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    あくまでもポジティブに、徐々に。 ~2011-2012 セリエA第30節 インテルミラノvsジェノア ストラマッチョーニインテル分析~

    チアゴ・モッタを欠いたところから始まったクラウディオ・ラニエリのインテルはのシーズン2度目の不振。
    そして、その間に一時期見えてきていたスクデットはもちろん、来シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの出場権も怪しくなり、今年のチャンピオンズリーグからも姿を消してしまった。
    相手は格下のオリンピック・マルセイユだったのだが、運動量とスピードで惜敗したあたりに、今年のインテルが象徴されていた。
    イタリアデルビーでまたもや「宿敵」となったユヴェントスに負けた後、とうとうラニエリは解任されてしまった。
    私がスタディオ・マンカントニオ・ベンテゴティで見たラニエリの「涙」は何だったのだろうか。

    正直に申し上げると、今のインテルに誰が監督になろうがほとんど変わりはないのではないかと思っている。
    抜本的な改革が不可能なこの難しい時期であるし、そもそも辞めさせるべきは監督の前にもっと大事な人物がいるからだ。
    マルコ・ブランカがその人である。

    さて、そんな中、インテルには嬉しいニュースが届けられていた。
    それはU-19の大会、ネクストジェネレーションカップでのインテルプリマの優勝である。
    率いていたのはアンドレア・ストラマッチョーニ、その人である。
    ネガティブな雰囲気が漂っていたであろうアッピアーノ・ジェンティーレに一閃の光が差し込んだわけであるが、その人がそのままトップチームの監督になるのだからある意味不思議なものである。
    インテルにおいて非常に珍しいことである。

    新監督アンドレア・ストラマッチョーニについてはどんな監督かといったところまではわからない。
    トップチームの指揮は初めてであるということ、34歳と若いこと、ASローマのプリマヴェーラのU-17部門を担当した後、インテルに来たということくらいなものである。
    あとは、噂に聞くところによれば攻撃的なスタイルを好むといったところであろうか。

    そうした情報が少ない中、我々がアンドレア・ストラマッチョーニについてよりよく知るためには、実際彼が指揮を取るインテルの試合を見て、選手起用やインテルのやっているサッカーの中身を見て判断しないといけないわけである。
    そんな彼の初陣が、ジェノア戦であった。

    ●スタメンから読み取れること
    さて、それではこの試合のスタメンを見ていこうと思う。
    ここにもストラマッチョーニ新監督の戦術や傾向などを見ていくことができるであろう。
    2011-2012セリエA第30節 インテルミラノvsジェノア スタメン・ベンチ・選手交代

    さて、このスタメンについて言えることは、まず、マイコン、ウェズレイ・スナイデルがフィジカル面でのコンディション不良によって起用できる状態になかったということである。
    よって、ハビエル・サネッティが右サイドバックに入らざるを得なかったし、スナイデルがいないため、4-3-3になったということは考慮しておく必要がある。
    つまり、インテルはベストメンバーが揃ったわけではなく、あくまでもジェノア戦ではジェノア戦の段階での可能な限りのベストメンバーを選んだわけである。

    そんなスタメンでもはっきりと見えてくるところは、左サイドバックでのキヴのスタメン起用、そしてサラテのスタメン起用というラニエリ政権時と大きく異なる変化である。
    特に、キヴのスタメンは皆さんの中でも非常に理由が気になる方が多いことと思う。
    長友か、キヴかは昨年2月から延々と気にされ続けているテーマであって、これはインテリスタ以外の人たちの間で特に大きな問題となっているかもしれない。
    ここで、長友とキヴの差、優劣について語るという大きな挑戦をしてみることにするが、前もって断っておきたいこともある。
    それは、どの選手比較においても、片方の選手が他方の選手に完全に優れている、劣っているということは非常に難しい、ということである。
    どの選手にも長所はあるし、短所もある。
    そのバランスこそが大事であるということである。
    それでは始めよう。

    ●長友か、キヴか
    まず、長友佑都という選手の特徴を挙げていくこととしよう。
    長友選手といえば、その運動量とそれを支えるスタミナ、そして、爆発的なスピードにある。
    この運動量とスタミナが彼の好守両面における貢献を支える根底にある。
    サイドバックは特に中盤が3センターで組まれる場合、攻守両面における高い貢献度の求められる非常にタフなポジションであって、逆にこれをクリアできない4-3システムはどこかで不十分、もしくは破綻してしまうほど重要なポジションとも言える。
    そうした意味では。彼にはその両面においての貢献が十分期待できる。
    次に、爆発的なスピード能力について考えていくと、そのスピードは咄嗟のカバーリングや攻撃時のオーバーラップに生かすことができるのであるが、この点においてはまだ彼のその能力は完全に生かし切れているとは言えない。
    もちろん、彼のスピード能力があったおかげで防げた守備、そして、交わすことができた攻撃というのももちろん存在するのであるが、しかし、もっと生かすことはできるであろう。
    守備において、そのスピードを生かしきるための今後の課題点とは、ポジショニングであったり、他の選手との連携面の部分であろう。
    攻撃においても彼の得意な攻撃は、崩しの局面では、一旦中の選手にボールを預け、もう1度再加速した上で相手DFを振り切り、リターンのパスをもらうという形であるような気がするが、その得意なパターンが使えるほどFWに信頼されているというようなシーンが未だ少ない。
    それゆえ、彼の近くにはそうした信頼を受けている選手、エステバン・カンビアッソかウェズレイ・スナイデルが必要となる。
    短所に関しては攻撃においては上記のような信頼性であると思うが、守備の局面ではライン構成の際のポジショニングにやや課題が見受けられるシーンがある。
    (目の前の相手の動きに釣られてラインより後ろに位置する場合が多い。)

    対して、クリスティアン・キヴの特徴を挙げていくと、まずその長所には、高いパス精度、特にビルドアップの局面で適切なパスを前線などに供給することができるという点があるだろう。
    守備面ではポジショニングなど戦術的な部分は非常に良い選手である・
    逆に短所を挙げると、スピード面の欠如である。
    こちらに関しては攻撃にも守備にも影響している部分が大きい。
    加えて守備面では特に、ハイボールの落下点を見誤るシーンや競り合いに弱い部分も大きい。

    さて、このように長所と短所がかなり違い、そのどちらを起用するかは監督がその試合でサイドバックに何を求めているのか探るのに十分なポイントである。

    ●ストラマッチョーニは縦のギャップ作りがうまいぞ!
    実際の試合の方に目を向けると、攻撃面での改善が非常に多く見られた試合内容であった。
    特にその大きな部分がビルドアップの局面で表れている。
    ラニエリ時代のインテルはビルドアップに大きな欠陥を抱えていた。
    それが前後の分断、フォーメーションの硬直である。
    4-3-1-2を選択したらその4-3-1-2のまま前に押し上がり、ビルドアップでのサポート意識も少なく、結局繋げず前のディエゴ・ミリートにハイボールで出して後はお願いします、といったような状態であったのは記憶に新しいだろう。
    マルセイユ戦ではミリートに出すこともままならず、ディエゴ・フォルランにまでハイボールで出さざるを得ない始末であったことも思い出していただけるだろうか。

    それに対し、この日のインテルはバックラインでボールを保持すると、アンカーのスタンコビッチだけではなく、ポーリやサラテまでもが代わる代わるビルドアップの組み立てに戻ってきて参加。
    特にサラテが引いてきたときにできるギャップをインサイドハーフの選手、ポーリ、カンビアッソが突いたり、サラテの動きにつられたバックラインの裏をディエゴ・ミリートが突くといったような動きが積極的に行われ、ビルドアップの苦労が少なかったように見て取れた。
    インテルの2点目のシーンはまさにこの動きから生まれており、ラニエリが監督を続けていれば生まれることのなかったシーンであっただろう。

    ●Calcio di rigole(P.K.)の嵐
    後半に入ったこの試合にはカルチョ・ディ・リゴーレが乱発した。
    これに関してはなんてことないプレーから生まれたものもあったので、気にする必要はない。
    まずは1つ目のサネッティのハンドを取ったシーンなどは非常に厳しい判定であったような気がする。
    これに関しては仕方ないで留めておけばいいし、修正もない。
    そして、その直後に気分を入れ替えさせるため、デヤン・スタンコビッチに代えてフレディ・グアリンを投入したことも中盤の運動量を考慮したものであったと思われるし、良い判断であったのではないか。
    この交代でアンカーにエステバン・カンビアッソが回った。
    その後生まれたサラテのゴールはサラテらしいゴールで、この自由にボールを操るサラテを上手く使った点にストラマッチョーニ監督の真価が窺える。
    続く交代はディエゴ・フォルランに代えてオビ。
    もともとはサイドの選手であるオビをウィングで使った点は非常に評価の高いポイントではないだろうか。
    バランスを取るキヴの前では純粋にサイドで勝負するアタッカーが入るのが最も相性が良く、そうした意味ではオビはインテルで唯一左サイドアタッカーであるため非常に重要度が高い。
    この交代の後、ジェノアに2度目のリゴーレが与えられるわけだが、これはいつも通りスピードに若干難のあるバックラインの裏を単に突かれた流れからのもの。
    この点にはまだ改善は見られていない。
    対して、インテルに与えられた5点目のリゴーレは、ジェノアのベルスキが再三アフター気味に微妙なタックルをしていたことが積もり積もったものであり、インテルとしては与えられるべくリゴーレがやっと与えられたという感じであろう。
    そして、最後のジェノアのリゴーレは2列目に近いところからの飛び出しというインテルのディフェンスの弱点が出たものであり、これも改善が必要な部分である。
    この最後までリゴーレが乱発した中にも、インテルの弱点は少なからず詰まっているので、看過できない部分である。

    ●ストラマッチョーニ監督のインテルで期待できること
    まず、ストラマッチョーニ監督という人は特に中盤や前線の攻撃の部分に献身性を復活させる手立てになるだろう。
    ウィングに配されていたフォルランもサラテも守備時にはしっかりと守備に帰っていたし、ビルドアップの局面でもパス回しを活性化させようと縦に横へと動きが見られた点は大きな改善点であろう。
    中盤にしても臆せず前線に飛び込んでいたカンビアッソやポーリ、グアリンのような姿はラニエリ時代末期には消え失せていたものである。
    攻撃においては縦にも横にも動きが増えたインテルの攻撃は、もともとクオリティの高い選手が揃っていることもあり、復活するに違いない。
    逆に、ストラマッチョーニ監督になっても変わらなかったのは守備、特にバックラインに関わる部分。
    相変わらずラインの設定があやふやであったり、中盤との連携も含めて、マークの受け渡しなどではまだ改善すべき点が多い。
    この点にどう取り組むかも注目どころである。



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    2011-2012 セリエA第25節 ACミランvsユヴェントス ~もう大丈夫!ミランとユーヴェが来期はCLを引っ張る!~

    いつぶりだろうか。
    「天王山」の重みを背負いながらこの2チームで対戦できるのは。
    今シーズンのユーヴェは間違いなく強い。
    それは勝利の数ではなく、「無敗」でというところにユーヴェらしさが表れている。
    「勝てなくても負けない」、コンスタントに勝ち点を積み重ねるユーヴェは本当に強い。
    そのユーヴェの底力がこの試合でも発揮された試合となった。
    そして、この試合でもおもしろかったのは両チーム監督の修正能力対決。
    お互いがお互いの腹を探り合いながら修正を加え続けていく両監督の采配はこの試合を世界一ハイレベルな試合に相応しいものとした。
    それでは振り返って行こう。

    なお、この試合では明らかな誤審が2つ見られており、物議を醸しているが、私はその点については大きく触れることはしない。
    もちろん、お互い自らのゴールが認められてい「れば」、試合展開は変わったものになったであろうが、しかし認められなかったのであり、目の前にあるものを分析する立場としてはその点に関して「執拗にこねくり回そう」が何も生まれないと考えるからである。
    審判の判定についてガタガタと言い立て続けることに何ら建設的な意味はない。
    そういう思いは胸にしまっておく方が得策である。
    それよりもポジティブな面、そして戦術的、技術的にネガティブな面を指摘する方にこそ先の試合を見るヒントが多い。

    さて、それではスタメン・ベンチメンバーを御覧頂こう。
    2011-2012 セリエA第25節 ACミランvsユヴェントス スタメン・ベンチ

    次にフォーメーション。
    2011-2012 セリエA第25節 ACミランvsユヴェントス スタメンフォーメーション


    ●サイドではなく、センターの数的優位を優先したコンテの選択
    シーズン中盤からアントニオ・コンテ監督は優れた持ち駒の数を利用し、対戦相手との噛み合わせを重視し、非常に柔軟にシステムを使い分けている。
    それが主に4-3-3と3-5-2の併用である。
    この使い分けを見る上で重要なのは「数的同数」を作るという点であることは「2011-2012 セリエA第10節インテルミラノvsユヴェントス(イタリアデルビー)レビュー ~セオリーに徹したインテル・ユーヴェの明暗~」にて既に述べたつもりである。
    その「数的同数」をサイドで作り、「数的優位」をセンターに持ち込むことが、今回のコンテの回答だったようである。
    以下の図を御参考にしていただこう。
    2011-2012 セリエA第25節 ACミランvsユヴェントス 前半数的関係

    ●いつも通りのハイプレスを仕掛けるユヴェントス、ピルロに付けないミラン
    試合は立ち上がりから戦前の予想通り、ユヴェントスが激しい前からのプレッシングを仕掛ける展開となる。
    ユーヴェの前からのプレッシングは非常に効率的で、現在のサッカーの世界では突出した精度を誇るものとなっている。
    そのハイプレスを前にしたミランはなかなかボールが繋げない。
    前に出してもすぐにカットされるという展開になり、立ち上がりはユーヴェペースに試合が進むこととなった。
    こうした展開にミランのブロックは押し上げがスムーズに行かなくなり、下がり目でタクトを振るうピルロへのディフェンスがどうしても緩くなってしまう。
    これによりユヴェントスのポゼッションが安定したものとなる。

    ●ユヴェントスの前からのプレッシングが安定する理由
    これはひとえにセンターバックの2人、アンドレア・バルザーリとジョルジュ・キエッリーニに拠る部分が大きい。
    彼らはカバーリングの意識を高め、そして尚且つ1対1での対人ディフェンスにおいて高いディフェンス能力を見せてくれるため、「バックラインを抜かれるのが怖い」というメンタル的なネガティブ効果が出ないため、中盤の選手が安心して前でプレッシングを強めることができるからである。
    この安心感はミランの中盤と同等程度の安心感をもたらしていることは特筆に値するだろう。
    特にリヒトシュタイナー側のセンターバック、アンドレア・バルザリは今シーズンのセリエ、いや、世界のディフェンダーの中でも特筆して高いディフェンス能力を発揮している。

    ●中央から力押しするミラン、サイドを上手く使うユヴェントス
    しかし、前半10分くらいから形成が変わり始める。
    パト、ロビーニョ、エマヌエルソンとスピードのある3人がミランの前線とあって、トランジションの速くし、スピードを生かしたカウンターを恐れて、ユヴェントスは前からのディフェンスを緩め、リトリートし守備ブロックを形成することを優先し始めたのである。
    これによりポゼッションが互角になり始め、中央からポゼッションを狙うミラン、センターのピルロがサイドに上手く叩くことでサイドを生かそうとするユヴェントス、の構図が出来上がる。
    その中でミランもユヴェントスと同様に前からのプレッシングを仕掛けることとなった。

    ●前半の命運を分けたミス
    両チームの緊張感あふれるペースの握り合いの中でミスを犯してしまったのは、ユヴェントスのレオナルド・ボヌッチであった。
    ユヴェンティーニの心配が現実となるかのように、前半15分、ボヌッチのビルドアップはあっさりロビーニョにカットされ、中のノチェリーノへ。
    これをフリーで打ったミドルがボヌッチに当たってコースが変わりながらゴールに吸い込まれる。
    ミランにとってはラッキーなイージーゴールとなってしまい、ゲームの均衡が崩れる。
    ボヌッチはまだユヴェントスレベルで見ると若さが出ている部分があり、ミスも多い。
    このミスを減らすことが今後への課題であろう。
    そして、両チームの不安材料であった審判にもミスが起こる。
    前半25分、コーナーキックのこぼれ球を押し込んだムンタリのヘディングはゴールにしっかり入っていたが、なぜかゴールが見逃され、カウンターを受けることに。
    これによってサン・シーロは騒然となり、バタバタとした試合展開となる。
    その中でチアゴ・シウヴァに非常に厳しいイエローカードが提示されたが、これはミラニスタとして残念でならない。
    それはバルザリにも提示されたイエローカードでユヴェンティーニの皆さんは同様の思いだったに違いない。

    ●アッレグリの修正能力
    この試合においてまず戦術に大きな修正を加えたのはアッレグリの方であった。
    それが4-3-1-2から4-3-2-1への修正である。
    前半早い段階からプリマプンタ(センターフォワード)のように中でバックラインを破る動きに徹するパトと、中盤に降り、ピッチを動き回るロビーニョという役割分担ができていたことを見て取ったアッレグリは、エマヌエルソンとロビーニョの負担を軽減しながら効果的なカウンターを狙うべく、ロビーニョの位置を最初から下げ4-3-2-1に修正した。
    これによって形成されたのは攻守の局面での「数的同数」であり、果敢にも「数的同数」を形成したところは、アッレグリの陣容に対する自信の表れであった。

    ●「数的同数」から「数的優位」を作ったコンテの英断
    HT、両チームが動く。
    まずはミランがコンディションの悪さから再び怪我を負ったパトに代えて、ステファン・エル・シャーラウィを投入する。
    対してユヴェントスは前半流れがよくなかった3-5-2から、エスティガリビアをシモーネ・ペペに代え4-3-3にシフトチェンジした。
    そしてさらに後半10分、マルコ・ボリエッロに代えて、ミルコ・ヴチニッチを投入する。
    これによって形成されたのはサイドの「数的優位」であり、あまりマークに付かれていないピルロを中心としたセンターから、サイドの数的優位へとボールを叩く形を選択した。
    もちろん、両サイドバックの献身性に拠るところの大きいこの戦術的変更ではあったが、これは両サイドバックに対する信頼もあってのことである。
    以下が後半のフォーメーションである。
    2011-2012 セリエA第25節 ACミランvsユヴェントス 後半フォーメーション・数的関係

    ●エマヌエルソン、ロビーニョ、エル・シャーラウィの3トップ
    対するミランが後半から見せたエマヌエルソン、ロビーニョ、エル・シャーラウィの3トップはポジションチェンジに富んだ変幻自在なものであった。
    確かに高さはなく、攻撃の基準点は1人としていないが、逆に状況に合わせた攻守のトランジションをすることで、素早くブロック形成、カウンターを織りなすという狙いがあったものと思われる。
    この4-3-3にも近い形が作れるのは、ひとえにロビーニョ、エル・シャーラウィの守備での献身性のおかげである。

    ●中央とサイドの使い分け
    後半目立ったのはユヴェントスが攻撃時に中のピルロを起点としながらサイドの運動量を生かして数的優位を作り、そのサイドを上手く使って攻撃したシーンであった。
    そして、チャンスが訪れる。
    後半23分、中央のピルロが楽に左サイドでフリーのキエッリーニに叩くとそれをクロス。
    これにクアリアレッラが詰めるもアッビアーティが好セーブ。
    ユヴェントスがチャンスを逃す。
    後半22分、クアリアレッラに代わってアレッサンドロ・マトリが投入される。
    これで全ての交代枠を使い果たすが、ユヴェントスは4-3-3のベストな形にしており、早くにシステムチェンジに踏み切ったコンテは素晴らしい判断を見せたと言えるだろう。

    ●4-4-2にしなかったアッレグリの選択
    その直後、アッレグリも動く。
    エマヌエルソンに代えてマッシモ・アンブロジーニを投入したのである。
    そして、ムンタリをトレクァルティスタへ。
    この狙いは前での溜めを作れない3トップにムンタリを上げることで、溜めを作りたいという狙いであったようだが、その狙いは失敗する。
    むしろ、代えるべきだったのは疲れの見えるムンタリで、そのままの4-3-2-1を貫くか、ムンタリもザンブロッタと代えて4-4-2にするべきであったように思われる。
    完全に防戦一方となり始めた段階で、もう少しはっきりとした対応策を打ち出すべきだったのではないか。

    ●後半の命運を分けた1つのミス
    後半24分、またもや試合を大きく左右するミスが起こる。
    ミランのバックラインから飛び出したマトリがゴールを決めるも、これがオフサイドの判定。
    しかし、これはオンサイドで、ユヴェントスも1点を失う。
    これにより完全にどちらもヒートアップした。

    ●落ち着けることができなかった両指揮官
    非常にハイレベルな采配を見せた両指揮官に今後改善すべき点があるとすればこういったムードを落ちつけたり、変化をつけたりする能力であろう。
    アッレグリは交代カードをまだ持っていたのであり、そのカードを打たなかったことはやはり悔やまれる失策である。
    逆にコンテはファイタータイプだったプレーヤー時代と同様、やはりピッチサイドでも戦う姿勢を表にするが、これもまた落ち着けることが必要なときもあるだろう。
    そして、この悪影響はミランに表れた。
    後半38分、右サイドのペペからのクロスを中でマトリが合わせ同点ゴール。
    このマトリのシュートはタイトにマークにつくチアゴ・シウヴァを背負いながら非常にうまく合わせたものであり、素晴らしいゴールであった。
    キエッリーニが突っ込んできたシーンはマークの受け渡しミスがミランには起きていたことも見逃せない。


    そうしてこの試合は同点で試合終了を迎える。
    試合終了後は若干ひと悶着が起こるが、それでも試合中には大事もなく集中して試合に挑んだ両チームが久々に世界一ハイレベルな試合を披露したのではないだろうか。
    今回の試合では両監督の采配も光った。
    このハイレベルなミランvsユヴェントスが帰ってきたことはセリエファンとして嬉しいし、来年はCLでともに上位に上がっていけるという自信の持てる試合となったことは間違いない。
    ミランvsユヴェントスのハイレベルな試合が戻ってきたのである。
    この後もスクデットを目指してせり続けるであろう2チーム、今後は勝ち点の積み重ね方が問題となっていくことになるだろう。

    なお、この試合では一人のフォーリクラッセが最後のサン・シーロでの試合に挑んだ。
    アレッサンドロ・デル・ピエロであるが、この15年間のユヴェントスとの試合にはいつも彼がいて、ハイレベルなパフォーマンスを見せてくれた。
    この最後の試合に出場することはなかったが、それでもこのデル・ピエロとの戦いは筆者にとって非常に想い出深い、宝のような試合の数々であった。
    今後もミランとユヴェントスはハイレベルな戦いを見せるだろうが、それでもデル・ピエロがいたユヴェントスとの戦いは色あせることなく世に語り継がれるべきものとして残り続けるであろう。



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    2011-2012 セリエA第24節 フィオレンティーナvsナポリ ~久々の「らしい」勝利で大事な1戦を迎えるナポリ~

    昨シーズン、圧倒的なカウンターを見せUEFAチャンピオンズリーグに出場を決定させたナポリ。
    今シーズンはそのナポリのカウンターを封じるべく、引いてくる相手に勝ちきれないという試合が多く積み重なっている。
    問題はポゼッション時の武器の少なさ。
    セリエのディフェンスはいまだに世界一の組織的なディフェンス能力を誇っており、多くの仕掛けのパターンがないと崩しきれないことが多い。
    そんなディフェンスの強さの一例としてあげられるのが今年のフィオレンティーナである。
    特に新監督デリオ・ロッシを招聘してからというもの、その守備力に磨きがかかっている。
    試合は1点を争う緊張感あふれる試合になるであろうと私は予想していた。

    まずはこの試合のスタメンを御覧頂こう。
    2011-2012 セリエA第24節 フィオレンティーナvsナポリ スタメン・ベンチ

    フォーメーションは以下の通り。
    2011-2012 セリエA第24節 フィオレンティーナvsナポリ スタメンフォーメーション
    フィオレンティーナ:3-5-1-1
    ナポリ:3-4-2-1

    ●過渡期に入った3-4-2-1
    昨シーズンのナポリはカバーニを頂点としたラベッシとハムシクとの「トリデンテ」が中心となってサイドへ中へ目まぐるしくダイアゴナルランなどの飛び出しを使ったポジションチェンジで相手ディフェンスのマーキングのズレを誘いチャンスを作っていたが、今シーズンはそれができない。
    これはナポリが悪いのではなく、ナポリと戦う相手(特にプロビンチャ)はそうさせないために裏のスペースを消すためにラインを下げているからである。
    こうなるとラストパスやドリブルに高い精度が求められるようになるのだが、これを担うのがハムシク、ラベッシであり、2人はオフ・ザ・ボールではなくボールを持ってから仕掛けなければいけなくなる。
    本来は、ハムシグがその役割を担うのではなく、センターハーフのインレルやジェマイリがその役割を担当すべきなのだが、今のところそこまでのパスを出せるとこまでには至っていない。
    こうしてナポリは最大の武器が限定されてしまっているのである。
    そのせいか、ポチョ・ラベッシはもはやFWと化し、ハムシクがセンターハーフと化す場面が散見され、「トリデンテ」が分化してしまっていると言ってもよい試合は多々あった。

    ●タイプの似通った選手の多いフィオレンティーナ
    ヴィオラというチームは下部組織からトップチームまで豊富な選手層を持ち合わせているのだが、どうもその選手層に似通った部分が多い。
    中盤にはパサータイプか攻守両面で働くクルソーレタイプの選手、ウィングの選手も多い。
    対して、CFはミスもあり選手層が少なくトップチームレベルなのはアマウリ1人になってしまった。
    こうした難しい選手層を上手くやりくりしようというのがデリオ・ロッシ監督だが、ここまでは及第点以上の働きをしていると言っても良いのではないだろうか。
    それが3バックシステムの登用である。
    ヨヴェティッチが輝けるよう3-5-1-1とした点も評価に値する。

    ●予定が崩れたヴィオラ、予期せぬ怪我人が出たナポリ
    この試合ではヴィオラの予定が前半3分に早くも崩れる。
    バイタルエリアでポストプレーをしたハムシクがヴィオラディフェンスを引きつけ、裏に抜けたカバーニが先制点をあっさり決める。
    これによって前に出ないといけなくなったヴィオラ、戦い方を変更せざるを得なくなる。
    そして、その後、今度はナポリに不運が起こる。
    それがカンパニャーロの怪我である。
    カンパニャーロは攻撃力の高いCBであり、得点が欲しい時には攻撃のアクセントとして攻め上がりも担当する選手である。
    (チェルシー戦での出場が危ぶまれましたカンパニャーロは出場可能とのこと。)

    ●リスクを犯す必要がなくなったナポリ、ある程度攻撃が必要になったヴィオラ
    まさに逆の立場となることをデリオ・ロッシ監督は狙っていたはずだが、残念ながら狙いとは逆になってしまった。
    これによって戦術にいつもと違う流れが出たのはナポリの方であった。
    フィオレンティーナの3センターハーフがビルドアップ能力が高いことから、前からのプレッシャーをやや諦め、リトリートしてしっかりとブロックを作ったのである。
    これはいつもと大きな違いで、これによってヴィオラは持てるが崩せないという状況に置かれてしまった。
    また、ここで問題だったのはポゼッションすることを主眼とするあまり中盤の選手の飛び出しが少なくなってしまったこと。
    これによってナポリディフェンスは余裕を持ってアマウリ、ヨヴェティッチのスペースを消すことに集中できてしまう。
    こうなるとヴィオラのチャンスシーンは時間がたつにつれ、どんどんと減少していった。
    そして、ヴィオラのポゼッションが高くなればなるほどバックラインは高くなったことも見逃せない。
    攻撃のサポートが厚くなることは厚くなるのではあるが、ナポリのカウンターでの裏へのスペースを許すことになったのも事実であった。
    それでも、どちらも攻撃にするが、どちらも守り抜く。
    お互いの持ち味を消しあう前半は実に面白いカルチョらしいゲームと言ってもよいものであっただろう。

    ●急ぎ始めたフィオレンティーナ
    後半に入ると状況に変化が表れる。
    まずは中盤で運動量激しく動いたいたが精度を欠いたベーラミに代えて、サリフが投入されアンカーに。
    そして、フィオレンティーナが攻め急ぎ始めるも、ナポリのマンマークに近いディフェンスがパスコースを消し、どうしても前に繋げない状況が生まれ始めたのである。
    それによって、バックラインからのボールはアマウリなどへのロングボールが増え、そのボールをキープしきれずボール奪取されてしまう。
    そして、ネガティブトランディションが悪くなっていった。
    そんな中の後半10分、ハムシクからの裏へのボールに反応したカバーニがきっちりと決め、ナポリが追加点に成功する。
    こうなってからというもの、モントリーヴォの守備への意識がほとんど見られなくなってしまったことは非常に残念であった。

    ●久々に余裕を感じた選手交代と焼け石に水となった選手交代
    采配の方に目を移すと、余裕の感が出てきたナポリはマレク・ハムシクに代えてガルガノを、エディソン・カバーニに代えてゴラン・パンデフを投入し、主力の温存と守備固めに成功した。
    ジェマイリの置き場所がまだ定まらないため、前でも試す機会になったことは大きいだろう。
    逆に、フィオレンティーナの方を見ると、ルベン・オリベラとマルキオンニ、バルガスに代えてチェルチと代えたが、後半42分にチェルチが絶好機を外した以外、特に目立った効果をなすことなく終わってしまった。
    そして、最後には後半ロスタイム2分、コーナーキックのカウンターからラベッシの独走を許し、ダメ押しゴールを決められて試合は終了した。

    久々にナポリの完勝を見た気がする。
    これも前半のとても早い段階で先制点を奪ったことは大きいが、難敵フィオレンティーナを倒し、良い雰囲気でチェルシー戦に挑めることは間違いない。
    チェルシー戦で重要となるのは、どちらが主導権を握るのかという問題である。
    早い段階でナポリが点を取れれば言うことはないだろう。
    もし、そうでないならば、じっくりとリトリートし、強固なディフェンスを敷きながらチェルシーに主導権を渡した方が良い気がする。
    そうすればチェルシーには後の記事で見るが、サイドを中心に攻めるためのスペースが広大に空くこともあるだろう。
    これこそナポリの選手にとっては格好の狙いどころとなるに違いない。
    21年ぶりに出場しているチャンピオンズリーグでは既にクラブ最高記録の成績に到達した。
    クラブの英雄ディエゴ・マラドーナとともに到達したことのない領域で、これからどこまで勝ち進めるのか、南部イタリアを代表するチームの選手たちの挑戦からは目が離せない。



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    2011-2012 セリエA第24節インテルミラノvsボローニャ ~夜のサン・シーロで叫ばれたのは「モウリーニョ」だった~

    インテルが非常にまずい状況に陥っていることは間違いない。
    2011-2012 セリエA第23節 インテルミラノvsノヴァーラ ~積み上げたものを崩されたラニエリの苦難~」でも既に述べたように、チアゴ・モッタの抜けた穴をいかに埋めるのか。
    この点においてはビルドアップ面においての影響が大きく、さらにはウェズレイ・スナイデルを使いながらバランスを保つ戦術や布陣をいまだに見つけることができていない。
    ここ最近はスナイデルの使い方が見えてきたような気がするが、フィニッシュワークをこなす選手や、守備でのバランスといった課題が合わさると、問題解決はまだと言ってもいいだろう。
    今回はそんな中での、ボローニャ戦を振り返りつつ、ここ最近復調を見せているボローニャの戦術などにも触れていきたい。
    そして、最後はもちろんインテルの次の試合、UEFAチャンピオンズリーグのマルセイユ戦を占うことにしよう。

    まずはこの試合のスタメンから。
    2011-2012 セリエA第24節インテルミラノvsボローニャ スタメン・ベンチ

    次にフォーメーションを御覧頂こう。
    2011-2012 セリエA第24節インテルミラノvsボローニャ スタメンフォーメーション
    インテルミラノ:4-2-3-1
    ボローニャ:3-4-2-1


    ●最後の一手の感が否めない4-2-3-1
    チアゴ・モッタがいない今、スナイデルを優先的に使う選択肢しか残されていないラニエリは、その置き場をセンターであると判断したように考えられる。
    即ち、4-4-2ではだめで、4-3-1-2、4-3-2-1、4-2-3-1しか残されていないのである。
    その3つのフォーメーションで揺れ動く理由はいろいろあるので、インテルでそれぞれのフォーメーションを使う際のメリット、デメリットを考えていこう。

    ・4-3-1-2
    インテルの多くの選手が慣れ親しんだように感じられるフォーメーションの1つであるが、ここで難となるのはマイコンの存在である。
    インテルである以上、マイコンを使わない手はないが、マイコンを使うことによって、中盤の選手の守備での負担が増える。
    圧倒的に戻りが遅いので、カヴァーをしつづけようとなると、中盤の選手は守備に専念しなくてはいけなくなり、厚いはずの中盤の攻撃に迫力がなくなる。

    ・4-3-2-1
    これが最もバランスが良いように思われるが、こちらも4-3-1-2と同様に右サイドバックのマイコンのケアが重要になるが、それをすると決定的にフィニッシャー不足に陥る。

    ・4-2-3-1
    このフォーメーションが今のインテルには最も合っているのかもしれないが、左サイドハーフに入るのがアルバレスかフォルランと、どちらも足元でボールを貰いたがるタイプであることが難。
    そして、フォルランであればフィニッシュにも期待があるが、コンディションは良くない。

    この数少ない選択肢の中で悪戦苦闘を続けるラニエリの1つの答えが4-2-3-1であったのがこの試合の時点である。

    ●バランスを取るために「守備的」にならざるを得ないバランサー
    インテルというチームはある特定の個の力でゲームを決めてしまえる選手を使わないと許されない。
    その選手のコンディションが悪くてもだ。
    それがウェズレイ・スナイデルとマイコンであることはおわかりいただけるだろう。
    その2選手が気持ちよく、つまり自由にプレーするためにバランサーを起用しているのがラニエリ監督だが、そのバランサーたちはどうしてもバランスを考えて守備的にならざるを得ない。
    それがインテルの攻守分業である。
    だからこそ、相手チームの選手たちは守り易い。
    ポジションチェンジや後ろからの飛び出しがないために余裕を持ってバックラインを下げる。
    そしてさらに困ったことはインテルのバックラインは現在のコンディションでは裏の飛び出しにすこぶる弱い。
    (ルシオが試合中何度か足を引きずりながらプレーしていたことにお気づきの方もいたのではないだろうか。)
    そうした影響で、インテルのバックラインは高く押し上げることもできず、守備の局面では端的にバックラインを下げる。
    こうして前後分断が起こり攻守分業は明らかな形で完成する。
    こうした状況下で攻守両面に貢献できているのはファラオーネと長友の2選手だけであった。

    ●決めきれない個の力、守り切れない個の力
    そんな中でもインテルのは惜しいチャンスが何度かあった。
    1回目が前半18分、スナイデルの右のコーナーキックからマイコンがフリーでヘッド。
    これはジレの真正面で好セーブにあう。
    2回目は前半30分、同じく右のコーナーキックの流れからスナイデルのクロスにまたもやマイコンが合わせるも今度は枠の右。
    そして、引き続き、裏に抜けたフォルランがジレとの1対1を防がれ、先制できなかった。
    そんなインテルに救いはなかった。
    前半37分、左サイドのモルレオのスローインからガストン・ラミレス→ガリクス→ディエゴ・ペレスと繋がれ、最後は右でドフリーのディ・バイオへ。
    この局面の切り返しでアフターでの対応に入った長友をいとも簡単にかわし、ゴール左隅へ。
    そして、直後の前半38分、自陣右サイドのガストン・ラミレスから中のモルレオにフリーで渡り、モルレオは前線のディ・バイオへフィード。
    このボールの対応でラノッキアがミス、ボールをディ・バイオに奪われすぐさま追加点を許した。

    ●混乱の中での4-3-2-1
    一気に2失点したインテルは、ラニエリ監督は4-3-2-1に布陣を変更する。
    中盤は右からファラオーネ、カンビアッソ、サネッティで、2列目にフォルランとスナイデル。
    結論から言うと、こうしたところで混乱は収まることはなく、むしろさらに攻守分断が進んだと言っても良い。
    それくらいインテルの選手たちは混乱していた。
    きっと、「こんなはずじゃないのに・・・・・」と。

    ●後がなくなり、前に出るしかなくなったインテル
    後がなくなり、攻めるために前に出るしかなくなったインテル。
    スナイデルがサイドに流れたりしながら、中盤の選手やサイドバックの攻め上がりが出てきたため、人数は十分になった。
    これによって流れが良くなる。
    しかしこれはもちろんカウンターの危険性が増すことになり、どんどんとカウンターを受けるようになってしまった。
    これを何とかしのぎながらの時間帯になっていた後半14分、インテルにも大チャンス。
    左サイドから長友がドリブルでカットイン。
    中のフォルランに合わせるも、フォルランはドフリーで決めきれず、反撃を得点に結びつけることができなかった。
    これによってラニエリはフォルランに見切りをつけ、ポーリと交代。
    立て続けにファラオーニをルカ・カスタイニョスと交代し、4-3-2-1を保ち、攻勢に出続けたが結局1点は遠かった。
    逆に後半30分、ボローニャの交代で入ったアクアフレスカに右サイドからスルスルとドリブルで突破され、駄目押しの3点目を献上した。


    というわけで、この試合でも、ミリートを風邪で欠いたとはいえ、ラニエリの求める「バランス」を見つけることはできず、おしいところまでいきながら浮上することはできなかった。
    この最悪の流れで、監督から選手まで曲者揃いのフランスの強豪、オリンピック・マルセイユと戦うことになる。
    おそらくマルセイユとは打ちあいを演じることになるのかもしれない。
    アウェーであるから、大差で負けなければ大量得点を奪えればいいという余裕を持って、攻めることとなるだろう。
    そこで勝利を勝ち取ることができれば、浮上の波がやってくるかもしれない。
    まずは「自信を取り戻す」ことが必要となる。
    しかし、今後のカンピオナートではそれだけでは済まない。


    ●「ジョゼ・モウリーニョ」を懇願するインテリスタの悲痛な叫び
    いつもこのチームはそうなのではあるが、今シーズン2度目の泥沼状態にインテリスタは耐えきることはできない。
    そして、今回は明確に「ジョゼ・モウリーニョ」の名前がジュゼッペ・メッツァにこだました。
    それは「勝利の味をしめてしまった」インテリスタの飽くなき勝利への欲求が悲痛な叫びとなったものであることには違いない。
    もう爆発寸前のボルテージは大ブーイングとその叫びに表れている。
    自信を喪失した選手たちを見るのもこれで今シーズン2回目。
    この状況を乗り切るために必要なのは、インテルフロント内部の確固たる忍耐力とインテリスタの忍耐力にかかっている。
    このままではラニエリが危ないことはわかっているはずなのだから。



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    2011-2012 セリエA第23節 インテルミラノvsノヴァーラ ~積み上げたものを崩されたラニエリの苦難~

    インテルの冬の補強がまたもや現場の監督を窮地に追いやるかもしれないことは「2011-2012 セリエA 冬のカルチョメルカートまとめ&採点 第1回 ~AからJまで~」で実は既に示唆してある。
    そのメルカート後(もっと詳しく言うと、メルカート直前のレッチェ戦もモッタはサスペンションであったのでその試合から)、ラニエリ監督は4-4-2を諦め、またもや4-3-1-2に挑戦することとなる。
    これは攻守両面における十分な活躍が望めるのはカンビアッソとチアゴ・モッタだけだと判断したためかもしれない。
    しかし、この4-3-1-2への再転換後、再びインテルには負の流れが押し寄せる。
    1月29日(日曜日)レッチェ戦(アウェイ):0-1 敗戦
    2月1日(水曜日)パレルモ戦(ホーム):4-4 ドロー ※ピッチが雪で真っ白だったこともあり、あまり参考にならない
    2月5日(日曜日)ローマ戦(アウェイ):4-0 敗戦
    4-4-2への転換で積み上げてきた連勝街道が完全に封鎖され、その積み上げた4-4-2という積み木までもがチアゴ・モッタの放出で崩れてしまった。
    そう、再びラニエリは積み木を積み直さないといけないのである。

    では、このノヴァーラ戦のスタメンを見ていただこう。
    2011-2012 セリエA第23節 インテルミラノvsノヴァーラ スタメン・ベンチ

    フォーメーションを見てみよう。
    2011-2012 セリエA第23節 インテルミラノvsノヴァーラ スタメンフォーメーション
    インテルミラノ:4-3-2-1
    ノヴァーラ:5-3-2

    ●新感覚、テクニカルな選手で埋め尽くされた4-3-2-1
    ラニエリはこの試合ほとんど初めてと言っても良いスタメンを組んでいる。
    それがこの起用できるテクニカルな選手を全員起用するという4-3-2-1であった。
    ここで多くのファンの方が不思議に思った長友ではなくキヴを起用した理由はここにあろう。
    キヴはパスの精度が高く、ビルドアップ能力が高い。
    そうしたテクニカルな面ではキヴには未だ及ばない。
    しかし、こうしたスタメンの配置はラニエリの望むところではない。
    基本的にラニエリは好守両面においてバランスの取れた能力の選手を望む傾向が強い。
    この試合においてはその条件を外し、完全に「ファン好みの」4-3-2-1のスタメン配置であったに違いない。
    (マイコンは累積警告による出場停止、サムエルは怪我で出場不可であったので、この2人がいないのは仕方がない。)

    ●完全にひきこもりサッカーが板に付いたノヴァーラ
    ここ最近のノヴァーラは格上相手には5-3-2を敷き、5+3(+1)でしっかり守ることを先決とする。
    このひきこもった状態のノヴァーラに対し、インテルは圧倒的なポゼッション(69.7%)を誇りながらじわじわと圧力をかける。
    しかし、これにもノヴァーラはその圧力を受け続けるだけで、カウンターには4人から5人の選手しかかけない。
    このノヴァーラに対し、インテルはミドルシュートを浴びせ続けるも、得点を得ることはできない。
    もちろんチャンスシーンはあったにはあったが、結局は決めきることができずに前半をスコアレスで終える。

    ●試合を決めた新加入選手
    そんな試合が動いたのは後半11分のことだった。
    インテルのCKのカウンターから、ジェダがフリーで持ち上がり左サイドのカラッチョロへ。
    これを受けたカラッチョロが切り返しでキヴをかわし、左足は素晴らしいコントロールでゴール左隅へ。
    値千金の先制ゴールを挙げた。

    ●裏を取られたくないインテル
    今のインテルのディフェンスにとって最も怖いのは裏を取られることである。
    それは怪我がちのCB陣にとって最も弱いフィジカル面を問われるからである。
    だからこそ、カウンターで持ち上がったジェダにはプレスがあまく、カラッチョロに対しても甘くなってしまったのである。

    ●FWを投入しても時すでに遅し
    HT明けからアルバレスに代えてパッツィーニを投入していたラニエリは、失点後、ポーリに代えてディエゴ・フォルランを投入する。
    単純に引いてくる相手により得点力の高い選手を入れて圧力を、そして中の人数を多くしたかったと考えられる。
    しかし前線に張りきった選手たちがいる中に残されたカンビアッソやスタンコビッチの飛び込むスペースは限定され、ただただ前線の人数だけが多い状況となってしまった。

    ●キヴのテクニックを諦めて長友を投入した理由
    これは単純に前掛かりになったインテルが攻勢を緩めることなくカウンターに対策するには長友のスピードを必要だと判断したからであろう。
    この際、左サイドに流れることの多いスナイデルとの連携も良いということも幸いしたと考えられる。

    結局、この試合は終始押していたにも関わらず崩しのメカニズムやギャップを作れなかったことにより、あっさりと負けた感の強いインテル。
    この試合においては個の力で力押しするインテルという旧来のイメージに逆戻りした感が強い。
    この試合によってラニエリがどう感じたかはわからないが、慎重なポゼッションタイプのチームという域を出ないこの構成のチームは再び日の目を見るのかはわからない。
    しかし、今、ラニエリが非常に困難な選択を迫られている。
    フロントはおそらくこんな構成のチームが完成度を高くすれば大喜びするのは間違いない。
    しかし、それがうまくいかなければ、現在批判にさらされているフロントは責任逃れの監督解任を選ぶ、というシナリオも見えなくはない。。。。。



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