ユーヴェがボールを保持しながらも攻めあぐねていたタイミングでピルロが重要な溜めを作る。
    その間にできた中盤のスペースをキエッリーニが上手く使い左サイドのエスティガリビアへ。
    エスティガリビアがバスタとの1対1を制しクロスを上げると、中ではフェッロネッティとの競り合いをクァリアレッラが制しヘディング。
    これにはハンダノビッチが素晴らしい反応で対応するも、こぼれ球をマトリが押しこみ、ユヴェントスが先制に成功する。

    ●守備より攻撃を取ったグイドリンお得意のハーフタイムでの選手交代
    まず選手交代に動いたのはグイドリン監督であった。
    ピルロへのマンマークや守備でのカバーリングを担当していたアブディに変えてCFのフローロ・フローレスを投入する。
    これによりウディネーゼは前線に溜めの基準点、パスのターゲットが追加され、攻撃にリズムが生じる。
    そして、その采配はズバリ的中し、得点につながる。
    後半11分、中盤でパスをカットしたイスラがそのまま前線へ駆け上がる。
    これにユヴェントスの戻りが遅れ、3対2の数的優位に。
    右に流れたディ・ナターレを囮にして、左の絶好の位置に走りこんだフローロ・フローレスが受け、シュートはゴール右隅へ。
    ユヴェントスの個の力に対して、ウディネーゼは戦術とイスラの献身性で同点に成功する。
    これで流れに乗ったウディネーゼは後半14分、またもやカウンターからイスラがディ・ナターレに合わせるも、ディ・ナターレはジャストミートで合わせることができず、絶好期を逸する。

    ●絶対的な個の力で真価を発揮するユヴェントスの新バンディエラと新エース
    後半16分、流れがウディネーゼに渡っていると見たアントニオ・コンテ監督はFWのクアリアレッラに代えて、ユヴェントスの新バンディエラ、イタリア代表クラウディオ・マルキージオを投入。
    軽傷といわれるフィジカルコンディションの中でも新バンディエラに流れを代える役割を与える。
    これがすぐさま効果を発揮する。
    右サイドからのビダルのパスがミスキックで浮き球となって中に入ると、それをマルキージオはワンタッチで背面のマトリへ。
    マトリが素晴らしい反転でフェッロネッティを振りぬき左足でシュート。
    これが決まり、ユヴェントスが再度勝ち越しに成功する。
    これこそアレッサンドロ・マトリというとにかく素晴らしいゴールで。試合のペースはユヴェントスへ。

    ●ゲームを支配し、落ち着け勝ちきるユヴェントスの切り札
    圧倒的な個の力で好ゲームで勝ち越したユヴェントスにこの後死角はなかったと言っても過言ではない。
    その際重要なのは、「守りに入り過ぎない」こと、そして、「運動量を減らさない」ことにある。
    これらのポイントをしっかり踏まえたコンテの采配は後半19分のエスティガリビアとシモーネ・ペペの交代、後半38分のリヒトシュタイナーからデ・チェリエの交代に表れている。
    これらの交代で運動量を落とさないでおけば、後は世界最高のレジスタがゲームを支配させてくれるわけである。
    それが、アンドレア・ピルロ。
    実際、勝ち越し後はピルロを中心にパスを繰り出しながら、隙を見てはサイド、中央から突破を試みた。
    しかし、きっちりとリスクを犯さずにゲームを支配した戦術を持った圧倒的な個の力の前に、ウディネーゼは時間とともに為す術をなくしていってしまった。


    結果的に試合は2-1でユヴェントスがウディネーゼを下したわけで、試合中3点のゴールが決まっている。
    もちろん「たられば」はある。
    ウディネーゼがユヴェントスよりも主力の怪我、アフリカネーションズカップ参加メンバーの総数が多く、その影響はフェッロネッティの個の力不足という面に出てしまっている。
    しかし、試合を通じて引き締まっており、戦術的な穴のほとんどない集中力の高いゲームであった。
    その緊張感は名声あるビッグゲームと同等、いやそれ以上のものがあったと言っても過言ではないだろう。
    私は、このゲームが今シーズンこれまでのセリエAの全ゲームの中でもベストゲームであったと思う。
    お互いがお互いに戦術的に洗練されており、さらにそれを凌駕する個の力が見られた本当にスペクタクルなゲームであった。
    今シーズンのセリエAは今後もこの2チームが引っ張りながら、ミラン、インテルなどが覚束無いながらも追いすがる形で進んでいくであろう。

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    この記事へのコメント

    @meiji0122 : 2012/02/04 (土) 02:57:20

    ゼブラッテの守備戦術分析ありがとうございました。

    ①5+3の壁を自陣深め作って、まず裏のスペースを消す。

    ②リトリートしながらボールサイド中心に人数をかけ、相手にスペースを与えない守備で数的優位を作る。勿論ここでボールをとれればOK。

    ③しかし人数をかけた分プレスを突破されるとバイタルに侵入されるが、4バックに比べ最終ラインに人員的余裕があるため、CBの3人のうちの1人が怖れることなく前のスペースのボールホルダーにチャレンジすることができる自由が与えられている。そして残りの2人、またはWBがケアをするという仕組み。

    という理解で大丈夫でしょうか。
    一見殻に閉じこもるような陣形ですが、非常に理にかなった素晴らしい守備戦術ですね。
    この陣形だとカウンター時にも両サイドが素早く上がることができるため、中央にいるさばき役の選手がどちらのサイドにも散らすことができるという選択肢の幅をももたらすのですね。


    大変わかりやすい解説で勉強になりました。ありがとうございます。

    ロッソネリ : 2012/02/04 (土) 03:07:18

    >>@meiji0122さん

    その理解で僕の言いたいことは伝わっていると思います^^
    特に秀逸なのが③の部分です。
    共通理解がしっかりしているので③の一連の動作を迷いなく素早く行えるところに肝があると思います。

    コメントありがとうございます!!
    またお待ちしております^^

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